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高校の通学路と卒業の日のたこ焼き屋。

JR福知山線 川西池田駅。
高校生の時、通学で毎日利用していた駅。

通っていた高校は阪急電車の駅に直結していたので、JRを利用する生徒は割と少なかった。
朝も帰宅時も人は少なく、1人マイペースに歩ける時間は貴重だった。

たまたま近くに用事があったので駅から高校までの道のりを歩いてみた。
思い出より道は狭いし、ジュースと思って買おうとしたノンアルビールを店員さんに売れないと断られたコンビニはなくなっているし。

たまに柿の実を拝借していた木は当時のまま残っているし。

カッコつけて排水路の影で吸ったタバコの思い出はそのままだし、

でも歩いてみて思った。
立ち並ぶ家の様子や建物はあまり覚えていないけれど、足元や道路の形状はとても懐かしく感じた。
つまらない学校への通学は、下を向いて歩く毎日だった。

高校の向かいにある当時古びた建物だった短大は綺麗になっていた。
この短大に通う男子学生が、毎日タバコと缶コーヒーを片手に通学していたことを思い出す。
高校を出れば、自由になれるんだ。
今は吸わなくなったタバコが当時は自由を手に入れた、大人の証だった気がする。

通学路から少し外れた場所にあった古いスーパーマーケットも今はない。
年季の入ったタコ焼き屋があり、おじちゃんが1人でやっていた。

卒業式の日、いつも阪急電車で帰るクラスメイトが、私だけが利用するJRへの通学路から一緒に帰ってくれた。
私はそのタコ焼き屋へみんなを誘い、高校生活最後の買い食いをしようと思った。

タコ焼きを注文すると、いつも無口なおじさんが「卒業おめでとう」と一言。
そして灰皿を差し出してくれた。

一同は爆笑して「おっちゃん、ええなぁ。最高やわ。」
みんなで笑いながら食べたタコ焼き、すごく美味しかった。
ただ堂々と吸うタバコが、少し不味くなっていた。

大人になるということは、背徳の味が一つ減るのか。
高校最後の日、そのタコ焼き屋の記憶だけは、今でも鮮明に覚えている。

撮影機材
OLYMPUS OM-D E-M5
Panasonic LUMIX G 25mm F1.7



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