ボクシングを語ってくれ

僕の目には大人と子供の戦いに写った。
井岡が試合後語っていたように、終始プラン通りであったと思う。いつも以上にいつもの戦いを貫いた。まともなパンチを一つでももらったようには見えなかった。
唯一の誤算は、決定的なカウンターが入らなかったこと。
肉を切らせて骨を断つ。
踏み込み、角度、力加減等々、相手がぶっ倒そうと本気でくるから、その反作用が大きくなる。自分の技術では井岡は倒せない。相手の手数の多さは、攻撃にみせかけた防御のようだった。
トンチンカンな話をするが、サッカーワールドカップ期間中、たまたまおすすめで表示されたことが契機に李国秀という、Jリーグ前のサッカー選手で、桐蔭学園の指導者であった人のユーチューブ動画を追っていた。日本代表について、ワールドカップという4年に一度の祭りの場において勝利する手段としてその戦い方は否定せずとも、「前線がプレッシャーに走り回って疲弊していくサッカーを客が観たいのか、そして日本代表はこのスタイルを将来的にも続けていくのか」、「サッカーの醍醐味は上手い人のプレーを観ることで、それが本当のサッカーファンを増やす」みたいなことを言っていた。最初はピンとこなかったが、今ではよく分かる。
巧さやダメージを越え、試合に勝つことだけを目的としたボクシングを観て、誰がこの競技に憧れるのか。
井岡のキャラクターに起因しているのかもしれないが、元チャンピオンたちのこの試合に対する井岡への評価は厳しかった。
印象を語るなら我々にも出来るから、ボクシングを語ってくれ。

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