gapとアン。 vol.07

私はgap。今年で30歳になる普通の男だ。

結婚して娘もひとり、仕事もなんとかやっていけてる。

不倫の歴史は古い。

平安時代から男は妻以外の女性を愛し。

女は妻がいる男性を愛した。

独身男性が妻である女性を愛する話はドラマでは目にするが現実にはあまり取り上げられない気がする。

気の迷いか、本気か。

一時の快楽か、真実の愛か。

ルールがあるから破りたくなる。

その破る瞬間に興奮が存在する。

...........................


私はただ黙って歩いた。

とくに自分の意思を示すことなく、ただ黙って歩いた。


「てる子」が差し出したルームカードキーを黙って受け取り、今度は私が少し前を歩く形でホテルへと歩をすすめた。


リーガロイヤルホテル京都

地下2階 地上14階 客室数482を数え,40年以上の歴史あるホテル。

外観からして老舗ホテルの雰囲気を醸し出している。

ドアボーイに軽く会釈をし、

チェックインカウンターを通り過ぎ

エレベーターへと向かう。



私はとても冷静であった。


大人の男女がホテルの一室へゆくということが、何を意味してるかはわかってはいる。


まさか部屋でルームサービスのホテル特製シャーベット(ストロベリー)を食べる訳じゃない。


たぶん、この展開に少し興味が湧いたんだろう。

ドラマや小説では、なくはない展開。

ちょっと日常から飛び出したくなったのかも知れない。


顔を伏せる様に歩く「てる子」。




「!..,.?!!...」

一瞬、誰かが声をかけたように思った。

気のせいかと前を向きなおしたら、そこはエレベーターの前であった。



二人でエレベーターに乗り、階数ボタンを押そうと思い、ルームカードキーに目をやろうとした、その瞬間。

「てる子」が私が持つルームカードキーをスッと自分の手に取る。

そして、開閉ボタンの下にカードキーをかざした。

「チャラリーン」

この音はまさに、『コンビニでおサイフケータイで支払い完了』の音だ!

えっ、このエレベーターは課金制!?

新しいビジネスモデル。

フランスのパリではトイレは有料と聞いたことがある。なるほど。

頭によぎった次の瞬間。

エレベーターの照明がふっと消えた。

再び照明がつくとエレベーターが動き出した。

ん? おかしい。 下へ降りている感覚だ。

ホテルの部屋で地下なんて聞いたことないな。

「チーン」

エレベーターが止まり、ゆっくりとドアが開く。

少し生温かい風が顔にあたる。


階数表示は地下7階を示していた。

つづく。

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