gapとアン。 vol.11
私はgap。
今年で30歳になる普通の男だ。
結婚して娘もひとり、仕事もなんとかやっていけてる。
認められたい承認欲求は持っている、誰だってそう。
クラスメイト、親、先生、取引先、世間。
証が欲しい、認められていると。
存在がここにあるとわかって欲しい、その気持ちだけ。
それ以上を求めているわけではないんだ。
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「かれこれ4時間ほど眠っていたよ」
ラーメンを食べ終えた真っ青な毛むくじゃらは、部屋の隅っこで体育座りをしながら私に話しかけてきた。
……4時間。
結構眠っていたな。
外はもう夕方近くになっているんじゃないかな。
窓もないこの部屋は時間の感覚がない、ましてや時計なんてありもしない。
.....それより、何だあの真っ青な生き物は。
薄暗い部屋で余計に気味が悪い。
gap「あ、あんた。 そ、それは、あれ…」
青「着ぐるみだ。」
かぶせ気味に毛むくじゃらが言い放った。
「あっ…
コスプレですよね。
モンスターかと思って、ビビっちゃった…」
「驚かせてしまったね。気を悪くなさらずに。」
青い毛むくじゃらは渋い声(※ショーン.Kのイメージ)で私をたしなめた。
gap「…UQ WiMAXの方ですよね。」
青「ムックじゃないよ。」
gap「…ドラクエで王冠かぶって、目がキマってる方ですよね。」
青「キングスライムじゃないよ。」
gap「お菓子の食べ方が異常に汚い方ですよね。」
青「クッキーモンスターじゃないよ! いい加減にしろ!!!!」
怒りの声をあげた「真っ青」は、私の膝に低空ドロップキックを放った。
膝から崩れる私。 片膝をつく私に「真っ青」はサッカーボールキック
さらに仰向けに倒れる私に続けざまにセントーン
もはや失神寸前である。
gap「ちょと待て、ちょと待て」
なんだこの動ける「着ぐるみ野郎」は。
やられてる場合ではない。
gap「じゃあ一体なんなんだ、あんた!?」
青「私が誰かなんてどうだっていいこと。私もあなたと同じ状況にいてることに変わりはない。」
gap「あ、あなたがここに来た理由は一体なんなんだ?」
青「……………………」
gap「…………どうしました?」
沈黙が続く。
青「………………………騙されたんだ」
ポツリと青が言った。
gap「……騙されたって、なにが?」
青「…………………………」
沈黙が続く。
青「……騙されたんだよ。
私を755でオフィシャル化してくれるって言ったのに…」
青い毛むくじゃらは少し泣いているように見えた。
つづく
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