ときめきビザに救われて【毎週SS】
私の初めての海外旅行は、
パスポートをなくすというアクシデントに見舞われた。
拙い言葉で伝わるかという不安
このまま日本に帰るしかないのかという絶望
マイナス思考が頭の中を駆け巡る。
「先ほどは大変失礼致しました。先ほどあなたの入国許可がおりました」
「えっ。急に、どうしてですか!?」
「お菓子の箱ですよ。手荷物検査の際に拝見しました」
そういえば、空港に見送りに来た姉が持っていけと強引にバッグに押し込められたんだっけ。
「我が国のお菓子を、それも箱ごとお持ちの方に悪い方はいませんよ」
「世界中に愛されて私たちも誇らしいです」
「ここからバスで20分の所に、本店もありますのでぜひ立ち寄ってくださいね」
「どうぞ、良い旅を」
あまりの急展開に何が何だか分からなかった。
その日の夜はホテルで今日のことをぼんやりの振り返っていた。
空港を出た後、領事館に駆け込んでパスポートを再発行してもらったり、
空港の人たちに勧められたデパートの本店に行ったこと。
そして今、私を助けてくれたお菓子の箱を開ける。
お菓子はとても優しい味がした。
(450文字)
大人になってから、お菓子を食べる機会が少なくなり
ふと「自分のお菓子の思い出って何だろう」と思い返してみると、
意外とぱっと出てこない。
ちなみに私はチェルシーはヨーグルト派です。
皆さんは思い出のお菓子はありますか?
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