本物の音楽
ずっと音楽が好きだった。聴くジャンルは偏ってはいるけど、ずっとずっと大好きだった。楽しい時も、辛い時も、ずっと寄り添ってくれてた。
ある時好きなアーティストが炎上した。「本物の音楽の見分けがつかない人」みたいなこと言ってた気がする。あんまり覚えてないけど。
私には「本物の音楽」がわからない。人気の音楽は、大勢の人が好きって思うから人気なんだと思う。人気がない音楽は、好きって思う人が少ないから人気がないんだと思う。
「好き」の数で本物かどうか見定めるのは怖いなってずっと思う。誰からも愛されてない音楽なんてないと思う。作った人が例え今その作った音楽が嫌いだと思っていても、その人がその曲を世に生み出した時間は素敵なものだったと思う。
私たちが作った音楽は、私の書いた歌詞は、聴かれなくなったら死ぬんだろうか。私が歌わなくなったら死ぬんだろうか。誰にも演奏されず、思い出されず、なかったことになるんだろうか。全然わかんない。人気者にならないと、売れないと、色んな人に聴いて貰えない。色んな人に聴いてもらえることは本当に嬉しいことだと思う。私も、私のバンドが人に聴いて貰えて嬉しかった。でも、そこだけに価値を見出したら、どうなるんだろう。私は売れたことがないからわからない。
ただ漠然と「バンドマンになりたい」と思って右も左もわからないまま大学生になった。コピーバンドばかりしていて焦った。このまま一生、自分たちで音楽を作り出すあの夢見た「バンドマン」になれないかもしれない、と思った。でも意地と執着でなんとかバンドが組めて、「バンドマン」になれた。でも、でも、そこから先が難しかった。ずっとバンドやるのって難しいね。私の心が不安定なせいもあると思う。バンドって生き物ってみんな言うじゃん?本当にそう思う。自分が生きることだけでも精一杯なのに、「バンド」という生き物を生かし続けるのって難しかった。今はなんとか生きてるよ。バンド。細々だけど、生きる道を選んでる。かわいいね。
どうか、もう私の好きなバンドが解散しませんように。すっごく傲慢な願い事。いつかは終わるよ。何事も。だけど終わって欲しくないって思うの。終わるから綺麗なのにね。でもそんな綺麗は怖いよ。死ぬから幸せなの?それはそうだよ。死は救済ってずっと思ってる。今死にたいとか、そういうことじゃなくて、永遠の命は怖いよ。いつか死にたい。
本物の音楽って、本当になんなんだろう。技術と才能と努力があれば本物?どれかひとつでも欠けていたら偽物?ただただ好きって言う感情で作り出した音楽は偽物?ずっとわかんない。私は偽物を作り出しているのかもしれない。にせものばんどまん。
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