今更ですが

3、今更ですが


今更ですが、少々変わっている僕のスペックを。


52歳、男性
職業ヘビーメタルシンガー
バツイチ、子無し、独身、O型


スペックを公表すると、いきなり印象が変わりますよね?

ちなみに、酒もタバコもやりません。

ミュージシャンというだけで大酒飲み、ベビースモーカーと勝手に思われがちですが。


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さて、そんな52歳はまだまだ診察中。


手術をするにせよ、しないにせよ、ここから先に進む為には詳しい検査が必要になるらしい(当然といえは当然だ)。

7月19日〜22日に検査入院する事を打診された。


「ご両親にも癌である事を伝えてください。
これから大変な事が続きます。
その為の準備をして下さい。」

そう言われて外に出た。



梅雨時なのによく晴れた帰り道。

湿気がうっとおしくまとわりつく。



そうか・・・

僕への癌告知は、僕の肉親への癌告知にもなるんだ・・・


僕の場合83歳の両親が健在だから、チームリーダーは両親という事になるそうだ。


そこはそれ、悲しいかな、ミュージシャンの定石。

僕も両親には心配をかけまくってきた。

地元にも戻らず、せっかく結婚したのに離婚して、孫の顔を見せられず、親不孝の限りを尽くしてきた。


その上癌告知だ。


「親より先に死ぬのが一番の親不孝」という言葉があるけど、そうなってしまうかも知れない。

どんだけ親不孝なんだよ。

この事実に気付いた時は、さすがに運命を恨んだ。



そして短時間に「癌」だの「大腸全摘」だの「人工肛門」だのパワーワードを叩きつけられて朦朧として分からなかったけど、診察でとても気になった事があった。


それが外来医の流れ作業感だった。


確かに相当時間が押していた。

忙しいのも忙しいんでしょう。

それにしても、だ。


あなたにとっては日常の事だろうし、治療の方針も決まらない事案に時間を割くのは無意味なのだろう。


しかし、こちとら命がかかっている。


このままこの人に身を任せて良いのか?(外来医と執刀医は別になるんですけどね)


そもそもこの大学病院で良いのか?


内視鏡検査を受けた時に

「長く続く治療だから、通いやすいところが良いですよ」

と言われて選んだ一番近いというだけの大学病院。


もしかすると、いろいろ調べてみたら大腸を温存して治療してくれるドクターが見つかるかもしれない。

人工肛門もまぬがれるかも知れない。


僕は何事も納得いくまで調べるタチだ。


癌という圧倒的絶望の中で、久々にプラスの感情が湧いてくるのを感じていた。


しかしこの後、第2、第3の絶望が襲いくる事は知る由もなかった。


続く




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