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節分胎教リトミック【毎週SS】

明日は来る節分に
愛しい我が子と隠れましょう
柊の林<もり>へおいでなさい
悪い鬼たちも近づかず

明日は来る節分に
船乗りいづこと探しましょう
鰯の頭をもらいなさい
悪い鬼たちも近づかず

明日は来る節分に
百姓いづこと探しましょう
大豆をたんともらいなさい
豆鉄砲をこさえなさい
マガジンもあれば

「先生、先生!」
「はい?」
「あの、なんか途中から急に物騒なんですが?」
「ただの節分の豆まきの歌ですよ?」
「そうです……けど」
「続けますよ」

明日は来る節分に
多少の嘘も覚えましょう
「あっ、自分『渡辺』ですけど」と言いなさい
「おめぇ『渡辺』って、まさか!?」
「そうだ。あの『渡辺』だ」
「ひぃぃ、失礼しました!」と言うでしょう
悪い鬼たち一目散
蜘蛛の子散らして逃げていく

「……さぁ、皆さんも一緒に歌ってみましょう」
先生がピアノから振り返ると、お母さんたちは誰もいなくなってしまっていました。
「う~ん。鬼じゃなくて生徒も蜘蛛の子散らしてしまうのはなぜかしら?」
(410文字)


今年は珍しく2月2日が節分ですね。

節分の風習は各地で様々で豆まきの掛け声も地域によって異なるのは知っていましたが、『渡辺』の表札を掲げるというのは初めて知りました。

某ゲームでおなじみ源頼光の家臣の一人である渡辺綱が、鬼をフルボッコにしたことで渡辺姓を見ると逃げ出すのだとか。

節分でもこれだけいろいろな説話があって面白いですね。

企画概要はこちらから。


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Ganmo
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