奇岩シューズ【毎週SS 裏お題】
「やぁよく来てくれた!」
またしても、私は旧知の友を呼び出した。
「私見を求めるのは構わないが時と場所を選んだらどうかね」
ぶつぶつと文句を言いながらも発掘品を眺めているのは、指折りの歴史学者だ。
今朝方、海岸の一部が周囲の地質の時代と異なることを
不思議に思った研究者が調べると、
十数メートルはあろう薄平たい棒状のようなものが見つかったのだ。
「君ならどう見る?」
「明らかに自然のものとは考えにくいね」
「やはり君もそう思うかい?」
「おそらくだが、大昔にあった建造物の一部」
「だとすると、ここには何かしらの文化を持つ種族がいた、と」
「おい、これは大発見じゃないか」
「すぐに論文を書こう」
彼らの発見は世界中に賞賛された。
しかし、ひとつだけ見落としがあった。
実は彼らが見つけた発掘品の地点から数キロ先に
「靴岩」とよばれる、文字通り靴の形をした岩があった。
実はその中身は本当に岩でできた靴で、
発掘品はその靴の持ち主の「靴ベラ」だったのだ。
(410文字)
今週はギリギリの投稿になってしまいました。
遅くなり申し訳ありません。
今回のお話は、以前投稿した話の続編をイメージしてみました。
企画概要はこちらから。
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