夜からの手紙【毎週SS】
ふいに
どこまでもどこまでも遠くへ
何ということはない平々凡々とした街で、
何ひとつ代わり映えのしない暮らしを続けてきた。
そこに喜びや不満などという際立った感情があるわけではない。
ただ、いつも歩く道には続きがあって、
その先には自分の知らないところに続いている。
それを自分の目で見てみたくなった。
つい飛び出してきた時のことを思い返していると、
頭の上に何かが落ちた感覚がした。
振り払うと、それは黄金色に彩られた落ち葉だった。
どこから降ってきたのかと、
上を見上げた先のまんまるい月と同じ色だった。
お日さまが高い内からずっと、一心不乱に道の先を追いかけていた。
気が付けばお月様が顔を出していた。
今はただ、この場の静けさに溶け込んでいたくなった。
木々の隙間から月明かりが照らされた地面は、
ほのかな金色に編まれた絨毯の様だった。
しんと静まり返った森の中にひとりぽつんと立っている。
背中から漂う夜風の冷たさが晩秋の訪れを知らせに来たようだ。
(410文字)
今回は珍しくド直球なお題に、
なんか詩のようなものができてしまいました。
私らしくない?
さてようやく暑さが静まって落ち着いたのは良いですが
丁度いいをすぐ通り越してなんだか肌寒いんですわ。
どうなっとりますん?
早いとこ我が秘密暖房兵器の半纏を押し入れから召喚せねば。
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