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全自動配牌卓の配牌はいい?魚谷侑未選手の体感0.5向聴は正しいのか?
みなさんこんにちは、ガノー(Ganohr)です。
魚谷侑未選手(note、Twitter)が、Mリーグのような、「自動配牌出し設定」よりも、「配牌を牌山から賽を振って1トンずつ取り出す方式」の方が体感0.5向聴も良い印象があるという発言をされており、物議を醸しています。
今回はコンピューターを用いた撹拌を一時期研究していた私の見解を述べさせていただきます。
これは「全自動卓の性能」と「コンピューターを用いた撹拌性能」を比較した見解ですので、その点誤認されないようお願いします。
自動配牌卓の配牌と、サイコロを振った時の配牌の平均シャンテン数の比較を数値化してる方っていませんかねー?データがあったら見たいです🙇♀️
— 魚谷侑未 (@yuumi1102) February 9, 2020
そんな事を考えながら、女流日本シリーズ行って参ります。
1シャンテンとまでは言わないけど、0.5シャンテンくらいは違う気がしてます。
— 魚谷侑未 (@yuumi1102) February 9, 2020
全自動卓 VS コンピューター
全自動卓の配牌は、コンピューターを用いた撹拌アルゴリズムよりも精度が低いのは当たり前の話です。
そもそもコンピューターを用いた撹拌は、大部分がフィッシャーヤッツ・アルゴリズムという手法で行われます。
平たく説明すると135回のランダムな牌の入れ替えを行う手法です。
フィッシャーヤッツの超簡単解説
・牌を裏返し、横1列に1段で136枚並べる
・136面ダイスを使い、出た目に該当する牌を1枚取って牌山に重ねる
・1牌取るたびに使用する目の最大値を1つ減らし再度ダイスを振る
こうして得られた配山は1局1局で見ると偏りが起こりますが、
十分な施行回数を行うと、偏りは殆ど見られなくなります。
同様に自動配牌卓でも長期的に見れば偏りは薄まりますが、実際は偏り方の範囲に幅が出るため、性能の善し悪しは判断ができます。
そして、自動配牌卓は偏りの収束が遅く(要するに性能が悪く)、コンピューターを用いた撹拌はより少ない試行回数で偏りが収束します。
では長期的にみた、撹拌精度の高い牌山というものを、あなたはイメージできるでしょうか?
これがイメージできるかどうかで、麻雀の配牌に関する見識がぐっと変わるでしょう。
長期的にみた撹拌精度の高い牌山とは、麻雀牌をミキサーに掛けたようなもの
では長期的みた撹拌精度の高い牌山とはどういう状態かというと
「牌をミキサーで粉々にして混ぜたような状態」と同じになります。
これは、牌を撹拌して1つの牌山を作り、それを1つに重ね合わせていって平均をとったもののことです。
これを分かりやすいイメージにすると、以下のような感じです。
・牌を1段ないし2段に積み、始終がつながるように並べる
・この状態だと同一の牌の距離はほぼ均等になる
・隣牌の距離もほぼ均等になる
要は牌山を作った際に、対子場にも順子場にもなりにくい状態です。
同一の牌というのは、「一萬なら一萬4枚」のことです。全ての牌の平均距離が一定で、離れているので「対子場になりにくい」訳です。
また隣牌は「五萬なら四萬と六萬」のことです。これも距離が一定距離開くので順子場になりにくい訳です。
ただし、平均的に対子場より順子場になりやすいのは当たり前で、隣牌の方が枚数として圧倒的に多いからです。
魚谷侑未選手の感じる0.5の差の正体は?
※ 魚谷侑未選手の肖像権に配慮して、当該選手のnoteを掲示しています。このnote記事と、当該記事は関係がありません。
さて魚谷侑未選手の体感ですが、その正体は一体何でしょうか。
正直、「0.5向聴の差」というのは、まあバイアスがかかっていると感じますし、自動配牌卓で14枚・13枚出しの設定と、1トンずつ取ってくる方法で、向聴数が変わることは理論上ありえません。
これには何らかの認知誤認(認知バイアス)がかかっていると見る方が自然でしょう。
しかし、自動配牌卓は前述の通り非常に撹拌精度が悪いことは知られており、これを単に「実力!」と決めつけるのは不適切です。
自動配牌卓は確かに前前局の情報を引き継ぎやすい→認知バイアスの罠
そもそも自動配牌卓はそもそも撹拌精度が悪いのです。
そして何より「前前局の河・手牌を引き継いで精度の低い撹拌を行う」ので、配牌にその状況が影響することは当然の事実です。
これはとつげき東北氏も以前(キンマコラムだったと記憶)指摘しています。
要するに、
・自動配牌卓は撹拌性能が悪く、前前局の情報を引き継ぎやすい
・撹拌性能が悪いため、向聴数の上ブレ・下ブレを生み出しやすい
・そのため運が良かったり、運が悪かったりすれば、極端な結論(認知バイアス)を起こしやすい
ということが考えられます。
したがって、以下記事で福地先生が指摘している点は、至極まっとうです。
配牌時向聴数で0.5向聴の違い? それは子の場合じゃないの?
さて、しかし配牌時向聴数について、ちゃんと研究している人なら「0.5の違い」は結構納得がいく値です。
配牌時向聴数において「0.5の差は長期的にみて結構な値」という人もいますが、0.5の違いはたった1枚の差で生まれる微差です。
そもそも、向聴数は1枚ツモった14枚で計算した場合と、13枚で計算した場合では0.5近い差(※)が軽くでます。
※ 例えば三麻は14枚の平均が2.96向聴、13枚の平均が3.39向聴(差は0.4向聴)
これは三麻(2.96向聴)と四麻(3.16向聴)の違いよりも大きな差(0.2向聴)です。
「向聴数の差をどう感じるかで実力が反映される」と主張するほうがオカルト的(似非デジタル)でしょう。
最後に
魚谷侑未選手は、自身の発言に否定的な意見を持たれたことにショックを受けているようですが、別に気にしないで良いと感じます。
そもそも麻雀プロが感じていることを率直に発言してくれる方が、麻雀好きの趣味人(もとい暇人という)が、研究する機会が生まれます。
まあ、プロが率先して研究してほしいという人の気持ちはわかりますが、どんな意見も気にせず発信してほしいというのが私の本音です。
ということで、この記事は以上です!
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