BSで7時半の朝ドラの放送が終わると、火野正平の自転車旅であったり、世界紀行であったり、複数の番組が脈略も事前案内もないまま不定期に入れ替わる不思議な時間帯(我が家ではロシアンルーレットと呼んでいる)に突入する。主人公である冒険家のあっさりしたキャラクターに慣れてきたこともあり、全国の300名山を徒歩で廻るという番組はそのなかでは楽しんで観ているほうだ。
次々と山の名前が出てくる中で、見える姿形をそのまま命名されたものがとても多いことを改めて認識した。ところが、考えてみると不思議なもので、例えば男体山という山はある一方からは確かに男性の姿に見えたかもしれない。しかし、別の角度からは豚に写り、そこに暮らす地方の人は豚山と呼んでいた、或いはまた別の特定の地方からは信仰の山として絶対的な唯一無二の名前が付けられていた、というようなこともなくはないだろう。
互いの事情が絡み合い、最終的に正式な名称として登録がされるための基準はあるのだろうか。ない場合、何をもって豚山でなく、男体山という名前が採択される後ろ盾となったのだろう、と考えることは決して無駄ではないと思える。
というのも我々が信じている真実や正義といった類も似たような話で、自身から見えている姿だけが本当でも、正しくもないし、ましてや自分の目で見てなく、自分の頭で考えてなく信じ込んでいる真実や正義など眉唾であると思ったほうが良い、そう信じて捻くれた人生を僕は歩んでいる。
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