AIを用いた正倍数性予測
少なくとも日本においては、PGT-Aは分岐点に立たされています。
現時点では、先進医療Aにはならず、Bへ振り分けされており、
未だ最終承認の通知は出ていなそうです。
PGTを行うことで流産を極力回避することができることは全体的にコンセンサスが得られておりますが、妊娠率の向上という点には疑問が向けられています。
それは、施設間による格差があまりにも大きく、
技術力の高い施設でPGT無で胚移植>技術力の低い施設でPGT有で胚移植
ということが明らかになっているためです。
ここでいう技術とは、卵巣刺激、採卵術、受精操作、培養環境、生検技術などの掛け合わせです。とても専門的なスキルを要することから、かんたんなことではありません。
また、それによって、本来正常であった胚を生検することでだめにしてしまう可能性があることも重大な欠点として指摘されています。
ここで再度注目が集まるのは、従来のような形態学的評価にAIを組み合わせた考え方です。
非侵襲のPGTというのも行われてはいますが、実用化には形態学評価のほうが近い印象です。
この研究では、胚盤胞の5000を超える画像データを読み込ませ、
その画像の胚が正倍数体であるかどうか、その精度も含めて検討したものです。
DeepLearningの素晴らしいところは、時間が立つほど精度が増すことと、
疲れと衰えをしらないことです。
それによると、正倍数性への精度を見ると全体では65%程度。
品質の低い画像や誤りのあるものを除外すると、77.4%まで向上。
AIスコアと正倍数体との間には明らかな相関関係があり、ハイスコアであるものとロースコアであるものの間には2倍以上の差があると報告しています。
従来のガードナー分類を単純に用いるよりも13-19%程度有効であることも示唆されています。
技術はいいことばかりではなく、侵襲性を伴うものもありますので、
このようにもとの技術に立ち返りつつ、現代の技術と掛け合わせることでおこるイノベーションもあると思います。
より侵襲度を低く、より受精卵に優しくも、高品質な医療が追求されています。