見出し画像

281_僕たちは子どものまま_4

こんな形で君と居ることはあまりにも不都合だ。

彼女がシャワーを浴びた後、入れ替わるように僕もシャワーを浴びに行った。シャンプーの香りが残った湿った空間で考える。この匂い、この温度が今の彼女と同じだと思うと、興奮したが、同時に虚しさが襲った。

この中途半端な関係、状況で重なって彼女の何がわかるんだ。何か前進するのだろうか。

僕はシャワーを浴び終えた。居酒屋に居た時と変わらない彼女がそこにいた。なんとなく、とても慎重に彼女の隣に座った。その瞬間、シャンプーの香り、照明に艶めく濡れた髪、簡易寝巻きから覗く肌、彼女の色気が僕に襲いかかる。

もしかしたら、これから楽しいことがあるかもしれない。彼女があられもない姿で僕の前にいるかもしれない。僕の思い通りに。心臓の鼓動が上がるとともに、身体が熱くなる。もうどうなってもいいから、早くこの欲望をどうにかしたい。駆け引きなんていらない。この状況でそうならないほうがおかしいだろ。

「ふふっ、何考えてたの」

一瞬で我に帰る。またもや見透かされてしまった。そんなに顔に出てたかな。耳まで熱くなってきた僕の頭はすでに真っ白だ。真理を突かれた僕は怯んで後退りをした。その瞬間に彼女が私を押し倒し馬乗りになってきた。
余計崩れた簡易寝巻き、彼女の腕が僕の腕を抑え込む。

「だから、何考えてたの」

ホテルに入ってから初めてまじまじと彼女の顔を見た。頬の赤らみはいつの間にか無くなっていた。無邪気な笑顔が似合う彼女は、僕を見て婀娜っぽく微笑んでいた。


noteは、普段考えていることを文字で吐き出す
Instagramは、普段考えていることを形にして表現する

写真撮っているので見てください
https://www.instagram.com/ganometherapics/?hl=ja

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?