それは全て私のせいだ、だからお前はお前を許して走り続けろ
「俺はもう少し一緒にやりたかったよ。お互い考えてることが一緒じゃなかったんだよね。」
私のお気に入りの曲が流れる仕事終わりの車内に、濃いめのハイボール缶を飲む先輩の哀愁が漂った。東京の街頭はどこまでも続いていて、ハイビーム知らずの道をただ進む。
先輩は、永遠だと思っていた仲間とのしばしの別れを決断したらしい。あれもこれもとスピード感を持って何でもこなす先輩とはとても気の合う仲間だった。早く行きたいなら一人で行け、遠くに行きたいならみんなで行けとはよく言ったものだが、先輩にとっては「遠くに行く」フェーズを今まさに目の前にしていた段階であった。だからこそ、言葉の重みがのしかかる。
遊ぶ、飲みに行く、仕事をする、と必ずあるのがパートナーの存在。友達、親友、恋人、家族、仲間、同志、心の友、共同経営者など、さまざまな呼び方がある。本当に心から信頼しきれる、背中を任せ合える、問題があった時に正常に話し合い助け合うパートナーがあなたにはいるだろうか?
私にはいる。と思っている。
共に語り続けるパートナーがいる。ふざけ合えるパートナーがいる。熱くなれるパートナーがいる。
しかし、昔から今もずっと長く関係が続くパートナーが何人もいるわけじゃない。活動も思うことも感じることも変わるから。
離れるし、素敵な巡り合わせもあるし、個々人でさまざま状況があると思うが、大切なことはやるかどうかだ。
やるやつにはやるやつが、熱いやつが、いいやつが集まる。何でもいい、とにかくやるんだ。
あなたはやっているか?
やっていないのならとにかくやるんだ。踊れ、書け、撮れ、演じろ、笑わせろ、作れ、あなたのやりたいことをやれ。
何もないなら、とにかく走れ。限界まで、毎日、ずっと、昨日よりもっと走れ。
やらない理由が浮かんできたやつ、全て私のせいにしていいからとにかくやれ、とにかくやるんだ。
今の自分を許して、他のことを全て私のせいにしてとにかくやるんだ。やり続けろ。
孤独か?安心しろ私もいるから。
パートナーがいるいないとか結局のところどうでもいいんだけど、私にとって、熱いやつや、やるやつがいるということはとても励みになる。私もそいつらの、熱いやつややるやつになっていたらそれ以上の喜びはない。
「彼と一緒にやろうと思ってたこと、彼がいなくてもやるけどね。」
長い付き合いの先輩は先輩のままだ。田舎者の私には、都会で出会う人々は冷たい人ばかりだと思っていた。しかし、それは偏りすぎた見方をしていただけで、私の周りには熱いやつばかりだ。
「りくくんもやるでしょ!」
頬が赤らみさっきよりハイテンションで呂律も怪しい先輩。
ロング缶はいつもよりハイペースで空になっていた。