『自分らしく生きられる居場所を求めて』Keigo Yoshida
1.Who is "Keigo Yoshida"??
2. 休学までの経緯
ギャップイヤーB:けいご、改めてよろしくね!!よくぞ、この活動に巻き込まれてくれました。笑
圭吾:ね(笑)よろしくお願いします!
2-1. 中高時代〜井の中の蛙、大海を知る〜
圭吾:僕は中学受験をして、中高大と一貫校で育ってきた人なんですね。この中学受験を機に、自分の家庭が普通じゃないと気付きました。中学入学までは、DVなどもある複雑な家庭環境で育っていたんですけど、僕にとってはそれが”普通”の家庭だと思っていました。普通じゃないと気づいたのは、色んな人たちに出会うようになった中学受験後のタイミングでした。受験して入った中学には、自分よりはるかに賢い子やお金持ちの子がいたり、スポーツ推薦で来る子もいたり。
中学に入るまでの小学校の中では勉強もスポーツも1番だったのに、中学だとテストでワースト2位を取ったりしていたんですよね(笑)
そういうギャップだけならまだしも、家に帰ると複雑な家庭が待っている。それも、思春期の敏感な時期に。特に僕の場合は、声変わりがひどくて声が出なくなった。当時はすごくふさぎ込んでいました。そんな中で、中学3年生の夏にオーストラリアのケアンズに1ヶ月間、短期留学に行きました。人生初海外、初ホームステイ。
高倉:オーストラリアは何で行くことになったの??
圭吾:学校の夏休みの短期留学プログラムです!実はこれ、親に勝手に申し込まれていたんです、「オーストラリア行ってき」って(笑)
この短期留学が自分の中では大きくて、今まで家庭や学校といった小さな世界だけで生きていた自分にとって「こんな世界があるんや」「こんな生き方をしても良いんや」っていう衝撃を受けた経験でした。
川口:これまで色んなインタビューをしてきたけど、自分も含めて海外に行って衝撃を受ける人ってホンマ多いんよね。
圭吾:そうなんですよね。世界がそこだけじゃないことを知れるというか。その留学後から、「人に嫌われずに生きるスタイル」から「自分の好きなように生きるスタイル」に変化しました。元々は、どうすれば普通になれるかを模索している自分がいて。
でもこの留学をきっかけに、自分が好きなことをしてる中で、そういう自分を好きと思ってくれる人達と集まれたらいいかなって。中学時代は一切人と喋らず、友達もいなかったんですけど、高校からはめっちゃ友達ができたんですよね。親友って呼べるやつもできて、部活もめっちゃ楽しめた。
高倉:そのオーストラリア留学中に、自分の好きなように生きていいと思えるきっかけがあったんやな。
圭吾:そうです。ホストマザーがそうでした。アメリカの映画に出てきそうな、ずっと大笑いしてるマザーでした(笑)
住んでいた家には僕の1歳下の双子がいたんですけど、週7日の毎日違う習い事をしてたんですよね。月曜日はスケボー、火曜日はタッチフットみたいな。なんでやろうと思って、ホストマザーに理由を聞いたときに言われた言葉が今でも残ってて。
「数ある好きの中から、1番の好きを選べば良くない?」って言われたんですけど、この時にふと自分は「嫌われないようにマインド」で生きてるんじゃないかって気づいたんですよね。
川口:DVとかで苦しみつつも、中3で留学に行かせてもらったりとかを聞いていると、形は違えどもいい親御さんやと思った。
圭吾:それは母の影響が強くて。母が学生時代にできなかった事を、息子にさせてあげようとしてくれてたんですよね。中学受験もそのうちの1つですね。母は高校時代にカナダに留学していたみたいなんですけど、中学時代にこの経験ができてたらと思った事があって、勝手に申し込んでくれてたみたいです(笑)
その後、高校生になった僕は「好きなように生きるスタイル」のまま突き進んでいくんですけど。実際にはその頃から家庭環境が一気に悪化したこともあって、本当に好きなように生きているはずなのに、周りと比べて自分だけ、、っていうネガティブな感情もあって。自分の中ですごいモヤモヤした感情があった。学校にいる間は友達と笑顔で楽しんでいるのに、家に帰れば高校生なりに頑張って作った慣れない手料理を、機嫌悪く帰ってきた父に捨てられたりとか。そういったことが学校生活にも影響してきて、笑っているのに笑えてない自分が心のどこかにいるようになってました。で、高校を卒業してから大学に入るまでの期間に、限界を迎えて僕は家出しています。気づけば、家の外でスーツケースを持って突っ立ってるみたいな(笑)
これが、大学の初め。家のない状態からスタートします。
2-2 . 「居場所」と向き合った大学生活
圭吾:大学入学当初は、母親の住んでいる場所にお世話になることになりました。でも、母親が1人で住んでいると思っていた場所には、娘を連れた新しいパートナーっぽい人がいて。家にはいるものの、ずっとリビングのソファベッドで寝るみたいな(笑)家にいるはずなのに、居場所がない状態。この頃から「居場所ってなんだろう」って、考えるようになったんですよね。だから、人一倍「居場所」についての考えは強かったですね。
○大学1年の夏〜ピースボートとの出会い〜
大学1年の夏に、99万円で世界一周できるっていうピースボートに出会うんですよ。で、僕はピースボートのポスター貼りをやってた人なんですよね(笑)
川口&高倉:あー、あの居酒屋のトイレとかにある(笑)
圭吾:そうそう(笑)
ピースボートには、世界一周したいとか旅に魅了されて何かを始めたいとか、何かしら目がキラキラした人が集まっていたんですよね。そんなバイトに、初めて行ったのがこの時期でした。この世界を見たときに、30代でもフリーターしてたり、逆に中学生でも世界周りたいって人がいたり。
これまで、就職活動が当たり前のルートだった中で「こんな生き方もあるんだ」ってことを知れたのが、ピースボートの仲間達との出会いでしたね。
ピースボートのポスター貼りは日本で5カ所の活動場所があるんですけど、僕は大阪で活動をしていたんですね。日本に5か所しかないからこそ、地方から大阪に住み込んでポスターを貼っている人もいて。そこで、地方からポスターを貼りにくる人たち用のシェアハウスがあることを知ったんですよね。その時は、「シェアハウスって何??」っていう状態から入ったんですけど(笑)
直感で、面白い人たちが集まるその場所に住みたいってなりました。結局、大学1年の12月からそこに住むことになります。それが俺のシェアハウスとの出会いです。
○シェアハウスに住んで気づいたこと
圭吾:それからシェアハウスに実際住んでみて思ったのは、みんな価値観が違うってことなんですよね。そりゃそうですよね、みんな赤の他人ですもん(笑)生活リズムしかり、育ってきた環境も違う。でも、シェアハウスの凄いところは「違いを受け止めて、受け入れてくれる」っていうところやったんですよね。お互いに「そんな生活してたんや!俺はこうやって育ってきたで!」って。
本当にいろんな人が集まってたんですよね。そこで1番楽しそうに過ごしていた人は36歳のフリーターだったり、看護師をしながらピースボートをしているような女性だったり。初めてこんな種類の人と出会えたみたいな感じで。そういえば、女性と一緒に暮らした経験も初めてですね(笑)
それぞれ違ってていい、そのままでいい。誰かに言われたわけではないですけど、そこに暮らす人たちも含めて、その空間から言われている気がして。俺にとっての「居場所」ってこういうことかって腑に落ちた感じですね。
○オンライン授業での生活(大学2年/春学期)
2年生になるとコロナ禍での生活が始まります。授業が全てオンラインになってしまったんですけど、「あれ?オンラインなら、どこに居ても授業受けられるやん!」って思って(笑)僕は、静岡に住むピースボート繋がりの人の元へ行くことにしました。
何か面白いことがしたい!という思いから、彼と一緒に仲の良い友達を全国各地から呼び寄せて、男5人でシェアハウスをすることになったんですよね(笑)なので、大学2年生の春学期は静岡から授業を受けていたんですよ。
高倉:オンラインならではやな(笑)それはシェアハウスの運営ではなくて住人として?
圭吾:そのシェアハウスはちょっと特殊で、親御さんを若いうちで亡くしてしまった同い年の子がいて、そいつの家にみんなで入り浸ってる感じだったんですよね。だから運営では無いです!
川口:要は公認シェアハウスみたいな感じか(笑)
圭吾:そうそう!まあそういう感じで春学期は過ごしていました。富士山を見ながら授業を受けるとかね(笑)
川口:自分の場合は、オンラインで受けるくらいなら休学しようって思ったけど、そういう話を聞くとオンラインはオンラインで良いのかもね(笑)
圭吾:そのシェアハウスは、毎日大好きな友達と遊んで暮らしていたので、めっちゃ楽しかったんです。その楽しい経験の中で、俺が本当にやりたいことはなんだろうって考え始めるようになります。
たくさん悩んだ末、休学中にしたいことがハッキリしていた訳ではなかったけど、ゆっくり考える時間が必要だと思い、時を止める休学を選択することになりました。
「なにがあるかわからんけど、なんかあるんじゃないか」って(笑)
3. 休学ライフ
圭吾:休学の存在は、ピースボートの人たちのおかげで知っていたので、休学は割とすんなりと。そして、大学2年生秋から休学ライフが始まりました。
川口:ピースボートの人たちの中に休学してる人もおったってことよね??
圭吾:そうですね!そこで初めて休学という存在を知りました。
高倉:じゃあ圭吾的には、何かがしたいというわけではないけど、何をしたいかを問い直すために立ち止まる期間としての休学を選択したってことか。
圭吾:そうです!何がしたいかを探してました。
高倉:なるほど。立ち止まる期間としての休学で、"やりたいことを外の世界に探しに行くパターン"と"文字通り立ち止まって、自分と向き合うパターン"があるかなって思ったんやけど、圭吾の場合は前者?
圭吾:そうですね。周りに旅人が多かったこともあるし、自分が知らない世界を見てみたいっていう気持ちも強かったので!
だから、休学した途端に旅に出てます(笑)夏休みを含めて、春学期が終わった7月から2ヶ月間、日本各地を色々と周りましたね。まだまだ、自分が知っている世界は狭すぎると思っていたからこそ、色んな世界を見てみたいという思いが強かったです。
川口:それどっかで誰かも同じこと言うてたな(笑)←(紛れもなく川口)
高倉:(笑)2年生の秋から休学したわけやんか。今、圭吾が運営しているシェアハウス『よしだや』はいつ始まったの??
圭吾:その年の12月です!!
高倉・川口:早っ!!!(笑)
高倉:じゃあ、その休学を始めてから『よしだや』を立ち上げるまでのストーリーを教えてください!!
3-1.旅人・吉田圭吾
圭吾:まず休学を始めて、僕はすぐに旅に出ました。それこそ、ヒッチハイクとか。色んな景色、色んな人たちと出会う旅に出ていました。自分でもびっくりするくらいのスパンで(笑)
沖縄行って、東京、長野、山形みたいな感じでした。ほんの2ヶ月の間に、300人くらいの人に会ってたんですけど、旅をする中で思ったのが
例えば、バイトやめたいー!ってずっと言い続けている人っているじゃないですか。でもそういう人たちってなんでやめられないかっていうと、バイトという1つの居場所が無くなるからだと思うんですよね。
〇〇をしたい。でも、、、っていう人は新たな場所に自分の居場所を持っていないからだと思うんです。こういった気付きの中で、そういう自分自身も居場所を求めている人間の1人であることにも気が付いて。俺自身にも居場所が必要なんだなって。旅を終えてから、さらに「居場所」というワードに意識が向き始めた。
3-2.シェアハウス「よしだや」
圭吾:じゃあ、自分の「居場所」ってどこだろうって考えた時に、パッと出てきたのがピースボートのシェアハウス。だから「居場所」を作る手段の1つとして、自分でシェアハウスを作ろうって思い立った感じですね。そこからは本当に早かったですね。
髙倉:圭吾は、今も「よしだや」に住んでる?
圭吾:今も住んでます!
川口::オーナー兼住人って感じやな。
圭吾:そうです!まずは、自分が住みたかった場所、京都をシェアハウスを構える場所にしようと思いました。風情がある、あの京都らしさっていう感覚が、自分なりの居場所に当てはまっていたんですよね。
京都って決めてからすぐに、1ヶ月間不動産に通い詰めたんですよね。京都の中でも都会は落ち着きがない。自分が目指している居場所とはマッチしない。結局、30分ほどで都会チックな河原町に、10分ほどで山とか川など自然にありつける間の場所を選びました。そこが「そのままでいられる」っていう僕なりの大事な考えにマッチしていたんですよね。
髙倉:圭吾なりの「居場所」に当てはまったんやな。その「居場所」ってもう少し言葉に表せたりする?
圭吾:今の「よしだや」のコンセプトにもなるんですけど「素の自分を出せる場所」っていうのが僕なりの居場所なんですね。で、ちょっと説明が難しいんですけど、そのコンセプトが僕が選んだ場所と「時間の流れかた」っていう文脈でマッチしていたんです。例えば、大阪とか東京って慌ただしくて時間が過ぎるの早くないですか?そんな環境では、僕的には自分の素のままではいられないと思うんですよね。時間がゆっくり流れてる感覚ってのを、旅の中で1番感じれたのが京都だったって感じです。
髙倉:京都は旅の途中で寄った場所のひとつ?
圭吾:そうです!冒頭で話した休学した途端に出た旅の中で、回った場所の一つが京都でした。ずっと、散歩してましたね(笑)
川口:1本、路地に入れば雰囲気がガラリと変わるよな。特別な雰囲気があるな、確かに。
圭吾:ずっと散歩してても飽きない場所。でもって、時間の流れがゆっくりで(笑)あと、このシェアハウスに関して、最初の方に言った「オーナー兼住人」っていう言葉があったと思うんですけど。その言葉は本当にその通りで。
僕自身も、居場所を求める1人である以上は、オーナーであっても住人であることは絶対に変わらなくて。だから、僕も住人だよってのは、他のシェアハウスメイトにも伝えることにしてます。
3-3.シーシャ、それからVS資本主義
圭吾:僕はシェアハウスを作り上げていく中で、空間づくりと資本主義社会での経営ってのにすごい向き合って。まずは、空間作りから話しますね。
○空間づくりについて
シェアハウスって、いろんな価値観を持った違う人たちが集まるっていう前提があるじゃないですか。そのみんな違う中で、全員が心地いい、素のままでいられる空間を作るってすごい難しいって感じたんですよね。僕はそれをどうするかって考えた時に、空間は五感と第六感で出来てると思ったんですよね。第六感は、ここを作った経緯とか想いとか。あとはまあ、家の霊感とかそんなのも入ってくると思います。
空間がこの五感と第六感からできてるって考えた時に、シェアハウスではまず五感にこだわろうと思ったんですよね。嗅覚面ではお香を炊き始めてみたり、聴覚だとジャズとか普段聞かないジャンルの音楽を聴き始めたり。それに加えて、第六感「想い」って部分を伝えようと思った時に、家具をいろんな人からの貰いもので揃えようと思ったんですよね。家具をくれた人の想いとか、俺とその人との関係があって家具をくれているっていうストーリーとか。住人に全てを伝えられてる訳ではないんですけれど、極力伝えるようにはしています。取りに行く費用も考えると、買った方が安いものもあるんですけれど、貰い物で揃えるようにしているのは、空間作りにそういった想いが大切だと思っているからです。実は、この五感のアイデアから出てきたのが今も大熱中しているシーシャなんですよね(笑)
ギャップイヤーB:空間づくりからきたシーシャやねんな(笑)
圭吾:そうなんです(笑)シェアハウスをしてなかったら、シーシャはしてなかったです。五感の要素が多いですし、シーシャを吸いながら話している時間が、そのままでいられる状態にすごい近いって思ったから、シーシャを極めたいなと思って。そしたら、気づけば生業になってたっていう(笑)
ギャップイヤーB:シーシャは、空間作りでいう第六感にもつながってくる?
圭吾:シーシャって作り手によって味が変わったりとか、いろんな人格性格が伝わるものやと思ってて。そこも感じ取れたりだとか、よしだやでシーシャを振る舞う時は空間づくりの想いやストーリーも話すので、その辺りは第六感に当たると思いますね。
○よしだやの経営について
それから、経営の部分。聞いてたらわかってもらえる通り、本当に勢いだけで始めたんですよね。だから、2・3ヶ月で始めるまで至れたんですけど(笑)いざ始めたら、これお金のことも考えないと潰れるぞっていう現実を見せられて。
元々は、お金に対していいイメージがなかったんですね。それこそ、ビジネス上とか上部の関係とかを作り出してしまうこともあるから、お金に対してはいいイメージを持ってなかったんですよ。
だから、居場所を求めてくる住人に対して、お金を払ってもらいたくなかったんです。住人は家賃0円、ゲストもせっかく来てくれてるからご飯もタダでいいよっていう状態で、最初の1年間シェアハウスを経営してたんですね(笑)でも、現実問題で潰れるかもしれないってなった時に、搾取ではなくてお互いに心地よくなるためのお金の手段って、どうすればいいのかって答えを探しに「お金について考える旅」に出ました。インスタの投稿にも載せてるんですけど、38日間京都から大分までの往復旅で「5,000円を15,000円に増やす」っていう旅をしてました。
普通に考えると、38日間5,000円なんて無理じゃないですか(笑)なんなら、京都から大分に行くこともその逆も5,000円じゃ無理。じゃあどうするかってことを考える旅をしていました。その旅から、自分の中でお金に対する概念がめっちゃ変わりました。お金は汚い、悪いものではなくて、ありがとうを伝えるための1つの手段ってのが、お金に対する今の考えです。あくまで1つの手段。だから、ありがとうを伝えるためには、お金じゃなくてもいいんです。ただ、手段の1つにお金があってもいいんじゃないかって。
シェアハウスに置き換えると、そのありがとうを伝える手段って、シェアハウスの運営を考えると住人にとっても僕にとってもお金が一番いいんですよね。
ゲストにとってもお金を払う場所がないから、ありがとうを伝える手段もないんじゃないかっていう話を色んな人から聞いた時に、お金のやり取りをした方がいいか、俺も困ってるしっていう風になりました。で、現在ちょうどこのお金のやり取りってのに取り組んでいる最中です。本当に先月もまだ家賃はもらっていないので(笑)貰ってないというか、払っても払わんでもいいよって感じですね。
川口:福祉に携わってた師匠的な存在の人も、自分が幸せにならないと他の人を幸せにもできないっていう話をしててさ。気持ちが先行し過ぎると、金銭的にうまく運営できなくなるのが、NPOとかがよく陥る話やと思うねん。自分達のことでカツカツやのに他人に手助けできるわけないってのも、結構頭に残って、今の話とちょっと重なった。
圭吾:まさに、大分までの道中におんなじことを言われました(笑)全く同じことです。ただ、よしだやに関して絶対にブラしたくない軸があって。それは、家賃を稼ぐために住人を入れなければいけないっていうサイクルにはしないってことなんですよね。一般的なシェアハウスって、住人の家賃で回るサイクルなんですけど、それをしてしまうと、「よしだや」が「よしだや」じゃなくなってしまう気がするんですよね。なので、今はそこでどうするのかってことを構想中です(笑)アイデアは、秘密で。(ニコリ)
この住人からお金を貰うようになることで、もう1ついい事があると思っていて。よしだやが無料だからという理由で、よしだやに甘えてしまう人が出なくなるんじゃないかと思っていて。例えば、家賃が1万円だったら稼ぐのも難しい額じゃないので、どうすればこの1万円を稼げるかを自分で考えるようになるんじゃないかなと。
川口:確かに。教育でも同じ事が言えて、答えがわからん子にすぐ教えるってのは、その子のためにならないやんか。
圭吾:そうなんですよね。うちには、精神疾患を持っていて接客とかのバイトが出来ないって子もいるんですけど。そういう子たちには、他にも稼ぎ方はあるんだよっていう選択肢を見せたり、色々な生きる術を「よしだや」っていう色々な人が集まる場所から、学んでいって欲しいんですよね。もちろん僕の知識も使ってくれていいし(笑)こういう感じで、みんなをサポートしている段階です。
川口:一時的じゃない、駆け込み寺やな(笑)
圭吾:はい。最終的には、厳しいけど「ここにいるだけじゃダメだよ」って言いたい。
○ギャップイヤーと「よしだや」に共通すること
高倉:今の話はギャップイヤーにも繋がると思って。大学での居場所とか、自分自身の心の在処を失った、いわば迷子になった状態で、自分とかしたいこと探しのために休学する人は結構多いねんけど。心がしんどくなった状態で一度ギャップイヤーを選ぶのは、苦しくなった子が「よしだや」に駆け込むのと似てるのかなって。
怠けようと思えば怠けれるけど、今の状況を変えようとしている中で飛び込んだ新しい環境って意味でね。よしだやで自分の生きる術を身につける状態が、ギャップイヤー中に目的の何かを見つけるとかで、その後大学を辞めるか復学するのかっていう決断を「自分で」できるようになる状態に当たると思う。
川口:休学中って、遊び回ってもバイトしてもいいし、何をしてても言いやんか(笑)そんな中で、自分が何をしたいのか、自分が自分らしくいれる居場所はどこなのかに向き合えるってのが休学のいいところやからさ。「よしだや」は休学を具現化している場所なのかなって気はするよな。
圭吾:生活を心配せずに、自分と向き合うための場所は作ってると。そこからは、逃げてもいいし、向き合ってもいいし。あとは自分次第だよって(笑)
高倉:圭吾は、もし休学してなかったら「よしだや」始めてたと思う??
圭吾:無理ですね(笑)絶対無理でした。時間的な問題もありますけど、1番は経験的な問題。休学ってなんでもできるし、何もしなくていい時間じゃないですか。その時間を自立とか、自分はどうしたいんだろうって考える時間にかなり使えた結果辿り着いたのが「よしだや」やったんで(笑)
川口:素の自分が何をしたいかわからないから、仮置きの場所でとりあえず今の生活を保ってるって人が多く見えるんよな。もちろん、色々な人はいてるけどさ。
4.吉田圭吾のこれから
休学を考えている人たちへ
高倉:圭吾はこれから休学をする人に向けて、何か伝えたいことはある?
圭吾:「休学しただけでは何も変わらない」ってことですかね。休学したら自分と向き合う時間はできる。その時間を向き合うことに使うか逃げに使うかは、あなた次第です。ってことですかね(笑)
川口:「よしだや」と同じやな(笑)厳しいけど愛がある言葉ってのは、よしだやの話を聞いた後やから伝わる。
そこにちょっと言葉を添えてあげるなら「逃げの時期もあっていい」ってことかな。誰しも、常に戦うのではなくて逃げの時期も必要やったりすると思うからさ。
圭吾:そうなんですよね。厳しいことを言いましたが、「よしだや」は一度逃げてくるための場所でもあるんで(笑)逃げた先にも最高の仲間とキッカケがあるのでね(笑)
川口:逃げって言い方もなんか変か。面接とかでも休学は逃げって捉えられる事があってんけど、「逆に逃げれますか?!」って(笑)
圭吾:最高(笑)
ギャップイヤー後の進路
ギャップイヤーB:(以前)ギャップイヤー後の進路が決まってないっていう話やったけど、どういった基準で復学か退学か決めようとしてる??
実は、今は退学を考えています(笑)理由として大きいのは、世界が大学だけじゃなくなった事ですかね。ギャップイヤー中に、生き方の選択肢が増えたんです。会社員になるって生き方だったら、大卒が有利だし大学に行かなくてはいけないと思うんですけど。今の生き方に学歴は必要ないし、他の選択肢も頭の中にあるんです。
そんな中で、今学校に戻るメリットが思いつかなくて(笑)
川口:あえて、復学するってのもいいと思うけどね(笑)俺は休学後の勉強が1番楽しかったからさ。それこそ、空間づくりとか経営を肌で持って経験してる圭吾やったら、面白くないと思っていた勉強の見え方が絶対変わる。
俺からしたら、まだまだ勉強できるってのが羨ましくて仕方ない(笑)
圭吾:確かに。それでいうと、復学よりも転学の方が可能性はあるかもしれないです。今は商学部に居てるんですけど、経営の勉強よりも空間づくりとか興味のある農業を勉強したいので、転学は可能性ありですね(笑)
最後に
~川口~
今回は約2年の休学期間中に、自身でシェアハウスを始めた吉田圭吾にインタビューを行った。
彼の何が素敵って「やりたいと思うことに素直すぎること」だと僕は思うんです。社会人という段階である今、大人になるにつれて、どんどんこの素直さを失っている人をよく見かける。もちろん、大人だから、社会人だから、学生のころとは違い責任の大きさが異なる。しかし、それはあくまでも働く上での話。自分にとってアンテナが向くことに対し、素直でなくなってしまうのは、むしろ大人ではないと思う。
いつまでも、どこまでも。自分自身に素直であり続けること。
圭吾はこれからも良い意味で変わらないだろう。
そして、こんなにも自分自身に素直な大人がいるんだよって伝えて上げることが僕の今のモチベーションだ。
彼の生き様から多くの人が勇気づけられることを願います。