見せつけられた地力の差 リヴァプールvsアーセナル
幸運なことにこの試合を現地観戦をすることができました。その備忘録として、そして元から興味がありこれを機に自分なりに分析しまとめてみました。
スターティングラインナップ
エメリの大胆な奇策
エメリはアーセナル就任以来ほとんどしていない4321でスタート。ボール保放棄し、自陣に撤退し相手をリスペクトした戦い方を選択。SBの上がるスペースを与える代わりに、MF、DF陣で強烈なリヴァプール3TOPのゴール前のスペースを潰す作戦に出ます。対してリヴァプールはいつもと変わらず433でスタート。アーセナルが空けたスペースを使い両SBがクロスを入れ続けます。
アーセナルとしてはこれは想定内。なんとか凌ぎ続けます。クロスの得意なリヴァプール両SBといえどもこれだけ人数を掛けられ、スペースを消されたらなかなか簡単には通せません。そしてアーセナルの狙いはリヴァプールの両SBが空けたサイドの裏のスペースでした。アーセナルの2トップがサイドに開き、カウンターに利用しようという作戦です。しかしシュートまで持っていくものの決めきることができません。特にペペはドリブルで相手を交わすまでは素晴らしく、何度か決定機を作るものの肝心のシュートが今一つでした。ゴール裏で見ていたので何度決めてくれと祈ったものか…。そして冒頭でボール保持を放棄したと書きましたが、放棄せざるを得なかったといったほうが正しいかもしれません。エメリの構想ではセバージョスを含めた前線3枚で相手DF4枚とファビーニョをピン止めし、5対7と数的有利で進めたかったのかもしれません。しかし両SBをピン止め出来なかったこと、前線からのプレスの速さ、質の良さからほとんど繋ぐことは出来ませんでした。普段から見ていればリヴァプールの前プレは完成度が高く、簡単には突破できないことはわかると思うので、ここも織り込み済みであったのかもしれません。攻め込むがなかなか得点に結びつかないリヴァプールでしたが、前半終了間際にリヴァプールがコーナーキックからマティプのヘディングで先制します。
焦りが生んだ3点目
後半に入りすぐにリヴァプールは追加点を得ます。サラーをルイスが引っ張ってしまいPKを与え、これをサラーが難なく決めました。早い時間帯にまずは一点返したいアーセナルでしたが、リヴァプールはサイドチェンジを駆使し揺さぶりをかけて中央突破を図るなど、簡単にはクロスを入れて来なくなりました。アーセナルは焦りが見えたからなのか、前線からプレスに行く機会が増えてきました。この焦りがリヴァプールに追加点を与えることに繋がります。
GKからアーノルドに渡ったボールをオーバメヤンが追いかけ、それに伴い全体で前からプレスに行くのですが、ヘンダーソンにウィロック、モンレアル2枚がつり出され、サラーにボールが渡った時には3対3の状態になっていました。サラーはルイスをかわし、そのままゴールまで1直線。3点目が入りました。確かにルイスはお粗末な対応でしたが、モンレアルがサラーについていれば2対1の対応で止めれていたかもしれません。ではなぜモンレアルは前に前に出てしまったのか。それは今回の試合において前線からの守備の基準点が曖昧であったからだと考えられます。今回のシーンの前のシーンでは、同じような状況で、アーノルドにはウィロックがマークについていました。3点目のシーンではモンレアルは誰にマークをつけばいいのか動揺したのかもしれません。しっかりとチームで守備の基準点が統一されていれば、防げた得点だったように思えます。その後交代で入ったトレイラが得点しアーセナルが一点返すも時すでに遅し。3-1リヴァプールが勝利を収めました。
総括
結果として3-1となりましたが、前半でペペ、オーバメヤンが得点できていれば違った結果になっていたかもしれません。そしてコーナーキックこそ失点したものの、クロスからの失点は試合の流れの中からはありませんでした。よって今回の試合においてエメリがとった奇策ともいえる作戦は悪くはなかったように思えます。勝敗を分けたのはやはり前年CL王者リヴァプールが地力の差を見せつけました。また現地観戦してリヴァプールファンが作り出すアンフィールドの雰囲気の恐ろしさを十二分に体感しました。その雰囲気がリヴァプールを後押ししていたことは言うまでもありません。対してアーセナルは今回の3失点目でもあったように、チームにおいての決まりごとが、攻守両面において少なすぎると感じています。それはエメリがインタビューなどで「カメレオン」と言っていたように相手に合わせて形を変える「型の持たない」チームの弊害であるように感じます。個人的には「自分たちの型」を成熟させつつ、相手によって型を変更できるようになっていってほしいと思っています。そうでなければリーグ優勝おろか、CL圏内フィニッシュも厳しいのではと思っています。それでも「カメレオン」にこだわるのであれば、結果で黙らしてほしいと思います。今後のアーセナルがどのようなチームになっていくか注目していきます。