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子連れ出勤に対する罵詈雑言を見て悲しい気持ちになった日



注意)単なる「それってあなたの感想ですよね」です。このエントリーに深い意図もなければ、なんらかの対立を煽るつもりも一切ございません。



 ちょっと前のこと。対面会議になった久しぶりの出張で、お初にお目にかかる方々を紹介されて、名刺交換をして、会議をして、その日の夜に再び集合して飲んで親睦を深める(割とガチめのディスカッションをする)というのを久しぶりにやった。あぁ、そういえばコロナ前はこれが普通だったなぁと、酔っ払い状態でホテルまでの道を歩きながら、しみじみと思いだした。途中のコンビニで朝食を買う。私は酒が入ると、水分を大量に飲むので、歩きながら飲む500mLのペットボトルだけでなく、でかいペットボトルの水も買う。ホテルに戻り、シャワーを浴びて、水をぐびぐび飲みながら、名刺交換した方々に御礼のメールを書く。こういうの懐かしいなぁとしみじみと思う。

 で、その飲み会で初めて会った某先生に酔っ払って絡まれた。先生はひたすらと「女の敵は女なんですよー」と男ばかりの飲み会で熱弁されておられた。反応に困る(笑)。こういうのもなんだか懐かしいなと思ったが、詳しい話を聞くと、そりゃぁ笑えないレベルで大変だな・・・と震えた。なんで、こんなことを思い出したかというと、ツイッタランドで、海外在住の方が日本の子連れ出勤の記事に文句を付けていたのがバズっていたからだ。

 うーん・・・・・と思いながらスレッドを見ていた。フェミニズムがどううのこうのとか、出羽守がどうのこうのとか、は置いておいて、子連れ出勤そのものが「悪」であるという捉え方が存在することが、私にとっては「?」だったのだ。え?そうなの?という驚き。そうか、世間一般では子連れ出勤を周りが迷惑だと思ったり、子連れでも出勤させるほど働かせるようなブラック労働環境だとか、職務専念義務に違反しているとか、そういう捉え方があるのだなーという新しい気づきだった。ちなみに、該当記事のヤフコメ欄も散々たるものだ(ヤフコメ民なんて、この世の意見の参考になんて0.0001ミリすらにもならないけれど)。

 ちなみに、私は子連れ出勤を何度も何度もしたことがある。コロナ禍の最初の頃も学校が休校になっていた間はバリッバリに子連れ出勤をしていた。

 大学という環境もあるかもしれないが、少なくとも私の周りでは、事務の方も技術系の方も子連れ出勤をしたことがあるし、赤ん坊が職場にいたことだってある。子連れの懇親会もコロナ禍前はやってた。そして、今、うちにいらっしゃった若い先生も、バリバリに子連れ出勤をしている。

 ツイッタランドやヤフコメ欄をみて・・・周りに迷惑をかけていた可能性があるのか・・・とか、本来なら休みをとらなければいけなかったのか・・・とか考えていた。子連れ出勤、そんなに悪いことですか?と。というか、子連れで出勤した時に、通常時と変わらないタスクをこなそうとか、どだい無理じゃない?でも、タスクを少しでも消化できるなら、積み残しは確実に減るし、そもそも少しでもやりたい仕事が出来るなら、それはいいことじゃんとか思ったり。でも、世間はそうは思わないらしい。

 ・・・いやはや子連れで出勤しても特に何も言われない環境で良かったなと思う。もしも、こういうヤフコメ民みたいな罵詈雑言を投げ付けられていたら、子育てに心が折れていたかも知れない。子育てに優しい環境に感謝である。先日のオンライン会議では、某先生の息子が乱入してきて、学部長から理事からみんなでホッコリした。ちなみに某学会の事務局会議(オンライン)では、某先生はいつも子連れだ。画面に映ると、ちょっと楽しくて学会理事長が猫なで声になる(笑)。そういうのもいいんじゃないかなーとか思うんですが、世の中は違うのかー。というか、周りに他人の子供がいると、そんなに集中力やタスク処理速度が落ちますか?みんな、そんなに目を見開いて、就業時間中は数分の余裕もなく、脇目も振らずに仕事に全集中しているの・・・とヤフコメ欄を見ながら、ちょっと怖くなる(ヤフコメ民なんて、この世の意見の参考になんて0.0000001ミリすらにもならないけれど)。

 ツイッタランドに戻ると、かのツイ主さまは、子育てを女性に押しつけているという最初のご意見から、行政の怠慢だとかに方向が変わっていた。そんなツイ主さまに絡んでいくコメントに目を通していて思ったのは、結局のところ「寛容さ」みたいなものが失われてしまったんだろうなーということである。子育てに関する寛容さの消失度合いはどんどん進んでいて、ベビーカーの問題とか、公園が閉鎖されたりとか、諸々の事象もそういう"子供に対する不寛容さの増進"から来るのかなと。もう世間は子供が普通にそこら中にいることを許容しないのだろう。

 結婚して家庭を持つのが「普通だよ」と盲目的にすり込まれていた時代から、結婚するのも子供を持つのも「個人の自由=選択だよ」になった。でも就職氷河期の世代(以降)は本当にお金がないので、希望する人もその選択をすることが出来ない、つまり自由ではなくて、それは「贅沢な選択」になった。その結果として「視界に子供が居るという状況」が相対的に減少していき、今まで子供が周りにいた体験そのものがなかったり、その選択を出来なかったりと、なんらかの背景を持つ多数の方々にとって子供はノイズなんだろう。目障りなんだろう。(謎の)マナー違反とやらになるんだろう。そういう世の中になってしまったのだろう。

 現代の日本は色んな物事に対して寛容さが消失した時代(不寛容社会の時代)だけれども、特に子育てに対してはその消失ぶりが激しいのではないか。

 個人的には職場に子供がいたっていいじゃんと思うのだ。EU議会だって子供を連れてきてたじゃん。いや、もちろん子連れで出勤しなくてもいい世の中ってのが理想だというのはそうなんだろうけれども、子連れで出勤したいっていう選択肢を叶えることも出来る世の中もいいんじゃない?と。もちろん子連れ出勤は駄目だと宣う自由さも必要だし、危険な環境に連れて出勤するのは絶対的に駄目だと思う。ちなみに、ヤフコメ欄を見てたら、どんな職場にもハサミやカッターもあるので危険だとか書かれていて、箱入り娘とはこのことかと戦いた(ヤフコメ民なんて、この世の意見の参考になんて0.0000000001ミリすらにもならないけれど)。

 子連れで出勤したら効率は落ちる。そりゃ、しょうがないよね。周りに迷惑をかけないように子供をカバーしなくちゃいけないし。でも、キャリアを止めなくても続けたい仕事が出来るってのも良い選択肢だと思うんだけどな。

 大学(というか、私の職場)はそういう意味では子連れ出勤は全然OKだ。私の職場が特殊ということもなく、周りの先生達でも普通にあるし、教員だから文句を言われないのではなく、事務の方も連れてくるし、普通に選択肢として存在している。というか、子供がいても、私の職場の皆さんは普通に仕事してたよね。通りがかりに声をかけたり、昼食時にちょっと面倒を見たりとか、親がトイレにいってる間に話しかけたりとかはしつつ、各個人は個人の仕事をしてる。たぶん、年配の人達が子育てに慣れてるとか、育てている側も連れてくるタイミングとか、どこで奥様と交代するかとか、トイレに行く時にどうするかとか、特に問題なく、うまく流れてる。・・・ただ、まぁ、仕事量が減ることはないので子連れで出勤しまくっていた、コロナ禍の最初の頃は文字通り地獄だったなぁとは思う。子連れ出勤で効率が落ちても、仕事が消えることはない。

 そういえば、コロナ以前は学会にも普通に子連れで参加していた。海外で開催された国際学会に子連れでいった時は、懇親会の会場で何十人にも「可愛いね!握手して!」といじられまくった。こういうのもある意味子連れ出勤だろう。日本の学会でも子連れで出席している人をみかけるし(講演中に泣き出して出ていくのを目撃する)、大きな学会だと会場や会場の近くに託児所が確保されてる。いつも同じ時期に開催する学会の地方会では、毎回子供を連れて来る先生がいて、毎年の成長が楽しみだったりした。少なくとも私の周りで、ヤフコメ民みたいなことを言う人は居なかった(ヤフコメ民なんて、この世の意見の参考になんて0.0000000000000001ミリすらにもならないけれど)。

 アカデミアという世間知らずの狭い世界だけれども、その点に関してはラッキーだったんだなと思い知る。私の職場がド田舎というのも関係しているかもしれない。子供が居るということに違和感を感じない、寛容さの消失度合いがそれ程でもないのがド田舎の良いところかも知れないなぁと、ツイッタランドやヤフコメを見ていて思った。田舎は子育てがしやすい、というのは、そういうところも要因だろう。その一方で都会人にとっては、夫婦以外が子育てに関与することに対する拒絶感も強いだろうし、犯罪への警戒や安全への配慮から警戒心がそもそも強いと思う。このあたり、難しいなーと。

 でも、子供をもつ親としては、子供や子育てに対する世間の寛容さが戻ることを期待したい。未来に期待をもてる異次元の少子化対策が来ればいいなと願っている。

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