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我楽多物語2 その7「1本の電話」

カラオケのチェーン店で働いていた私は
短期間で責任者になってしまった。
しかし、そのまま出世してさらに上へ行くのが嫌だった。
約2年半在籍したが組織が苦手なため
フリーで仕事をしたいと思って退職したのだった。


スカウト

とりあえず食べていかなければいけないので、
中国にいる凄腕(マネージャー)から細かな物を仕入れて
ネットで販売したりしていた。
ある日買い物をしていると携帯が鳴ったので
ガラケーの着信欄を見ると通知不可能と表示されていた。
国際電話だと「通知不可能」と表示されるのだが、
普段から連絡をとっていたトカゲちゃんから
かかってきたのだと思ったが
電話に出ると浮気者(バーのマスター)からだった。
何気ない会話をしていると次第に仕事の話になった。
会社を退職した事を話すと「上海に来い。」と言う。
留学生として半年勉強してから
上海の企業で働いてみたらどうかと言われた。
どうやら会社は紹介してくれるらしい。
浮気者が年収1500万円を稼いでいる会社に入れてくれると言うのだ。
ただ、この時俺はその会社にはあまり入る気がしなかった。
企業に属すのにうんざりしていたというのもあったし、
シンプルに友達といっしょに仕事をする事にも抵抗があった。
プライベートは仕事と分けておくものだ。
しかし、好意で言ってくれているので
それも一つの選択肢として残しておいた。

上海で彷徨う自分

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