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離任式、児童代表の餞の言葉


勤務校では、先日修了式の後に離任式がありました。

自治体によっては、4月に離任式なんて話も聞いたことがあります。(今ではさすがにないんですかね?)



離任式の際に『児童代表のお別れの言葉』というものがありました。

6年生は卒業していますから、最高学年の5年生が務めます。

今年度私は5年担任でしたので、代表児童を学級から選出しました。




普段、代表委員会や社会科見学でのお礼の言葉などは、希望者を募り、じゃんけんで決めることが多いです。

積極的に挑戦したいと思っている気持ちを大切にしたいですし、どの子でもできると思っているからです。

もしうまくいかない時があっても、担任や他の教員がサポートし、フォローしたらいいと思っています。

それをするのが教員としての役割です。

そして、そういった積極的に挑戦する子たちを増やしていくための手立てや声かけ、普段の関わりも大切にしています。(今回は本題とずれるため、割愛します)




さて、今回も同じように希望者を募るか考えたのですが、やめました。

私からある児童にお願いをして、あいさつしてもらいました。

理由は2つです。

①久しぶりに全校集まる中で代表あいさつをするという経験が少ないから


②全校児童、先生の前であいさつするというのは大きな緊張感があるから

(と、もっともらしく書いていますが、「誰でもいける!」と自信を持って送り出せるほど私の指導力がなかったという前提で、続きをお読み下さい。)




①久しぶりに全校集まる中で代表あいさつをするという経験が少ないから


何かをする時に、「モデル」や「お手本」というのは大切です。

良いお手本があることで、完成度も上がることがあるのではないでしょうか。

全校の前に立つというのも「モデル」が大切なものだと思います。

経験の少ない小学生にとって、6年生のお兄さんお姉さんの姿はそれが唯一の正解であるかのような強い影響を及ぼすこともあるはずです。(我々教員もそうですね)

そんな「モデル」もここ数年で全て無くなりました。

今の5年生は、「モデル」が全くない状態なのです。

「あんな風にするんだな」
「こうすればいいんでしょ」

というイメージがないのです。

「モデル」「お手本」がない状態で、自分がやってみるというのは、ハードルが高いことです。

未知への挑戦になるわけです。

誰にでもできると言えるものではないと判断したので、指名してお願いをしました。





②全校児童、先生の前であいさつするというのは大きな緊張感があるから


「400人の前であいさつをして下さい」

大人でも尻込みする人は多いのではないでしょうか。

私も「400人の前で授業をしてください」と言われて平常心でできる自信はありません。

ましてや、10歳、11歳の子にとって、それだけ大人数の前に立つというのは、それだけで大きなプレッシャーになります。


立つだけでも大変な中、紙を見ずにお別れの言葉を述べるのです。

誰にでもできると言えるものではないと判断したので、指名してお願いをしました。





前段階が長くなりましたが、そういった考えのもと、ある児童にあいさつをお願いしました。

前日にお願いして快く引き受けてくれました。


私も文を修正し、家でも練習してきてくれました。


40秒程度のあいさつです。





翌日の本番。

大きな反響があるほどの素晴らしい出来でした。

校長先生は直後に


「今の素晴らしいあいさつを聞いたので、安心してこの学校を離れることができます。」


と全校の前で取り上げられました。


教頭先生は、

「私の教員人生で聞いた児童あいさつで、一、ニの素晴らしいあいさつだった」

と評されました。

他の先生方も、「素晴らしかった」「立派だった」と職員室で話されていました。




夕方には、再び教頭先生と話すことがあり、その中で、

あのあいさつで体育館の空気が変わったよね

とおっしゃいました。

たしかに、それまで体育館内でそわそわしていた低学年の子や横を向いたり下を向いたりしていたような子たちがサッと注目したような感覚はありました。

惹きつけるオーラというかカリスマ性というか覇気というかそういったものを感じるあいさつでした。





担任として、そんな姿が嬉しくもあり、誇らしくもあり、1年の最後の日に最高のプレゼントをもらった気分でした。

4月から最高学年として活躍してくれるであろう教え子たちが今から楽しみで仕方ありません。






最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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