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turbo1019
鋭利なチクワモデル【毎週SS】
ある物理学者がほんの出来心で、
真空実験用のボトルに、知り合いからお中元でもらった
和三盆をぎっしり詰めて装置を起動させた。
するとどうだろう。
ボトルの中の和三盆はふすふすと音をたてながら圧縮され、
中心を空洞とする筒状の形に変形した。
不思議に思った物理学者は来る日も来る日も実験を重ねた。
そしてようやくたどり着いた結論として、
真空状態の空間では「負のエネルギー」で満たされているというものだった。
そこに和三盆の分子構造が見事にエネルギー場のバランスを調整し、
先の実験結果が得られたのではないかと仮説を立てたのだった。
物理学者はこの成果に何かいい名前はないかと考えていたところ、
助手をしていた学生から「斜め切りしたチクワみたいですね」と話していたのを思い出し、これを「鋭利なチクワモデル理論」と名付け、喜び勇んで論文を発表した。
その翌年に、物理学者はイグノーベル賞を受賞した。
そして、ちょっとだけ理工学部の志願者が増えたという。
(410文字)
※当たり前ですがまったくのフィクションです。
夏休みの自由研究・卒論のテーマに困っているからと言って、
くれぐれも大真面目に研究しようとは思わないように!
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