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EQCULEUSを用いた馬体評価 ~2022年ワラウカド~

ワラウカドにて募集中の7頭を定量的な馬体評価法EQCULEUSに基づき評価した。その結果、7頭の中で最も高い評価を得た馬は、ファハンミューラの21とポウリナズラヴの21の2頭だった。

 本記事では、EQCULEUSを利用して、2022年ワラウカドにて募集中の7頭の各馬体を芝馬として評価した結果を示す。EQCULEUSは1歳時の馬体画像とその馬の競走成績がペアとなって蓄積された大量の過去データを利用して評価対象馬の馬体を評価する方法である。EQCULEUSの詳細に関しては以下を参照。

結果

 以下の表1に評価結果を示した。

表1.EQCULEUSによる評価結果(馬名における「の21」は省略)

ここでは各評価馬が8つのグループ(Gr.1, Gr.2, …, Gr.8)のいずれかに属するように分けられており、グループ番号が小さいほど評価が高い。最も高い評価を獲得したのは、Gr.4に属した、ファハンミューラの21とポウリナズラヴの21であった。他の5頭が属したのはGr.8という結果だった。

方法

 ここより、EQCULEUSによる評価方法を簡潔に述べる。興味がない場合は次節までとばして問題ない。より詳細な方法を知りたい場合は冒頭のリンク先の記事を参照。

EQCULEUSは1歳時の馬体画像とその馬の競走成績がペアとなった過去のデータを利用して馬体を評価する。したがって一連の流れは、まず初めに過去データの加工・解析を行った後、馬体を評価する形となる。今回はワラウカドで現在募集中の7頭を芝馬として評価した。まず、データとして蓄積されている芝適性馬1924頭分の構造ベクトルを、K-means法と呼ばれるクラスタリング手法により、その特徴に応じて8つのグループに分けた。その後、$${PMR}$$を「芝レースにおける1レースあたりの賞金」、$${pmr=113}$$として、各グループに属する各馬の$${PMR}$$が$${pmr}$$を上回る割合$${R_{gr}}$$を算出した。つまり、$${R_{gr}}$$が高いグループほど1レースあたりの賞金が113(万円)を超える馬の割合が大きいということである。また各グループに、$${R_{gr}}$$の大きい方から順にGr.1, Gr.2, …, Gr.8とグループ番号を付けた。以下の図は、各グループの$${R_{gr}}$$をプロットしたグラフである。

図1.芝適性馬集団における各グループの$${R_{gr}}$$

グラフ内の平行破線が示す値は$${R_{all-t}=0.33}$$であり、これは芝適性馬1924頭の各$${PMR}$$が$${pmr}$$を上回る割合である。最後に、各グループの構造ベクトルをそれぞれ平均し、平均構造ベクトルとした。

ここまでは過去データの加工・解析を示してきた。評価対象馬の馬体を評価するためには、まず初めに、評価対象馬の構造ベクトルをそれぞれの募集写真より求める。その後、得られた構造ベクトルと各グループの平均構造ベクトルとのユークリッド距離をもとに、評価対象馬の属するグループを決定する。グループ番号は$${R_{gr}}$$の大きい方から順に付けられていることから、グループ番号が小さければ小さいほどその評価対象馬の評価が高いということができる。

まとめ

 本記事では、EQCULEUSを利用して、2022年ワラウカドにて募集中の7頭の各馬体を芝馬として評価した。最も高評価だった馬はGr.4に属したファハンミューラの21とポウリナズラヴの21の2頭であった。図1にあるように、Gr.4に属する馬の約3.7割は、$${PMR}$$(芝レースにおける1レースあたりの賞金)が、$${pmr}$$(113万円)を上回っており、これは標準(約3.3割)よりも高い。また、他の5頭は最も評価の低いGr.8に属すという結果となった。しかしながら今回行った評価は「芝馬として」の評価であるため、例えばダート馬として活躍できるかどうかに関しては今回の評価は当てはまらない。

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