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これって「奇跡」?

ふと感じた「もしかして、すごいことしてる?!」。

先日の日曜よるに開催した、≪ベナン人に教わる !「アフリカ流フランス語教室」ウィル先生のNGO活動を知ろう&子どもたちと話そう≫というオンラインイベントでのこと。

参加者はおよそ20名様。主催者サイドとしてはまずまずと安堵するなか、イベントはスタートした。

はじめに「アフリカ流フランス語教室」の講師でナウンセウィ代表のウィルさんから、「ベナンの貧困地域で暮らす、ひとり親家庭の子ども44人に教科書や文房具を支援した」と写真と動画による報告を聞く。

教材を受け取った子どもたち。保護者の姿も後ろに見える

ちなみにganasが主催する「アフリカ流フランス語教室」は、受講費のおよそ半分をベナンへ送金するというもの。送られた半分を講師の報酬とし、残りの半分を子ども教育の活動に使っている。

ウィルさんは、「貧しさから抜け出すには教育がカギ。教育を受けられれば本人と家族の将来が変わる」と力強く語る。実は、彼自身が貧しい家庭の11人きょいうだいの末っ子として生れた。家族の中で彼だけが大学に行かせてもらったのだという。そういう経験をしてきたからこその説得力。

講師の1人、ウィルフリッド・デグボさん(通称ウィルさん)

なぜ教育がカギなのかを補足すると、学校教育で使われるフランス語が大きな壁になっているから。家ではローカル言語(フォン語、アジャ語など)を話しているのに、小学校でいきなりフランス語で授業をする。何を言っているのか分らなくて当然だし、大半が勉強についていけない。小学校を卒業する頃には生徒は半分になっていまう。学校をやめる理由は貧しさだけではない。

そんな子どもの姿がかつての自分と重なるのだろう。ドロップアウトした子どもに無料でフランス語を教えた。それが彼のNGOナウンセウィの始まりだった。当初5人だった子どもがいまでは300人を数えるという。

つづいて、支援を受けた子ども2人にそれぞれ話してもらう。

高校を卒業して大学進学が決まったというパドノ・ジェラルリードさん

小学1年生の頃からウィルさんが教えてきたパドノ・ジェラルリードさん(18)は高校を卒業して大学へ進学することが決まったと満面の笑顔。「自分を誇りに思う」と目を輝かせる。聞いているこちらも心底嬉しくなる。

パドノさんは一夫多妻制(ベナンでは夫が複数の妻をもつ慣習が残っている)の家庭で育ち、父親が同じきょうだいは16人。そのうち大学へ行くのはパドノさんが2人目だ。家族も誇らしい。将来は銀行員になりたいと話す。

女子サッカーに夢中のランブリン・ベッドさん、中学3年生

2人目はランブリン・ベッドさん(14)中学3年生。いま女子サッカーに夢中だという。家にお金がなくなり学校に行けなくなった2020年から支援を受けた。優秀でクラスで3位の成績! 将来の夢はサッカー選手。

最後に、地域の子どもがみな知っているというフォン語の歌を教えてもらう。短い歌だがローカル言語が難しいのと、リズムとメロディーもなかなか難しい。一緒にがんばって歌ってみた。

アゾメ ビビ
ミジャレ ボペ ヌクベゴン
ウィマー ホメ
ミジャレ ボペ マクエゴ
ソエジャメ
ホケペデ マソド ヤノポオ
アナセ アジェペデ ボナイヌデ
ソエジャメ ダダメ

(意味:学校は楽しいところ お願い よく勉強しないといけないよ
どうか 学校で将来のために勉強して 将来何かになるためには 
きっと 少しの苦労はあるでしょう)

2000年からスタートした「アフリカ流フランス語教室」もそろそろ満4年になる。これまで専従のスタッフがいるわけでもなく、その時に手を上げた有志たちでできる事をやってきた。本気の思いさえあれば、今はSNSとオンラインを使ってたいていの事ができてしまう。

オンラインイベントの様子

ganasサポーターの有志と現地の講師2人の協力、ganasからのリソース提供とが絶妙に連携して、ようやく手応えが感じられる成果が見えてきた。

私は2期目から事務局的な立場で参加しているが、講師2人と初めから上手くいったわけではなかった。日本の常識とベナンの普通がぶつかり合う。誤解から険悪になったこともあった。やはり人間同士の信頼感が何より大事だというのが今の私の結論だ。

毎期参加してくれる60~80人の受講者さんの存在も、とても大きい。それぞれが持ち寄る、優しさ、情熱、行動が1つになって、「アフリカ流フランス語教室」というプログラムが成立している。どの要素が欠けても続けてこれなかったと思う。

結局、ひとりひとりの思いや行動が社会・世界をつくっていく。
あらためて小さな「奇跡」に感動だ。

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