マジックアワー
仕事疲れたなぁとか人間関係むずかしいなぁとか
ちょっと下がっている時は
ちょっと酔っ払っているみたいだ
夕方、お腹が空いてて近所をふらふら散策しているとオシャレなお店が佇んでいた
女性の方が1人で店番をしていてお客はいなくちょうど1人目のお客が私だった
お腹が空いてたのにわざわざ入ったお店はビール屋さん
しかし、その空間に2人しかいなかったと言うこともあり空腹を忘れビール片手に
お互いの身の上話からお店の常連さんの話までいろんな話で盛り上がっていた
そこにチャリンコで大きなリュックにネギを刺し
ブリ柵が2本入っているビニール袋を片手に常連の男性
歳も近かったので3人でまた盛り上がった
「スーパーのオオゼキにはそれぞれ専門がある。下北沢のオオゼキは野菜、松原のオオゼキは魚!」
とさすがリュックにネギを刺しているだけある料理好きな男性
そこで私はすかさず
「ジャンルごとに特化しているオオゼキ!品揃え横綱ですね!」
と意気揚々に放ってしまった
少しひんやりとして空気が下がった感覚
その後のことはあまりよく覚えていない
男性の方がタバコを吸いに外に出てしまい
私も逃げるようにお会計を済ませた
「また来てください」と店員の方の言葉が痛かった
マジックアワーとポップに書かれている看板
魔法の時間と言わんばかりの一瞬で儚く美しい出来事
店名だけが私を慰めてくれているようだった
ちょっと下がっている時は
ちょっと酔っ払っているみたいだ
少し度数の高いIPAがまだ口に残りほのかに甘い
もうちょっとだけ酔っ払っていたいみたいだ