インバウンドがなくなり、畳む店も多い一方で、訪問者の数それ自体はすっかり活気を取り戻した浅草。帰国以来、暮らしているが、恐らく東京でいま最も「密」が生じている街ではないだろうか。
訪れる人のほとんどは若者。しかも20代までの人たちが占めている印象だが、その人気の理由は分かる気がする。寿司や天ぷら、すき焼きを選ばなくても、1,500円も払えば名店の洋食や下町フードのもんじゃなどが食べられるし、コイン数枚の商売をしている食べ歩きの店も増えた。ショッピングに関して言えばそもそも浅草で買うようなものが思い浮かばない。
つまりざっくばらんに言うとお金のないビジターが集まる街だ。外国人がいた時代であっても、ここにあったのは小金の積み重ねであったのだと想像する。
商業の中心である六区に、日本の食料品や伝統工芸品などを「おしゃれ」風にし、高い付加価値をつけて売るようなテナントを集めた「まるごとにっぽん」というパチンコのマルハンが経営する大きな商業施設がある。しかしながら、というか案の定というか、浅草のお客には敷居が高く、5年前の開業当初から閑散とし、訪れるごと空いたテナントを埋めるアイデアを具現化したオブジェの数が増え、ついに今月末で閉店となるそうだ。
専門的な勉強をしなくても、開業した直後にその店が成功する、しないは誰にも感じられることで、逆に言うとそれを分からなくさせるのはオーナーの思い入れなのだろう。
とても高額なケーキを売る専門店が浅草にできるというニュースを昨日読んだ。予めご愁傷さまと言っておく。
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