見出し画像

86_課題

大学生が作る南三陸のドキュメンタリー映画

私は大学に入学したく無かった。どうせつまらないと思っていたからだ。第三志望で合格を掴み取った大学は、滑り止め程度で受けた大学で、東京でのキャンパスライフに期待はなかった。
しかし、ひとつだけ興味を持って取り組めるものがあった。それがサービスラーニングという授業だ。他学科他学年に友人ができ、地域の大人ともつながり、何より自分の「やりたい」を実現できる。動画編集したことない、撮影方法なんて知らない、臨床心理学科の私が「やりたい」のひとことでドキュメンタリー映画を作ってしまったのだ。


私は、同じ学科の友人に誘われて2年の秋学期からサービスラーニング Dの授業を取った。サービスラーニングとは、「これまでの学習経験を応用しながら、ある特定の社会や地域に貢献する活動を通じて市民性や社会性を育む実践的な教育」である。
一般的な大学の講義と違うところがいくつかある。座学ではなく実習がメイン、全学科全学年履修ができ、何度でも単位認定される。先生だけでなく学生間でも毎回コミュニケーションをとる。必ず振り返りがある、などがあげられる。
また、サービスラーニングには、A~Dまでの種類がある。その中でも私は、サービスラーニング Dの授業を取った。そこでは南三陸ツアーを学生だけで運営することをメインに、ツアー以外は地域貢献の活動をしている。
私がこの授業を履修した理由は友人に誘われたことと、東北や南三陸町に興味があったからだ。
大学生になる前に私は当時通っていた塾の先生と共に、東日本大震災から約5年が経っていた東北に足を運んだ。ニュースでは放送されなくなった東北はてっきり元の状態に戻っているものだと思っていたが、建物がなくあたり一面盛り土されていて、復興とは程遠いものだった。その光景に衝撃を受けた私は、何かできないかと探した結果、毎年東北に通い現状を知ることだった。
私の大学は、宮城県南三陸町にエリアキャンパスいりやどを持っている。そこは、宿泊施設兼研修施設になっていて、一般の観光客も宿泊できる。毎年2回、夏と冬に私大ネット三陸でツアーを開催されていて、大学1年時はそれを利用し東北の宮城県南三陸町に足を運んだ。
2年時夏にはサービスラーニング Dで学生が作ったツアーに参加し、授業にも興味を持った。私は大学入学後初めて期待を感じた。


サービスラーニング Dのツアーや授業での活動を通して大学の楽しさとやりがいを感じていた。他学科他学年との交流ができるため自然と友人が増え、先輩に飲みに連れて行ってもらうこともしばしば。学際ではカフェを出店し、南三陸町やサービスラーニングDの活動を知ってもらうため履修生一丸となって準備に励んだ。うまくいかないことも、授業時間外で集まることもあったが、授業なのにも関わらず確かに青春を感じていた。
しかし、私がこんなにも楽しさとやりがいを感じている授業の履修者数は年々減ってきていた。なぜ1年生は履修しないのか、私の友人たちは履修しないのか考えた。それはサービスラーニングの存在を認知されていないからと、認知されていても大変な授業として認知されている。サービスラーニングの認知度を上げるため、大変な授業ではなくやりがいがある授業と認知してもらうため、そして履修者を増やし共に青春する仲間を増やすため私は映画を作ることを学祭後の打ち上げで宣言した。
当時私は他の授業でMVを作った。それを友人や専任講師の齋藤先生に見せると偉く評判が良く、皆面白がって見てくれた。映像を作ることに興味があったので、サービスラーニングDでもそのように楽しんで見てもらい認知してもらってはどうだろうかと考えた。齋藤先生にそれを伝えると「じゃあ、それで」と一言。


映画を作ると宣言したものの冒頭でお伝えした通り、動画編集技術や撮影方法の知識など皆無。学生にサービスラーニングDの活動を知ってほしいということ以外は何も決まっていなかった。目的は決まっているが製作方法が全く決まっていなかった。動画編集技術と撮影方法の知識がないという2つの壁が立ちはだかった。しかし、その2つの壁は難なく崩すことができたのだ。サービスラーニングD履修生が、動画編集技術と撮影方法の知識が豊富な放映の学生を紹介してくれたのだ。彼は放映の4年生で卒業後も映像の仕事につくことが決まっていたプロフェッショナルだった。南三陸ツアーを撮影することも決定し、私にとってはサービスラーニングDの活動と共に南三陸町のことも知ってもらえる一石二鳥の機会となった。


南三陸ツアーが終了し、全ての撮影が終わった。インタビューをしたり、極寒の中での撮影をしたりもした。初の映像撮影で過酷な状況もありながら南三陸ツアーの3泊4日を過ごした。こちらが本編の予告編である。
(https://www.youtube.com/watch?v=cMI1wori97o&t=17s)
本編はまだ完成していないが近日公開予定だ。


サービスラーニングDは、やりたいと言ったらやらせてくれる環境が揃っている。今回の映画製作では、先生が研究費でSDカードを購入してくれた。また動画編集技術と撮影方法の知識が豊富な放映の学生を紹介してくれたように、学生間のつながりも強い。先生だけでなく、横のつながりである学生も一緒になって考えてくれる。授業外での活動時間も多いが、その反面先生や学生と共に活動することも多いということなのでつながりも濃いものになる。何より、臨床心理学科の私が映画を作れるような、やりたいことをやれる授業なんて他にあるだろうか。
自身のやりたいを実現でき、同じ立場の学生と共に成長し、しかも何度でも単位認定される。こんな授業他にあるだろうか。
サービスラーニングDを履修した卒業生が口を揃えて言うことがある。
「この大学でよかった」


noteは、普段考えていることを文字で吐き出す
Instagramは、普段考えていることを形にして表現する

写真撮ってるので見てください
https://www.instagram.com/ganometherapics/?hl=ja

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?