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富士山初日は台風と高山病との戦い

朝6:30。3人のアラームが同時に鳴った。ここから沼津駅→御殿場駅→須走口登山道というルートだ。足早にホテルを去り、通勤通学でいっぱいの列車に乗る。天気予報は台風の予想が遅くなったと報じているが、シンプルに雨模様らしい。

御殿場についたら、数十分バスを待つ。帰りもこの御殿場駅を使うので、要らない荷物をコインロッカーに押し込み、手持ちは行動食と水、防水、防寒グッズのみに。

バスに乗り、1時間ほど揺られると、10:30に須走登山口に到着。この時点で標高は1900mで、練習で登った大山より200m高い。
このまま開始、といきたいところだが、そこは我慢。所謂高地順応という、酸素濃度に体を慣らさせることをしないと高山病のリスクが跳ね上がるのだ。まずは1時間、ここで待機。食堂に入り、食べたものはアニメに準じてきのこうどん。暖かいつゆとお茶が染み渡る。お土産を吟味し、ストレッチをしていると強い雨が降り出した。これも大山で体験済み。少し待って、弱くなったらいよいよ登山開始!

具だくさん!お茶も美味しい
ここからがスタート。とはいえここも標高2000m付近。



須走ルートの最大の特徴は、6合目まで森の中を進むこと。富士山の植生は過酷な環境かつ噴火によるリセットが繰り返されるので結構面白い。木は大きくうねり、ボコボコの岩の隙間から根性強く生えている。新しい世界にわくわくしていたら、1時間ほどで6合目山小屋に到着。

強風のせいだろうか、木は全て曲がりくねっている



富士山には、基本各合目ごとに山小屋がある。そこでは宿泊、トイレ、売店があることが多い。面白いのは、標高が上がれば上がるほどこの3つの料金も上がることだ。ここのジュースは250円、遊園地価格。そしてパンの袋がパンパンになるのもこのあたり。

一気に森を抜けた!



6合目を過ぎると、いよいよ富士登山っぽくなる。石はゴロゴロで荒地のよう、雲は眼下に流れるようになる。でも頂上は全く見えない。だんだん歩くスピードが遅くなり、多くの休憩が必要になってきた。Aが軽い頭痛を訴えたので、ペースを落とすように。頭痛は高山病の始まりで、治すには下山しか方法がない。悪化させる訳にはいかない。

雨?霧?ガスの中を進む



須走ルートは、どうやら1番混んでいないルートらしい。そして何より、日本人がほとんど居ないルートでもある。日本の象徴富士山にいるのに、ほかの登山客と話す時は必ず英語。なんだか変な感覚だ。挙句の果てにはヨーロッパ系の方から中国人と間違えられた。まずは母国人と疑ってよね……?とはいえ、人が少ないので山小屋で遭遇するメンバーはだんだん顔なじみになってくる。同じ目標を共有する仲間だ。


標高3000mを越え、7合目、本7合目と進むにつれて、足取りはどんどん重くなる。砂もさらさらで、そもそも難しい。ここまで来ると山小屋どうしの距離も短くなるので、山小屋到着時に次のゴールが高いところに見えている状態。それでも全く近づく様子がないのが精神的に応える。

7合目。指の映り込みを気にする余裕はない



5時に予約した山小屋のある本8合目に到着した時は、もう限界という形だった。酸素の薄さと、寒さと、長時間の登山がかなり響く。チェックインを済ませ、夜ご飯のカレーを食べた。レトルトか何かだろうが異常に美味い。しかし食べてもすぐに寒くなる。3人でおでんを注文し、6つの具材を分けて食べた。これで1000円。スイスレベル。

これが富士山一のご馳走



ひととおり済ませると、時間は夜8時に。翌朝はご来光を頂上で見るために、朝2時に出発。そのためそろそろ就寝の時間。備え付けの寝袋に入ると、寒さはいくぶんかマシになった。ご来光を見られる確率は、ウインディによると、、五分五分!台風の足取りもまた少し緩んで、下山までには来なさそうとのことだった。

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