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CONTAX T (初代)について(1/3)

京セラヤシカが独Carl Zeiss社と組んで1984年に出した高級コンパクトフィルムカメラ、CONTAX T(初代)について紹介します。

まだ高級コンパクトカメラという市場がなかった時代に忽然と登場したためか、売上的にはそれほど大きなヒットとはならなかったようです。
しかしながら、1990年に登場した後継機のCONTAX T2は大ヒット。
T2こそが高級コンパクトカメラ市場を築いた、といっても過言ではない売れ行きで、現代でも中古市場で高値で取引されています。

そんなT2と比べると初代Tは目立たぬ存在ではありますが、レンズの描写やデザインの美しさは決して劣るものではありません。

ここではCONTAX Tについて、長年使った経験を基に、3エントリーに分けて記していきます。

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まず、今回は長所の紹介から。

長所

・写りの良さ

Carl ZeissのT*レンズの写りは本当に素晴らしいの一言です。
カラーフィルムでの色鮮やかな表現、モノクロフィルムでの切れ味鋭い立体感ある表現。
この小さなレンズからとはとても信じられない、素晴らしい描写をします。
特に絞りを絞った時の描写は、最新のフルサイズミラーレス機で撮ったといっても信じられそうな、鋭い線と階調豊かな写りをします。
自動露出も概ね適切に行われています。

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・美しいデザイン

ポルシェデザインによるデザインは、コンパクトさと存在感、相反する二つの特性を見事に両立させています。
デジカメも含め、コンパクトカメラのデザインの中ではトップクラスの完成度といっても過言ではないと思います。
金属の塊の様なソリッドな見た目ながら、手が当たる部分は丁寧に面取りがされていて、手に持って持ち歩きたくなるような心地よさがあります。


・レンジファインダー

このサイズでレンジファインダー(距離計)搭載です。自分の目と手でピント合わせを行います(マニュアルフォーカス)。
T2以降の高級コンパクトカメラがすべてオートフォーカス(AF)搭載なことを考えると、短所に感じるかもしれません。
確かに、シャッターを押すだけでピントが合うAFは便利です。
ただし、AFのコンパクトフィルムカメラはいずれも、対象物にピントが合っているかファインダー上で確認できないまま撮影することとなります。
極端な話、望み通りの場所にピントが合っているか、フィルムの現像を終えるまで確認できません。

しかし、マニュアルフォーカス(MF)でレンジファインダー搭載の当機ならば、そんな心配は不要です。
自分の目と手でしっかりとピントが合致させてから、シャッターを切ることができます。


・サイズ

とにかくコンパクトです。
ジャケットのポケットはもちろん、ズボンのポケットにすら入るサイズで、持ち歩きが苦になりません。
フロントカバーを閉めれば突起物がなくなるので、ポケットからの出し入れで引っかかることもありません。
コンパクトながら写りの良いことで有名なカメラとしてRollei 35がありますが、これとほぼ同サイズ。
しかし、Rollei 35にはレンジファインダーが搭載されていないことを考えると、CONTAX Tの凄さが一層際立ちます。


・静か

ピント合わせは手動のため、モーター音はしません。
フィルム巻き上げも手動なので、ほぼ無音で巻き上げられます。
レンズシャッターなので、シャッター音は30㎝離れればほぼ聞こえません。
スピーカーが無いので、セルフタイマーなどの電子音も一切しません。
図書館やカフェなどの静かな場所でも、迷惑をかけることなくシャッターが切れます。
他の高級コンパクトカメラと比べた時、これが一番大きな違いかもしれません。


・シンプルさ

フロントカバーを開ければレンズが出てきて、電源がオンとなります。
撮影モードは絞り優先オートのみなので、後は絞りとピントを設定して、シャッターを押すだけです。
あらかじめ絞りをf8にしてピントをパンフォーカスに合わせておけば、カバーを開けてシャッターを押すだけです。
取り終わったらカバーを閉めるだけ。レンズは自動で収納され、レンズキャップも不要です。
シンプルで直感的、初めて触っても迷うことがありません。

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次回は、短所について記します。


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