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一日遅れのエイプリルフールに残すメモ

 今日も今日とて、某国立機関様とのやり取りが続いているのだが、化石のような書式が再び出てきて戦く。うちの事務の方に「この書類って、最近やりとりしてたっけ?」と聞いてみたところ、そんな書類はもうとっくに廃止している、と言われる。未だに、その書類を求めてくるところがあるの?と事務の方に聞かれる。某機関様なんですが、と答えたら「あーーーー」とのお答えが。色々聞いたが、これは押印省略なんぞ、ほど遠い世界だ。アホみたいに長い部署名といい(しかも、殆どが無意味で部署名の一番最初だけあればいい)、一周回って面白く感じ始めている自分がいる。

 ちょいと他の機関と違って「特別すぎる」対応が必要らしく、今回のやり取りをマニュアル化して残しておこうと思っている。ちなみに、本日の最後に来たメールによると、また書類一式がスライドして違う部署(クソみたいに長い部署名の最後から2つが削られて、1つ新たな名前が付いた)へと移動したようだ。これで3カ所目だ。まさにステップ・バイ・ステップ。次に2つ戻るイベントが発生しない事を祈りたい。

 スライドする前の部署からは書類が一枚届いて、この内容でOKか確認して返事をよこせという。その書類(印刷したものに押印されてスキャンされていたが画質が凄く悪い)に意味は100%なかったし、そもそも私が望んだものでもない。でも、彼らは「その書類を出すのが仕事」なのだろう。どうでもいいのだが、とりあえずOKと回答する。儀式みたいなもので、そうしないと次のステップに進めないのだ、きっと。その書類は恐らく郵送されてくるが、そもそも私にとっては100%必要ない書類なので届いてもゴミ箱行きだ。それよりも一体、何度違う部署の人達が書類一式を確認すれば気が済んで決済が降りるのか未だに見えない。まるで星新一のSFの世界に迷い込んだような気分だ。

 たぶん、私はあまり事務作業、いわゆる総務的な経験が殆どないので、面食らっているのだと思うが、少なくとも大学より数段は面倒くさそうな世界である。こんな書類に追われていたら何も進まないと思う。全てが遅い大学よりスピード感が遅いってやばいんじゃないかと心配になる。自分達で自分達の首を絞め合って、積もり積もった書類でギューギューと苦しんでいる風景が浮かぶ。そんなことをLINEで某国立機関の某先生に漏らしたら、やはり「あーーーー」とお答えされたうえで、「あそこは特別だよ。昭和で時間が止まってるのさ」と返事がきた。

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 何が凄いって、そもそもの発端は向こうからの要求だったことだ。私が何かの書類を求めてアクセスしたのではなく、向こうの機関に所属している研究者のための書類を私にアクセスして要求してきたのだ。自分たちで書類を要求して(雛形みたいなものを送ってくることもなかった)、私が作成して提出して、自分たちで駄目出しして、私に修正をさせて、私が求めてもいない書類を勝手に発行して確認しろと言い、修正した書類を横にスライドさせて、また新たな部署がチェックしている。全くもって意味がわからない。

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 メールでやりとりしている相手は本当に実在しているのだろうか?部署を異動して違う方とやり取りが始まるが、本当にその人は実在しているのだろうか?名前だけ変えて、実は全ての操作を、同じ人がやっていたりすると面白いのに、と思う。ちなみにメールのやり取りの途中でCC欄に突如として増える人達の名前に対しての説明も一切されない。そのまま書類はスライドしていった。あのCC欄の人達は実在しているのだろうか?

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 たぶん、世の中には、こういう風に「何かを生み出したつもり」になる仕事ってのが沢山あるのだろう。生産性のかけらもないどころか、むしろ研究者の活動の邪魔をしている。書類をこねくりまわして、横に回して、印鑑が増えていって、それで仕事をしたことになる世界だ。研究者は年度末に必ず「論文何本書いた?学会発表はいくつ?」といった内容を聞かれる。X月頃には自己評価書を作らなければならない。それすらも私はクダラナイと感じていたが、こうやって「印鑑を幾つ押した?」みたいな世界線もあるのだと勉強になった。

 まだまだ学ぶべきことがある。経験値はまだまだ上がるのだ。同じ経験を誰かがして溜息をついていたら、今度は私が「あーーーー、あそこは昭和で時間が止まってるんだよ」と教えてあげたい。たぶん、20年後も、30年後も、同じ事をしているに違いない。令和の今もこれなんだから、きっとこの先もブレないだろう。もはや、廃止されてXX年の書類を未だに要求し続けるのだ。かつてのSFの世界で良く描かれた「取り残されたロボット」のようにプログラムされた同じ動作だけ続けるのだ。午後5時以降は一切返事がこないことからすると、午後5時にスイッチが切られるようにプログラムされているのだろう。

 次に返事が来るであろう月曜日が待ち遠しい。

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