女子大生の秘密 〜卒業式〜
2013年春
卒業式の日に、私は偶然久しぶりにあったクラスメイトと写真が撮れた。
「大学時代の友人とパシャリ」
「この四年間色んなことがあってー友達と沢山の思い出を作りました!」
みたいな顔をする。
嘘だ。
「私たちはなんの友情も深めないまま、傷つかないよう表面的な付き合いで、偶にしか会わないようにしてました。」が本当だ。
そして、何のお別れ会もなく解散する。
「〇〇大学卒業式」と書かれた看板の前には、体育会系の学生が集まって写真を取り合っている。
ともに泣き、ともに笑った部活のメンバーとマネージャーが肩を組み、有名な我が校の校門や旗の前で「記念写真撮影会」を開催し、別れを惜しんでいる。
中には胴上げなんかしてるところもあった。
この後、酒でも飲み交わし、思い出を語り合って泣いたりするんだろう。
どうせ社会人になったってしょっちゅう集合する癖に。
帰り道、袴が歩きづらくて記念写真館の前に辿り着くまでになんだか目がはれていた。
別れを惜しむ相手なんていないのに何故か涙が出ていた。
私は4月から大手金融機関に入社する。
これからどうなるんだろう…
当たり前に起きるこれからのことを待ち受けるしかなく、不安の靄は心を覆っていった。