gapとアン。 vol.09

私はgap。

今年で30歳になる普通の男だ。

結婚して娘もひとり、仕事もなんとかやっていけてる。

境界線は何も国と国を分ける国境だけじゃない。

土地の境界線は不動産売買において最重要懸念点だし、

マンションの廊下は共有部分なのにドアを開ければそこは専有部分だ。

コンビニだってレジを挟んで店と客とを境界線で分けている。


境界線の向こう側を覗くことは、秘密を知るようで蜜の味がするが

知りたくない現実を知るトゲでもある。

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gap「755 !?」


"おい、小嶋陽菜に恋愛の話はNGワードだ!"

"xxxはだめよ。もろ下ネタじゃない!"

"離婚はNGワードだよ….ん? あぁ、『ふっくん』ならOKだ!"

「指原さんのフォローはどうなってる!? また突然やめられたらどうするんだ!」

「おい、新入り! 中の人間がプログラマ部屋に質問してるんじゃない! 」

もはや怒号と言っていいい。


次から次へと画面に映るテキストをOKかNGかを判断しているようだ。

証券取引所の慌ただしいやりとりをイメージしてもらった方がいい。

流れるテキストをただ目で追いかける者、

インカムをつけて、フロア中を歩き回って指示を出す者

奥の方では何やら商談をしているようにも見える

「こ、これは!?」

「ここは755のコメントチェエクセンターです。

ここには755内に投稿されたテキスト、写真が全て集まります。

その一つ一つを私たちが監視し、判断しているのです。」

いつのまにかインカムを付けた"てる子"が教えてくれた。



「まさか京都にあったんだ。てっきり東京にあると思っていた。

しかし何で私を呼んだ?

 芸能人でもなければ、けして755内でフォロワーが多いわけでもない、この私を?

そしてお前は何者だ?」

「先輩、突然すみません。詳しくは私から説明します。実は私の妹が…」


バン!!

入り口のドアが開いた。

「私が代わりに説明しましょう。」


不意な出会いに人は言葉を飲んでしまう。



サイバーエージェント藤田晋社長がそこに立っていた。

つづく

 

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