ベトナムはダメだと思う
日本人どうしの会話の中で習近平を少しでも讃えようものなら、一瞬にして場の空気が凍る故、戸外での言葉選びには細心の注意を払ってはいるものの、本音を言えば、歴史に名を刻む、稀代の政治家でなかろうかと僕は思っている。中国の今日の経済発展は間違いなく、彼のもとでしかなし得なかった。
サラブレッドとして曇りなく権力闘争を生き抜いた経歴を「汚職摘発」キャンペーンへと開花させ、人民の支持を後ろ盾に党内を粛清し、自身の権力基盤を確立した。
ウイグルやチベット、或いは我が国を含め領土問題で揉める周辺国にはいい迷惑だが、14億もの人口を抱える国を効率よく前に進めるためには絶対的な旗振り役を必要とし、国民の視線の先が同じでなければならない。
「ベトナムは第2の中国となり得る」。
売らんがためのメディアの甘言にノセられてベトナムで痛い目にあった日本企業は多い。
現在、経済は順調に発展しているように見えるが、実態は長年放置してあった乾ききった台地に水が急速に浸透しているようなもので、国や会社の利益など微塵も顧みない個人の強烈な袖の下経済の積み重ねでしかないのだと僕は感じている。
ベトナムの政治は合議制を重んじ、故に安定をもたらしているが、言い換えれば誰もリスクを犯してまでコトを前に運ぼうとはしないし、運ぶ必要もない、と考えている。
ベトナムでは地位と収入は同義であり、その既得権益を守るため、或いはその傘の下でオイシイ思いをしたいがため、今日も不合理極まりない大金が動いている。
習近平のモティベーションは何か、と考えると自己犠牲を厭わないリーダーが出てこない限り、この先10年も経たずに行き詰まり、タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア等中進国の一つとして東南アジアの地図の中に埋もれていくことになる、と断言しても構わない。
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