ビームス、シップス、UA、トゥモローランド、エディフィスが5大セレクトショップと呼ばれ、僕も30代前半までは足繁く通い、ブランドの名前やヒストリーはお店から教わったことも多い。
言うまでもなく、いずれのお店も今もバリバリ健在である。
しかし、現在は利益率の高いオリジナル商品が店内を占め、もはやセレクトショップと呼ぶには躊躇いがある。
経営者としての選択は間違っていなくても、大きくなった図体の末端まで血を通わすことは難しい。本来洋服好きが希望を持って働いていた従業員たちに自身が売っているクズみたいな商品に誇りを持てというのも無理な話である。
先日横浜にあるアウトレットを覗いてみた。
オリジナル商品化への舵取りが遅れたトゥモローには辛うじて体裁が整っていたものの、他のお店はもはやガラクタ市かと思えるほど、自社製品が酷い状態で売られていた。
洋服屋が洋服を大事に扱わない。
自社の看板で濡れ手で粟のような商売が出来た時間を自ら早回ししているようなものである。そして、近い将来、次世代にこの事業を引き継ぐときに、田舎の、ファッションとは縁のなさそうなおニイちゃんにすら「○○ってダサいよね」と言われ、自社をブランド化出来たことの奇跡と、それを大切に育てていかなかった後悔が襲ってくるものだと僕は思っている。