抗がん剤はやめます。もう死にたい#6 ココロとコトバ
大切にするのは、
○匿名性
○だれも傷つかないこと
○考えを押し付けないこと
○自分たちのなかにある、『患者さん』や『患者さんを支える人』のイメージに囚われないこと
……………
今回お話をしてくださったのは、乳がんを経験された「わたし」さん。
当時、52歳だった「わたし」の『ココロとコトバ』をご紹介します。
Q.あなたが言われて救われた(嬉しかった)、または自分にかけてあげたい言葉はありますか?
言った人
腫瘍内科の看護師さん
実際言われた言葉
「十分頑張ってるから頑張らなくていいんだよ」
抗がん剤治療を受けていた当時、休職せずに働き続けていました。
毎日出社して、毎日仕事をこなします。
そんな状態を、治療に携わってくれている皆さんは知っていました。
そんな日々を過ごすある日、突然倒れてしまいました。
キツくてたまらなくて、「こんな思いしてまで・・・」って泣いてしまったんです。
そのときに言われたコトバです。
このコトバをくれた看護師さんだけでなく、スタッフさんたちもわたしの顔を覚えてくれていました。
院内を歩いていると、声をかけてくれる看護師さんや、がん相談員の方はいつも優しく温かかったです。
素直に嬉しかったです。
当時は、目の前にある仕事を淡々とこなすことだけを考えていました。
「有給使ったから行ける限り行かなきゃ。」の気持ちが自分を突き動かします。
有給休暇を使ってしまって無給になるのが嫌で必死になっていたんですよね。
頑張ってるつもりはなく、これが当たり前だと思っていました。
でも多分、周りには頑張りすぎてるように映ってたかもしれません。
とにかく、今をこなすことに精一杯だったように思います。
でも、自分の体も大事にしないとダメだなって痛いほど感じました。
それと同時に、わたしには認めてくれる人がいたんだ。って安心感も得られました。
あとこれは余談なんですが、、、
当時の彼が今まで通り、普通に接してくれたことが一番うれしかったです。
何でもない時と同じように接してくれて、とても助かりました。
髪が生え始めの頃、ベージュのダウンを着て写真を送ったんです。
そしたら「出所のおっさんだ!」大笑いされて!
不思議と怒ることもなく、わたし自身も笑顔になれました。
「ガンになろうがお前はお前だって」気持ちがありがたかったです。
Q.あなたが言われて傷ついた、
言われたらショックだったと思う言葉はありますか?(その1)
言った人
母
実際に言われた言葉
「かわいそう」
乳がんが発覚し、報告をしたときのコトバだったと思います。
このコトバを言われた瞬間、頭が真っ白になりました。
かわいそうってなに?哀れ?
意味がわからない…。なんでそんなこと親なのに言うんだろう。
かわいそうってなに?
1番言われたくない!
気持ちのままに「かわいそうじゃない」と泣き叫びました。
がんに好きでなるわけないじゃないですか。
むかつきました。すごく嫌でした。
Q.あなたが言われて傷ついた、
言われたらショックだったと思う言葉はありますか?(その2)
言った人
叔母
実際言われた言葉
「そろそろ強くなったでしょ」
抗がん剤治療を何回か受けた頃に言われました。
めちゃくちゃキツくて、身体が一番弱ってたときに届いたLINEがこの一言でした。
ものすごくショックでした。
実は叔母も、初期の胃がんで手術や治療を経験しています。
それなのに、何言ってんだ?と呆然としました。
叔母は性格的に強い人です。
そして、胃がんを経験していますが、初期段階で発見されたレベルです。
治療は、わたしの状況と比べると大したことないように感じていました。
(本当は比べられるものではないですよね…。)
でも、叔母自身、大したことなかったように感じていた。
だから、わたしもそうだろう。
手術が終わって、治療が始まり少し時間が経ったから、「強くなれてきたでしょ」
と軽く言ったんじゃないかなと思ってます。
あぁ、何もわかってない。と感じました。
悔しいし悲しかったです。
Q.あなたが言ってしまって後悔した言葉はありますか?
誰に対して言った
母
どんな言葉を言ってしまった?
「抗がん剤はやめます、もう死にたい。。。」
4回目の抗がん剤が終わったとき、コトバでは言い表せないほどのヘビーさに体力も気力も尽き、心が折れました。
なんでこんな目に合うんだろうって。
乳がん以前に、生まれつき心臓が悪かったり、体が弱かったり身体に負担を抱えていました。
神様はわたしを見てないのかな。
なにも乳がんまでわたしじゃなくていいじゃん
「こんな体に産んで」って本気で恨みました。
好きでこんな身体に、乳がんになったんじゃないって。
伝えたあと、ものすごく辛くなりました。
親と子どもの関係性は、お互いの考えを言い合いやすいと思っています。
だけど言いやすいからこそ、傷つけるコトバもぶつけてしまうこともあります。
「親より先に死ぬ」という発想はやっぱり駄目なのかな。
親もこんな体に産むつもりは毛頭なかっただろうな。
責めるのは間違いだったなと、申し訳なさを感じました。
その気持ちは今も消えません。
……
今回のわたしさんは、『ココロを支えたもの』についてもお話ししてくださいました。
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