見出し画像

アット・ザ・ベンチ (2024 日本) 奥山由之 @ シネリーブル, 池袋

2025. 01. 20. mon. はこちらでした。 (その1)

アット・ザ・ベンチ (2024 日本) 奥山由之
 @ シネリーブル, 池袋

フォトグラファーであり、ミュージックビデオの監督として活躍した奥山由之の自主製作映画。

とある河川敷の公園にポツンとひとつだけあるベンチにまつわる、5編のショートストーリー。


根本宗子と蓮見翔が脚本を担当した ep.3 と ep.2 が圧倒的におもしろいのは、1シチュエイションでどれだけの起伏を見せるかというテクニックを知り尽くしている劇作家だからにほかならない。
とても演劇的なシチュエイション、というかこれは演劇そのものだ。
屋外で撮影しカットが割られているから映画となっているだけで、これをそのまま舞台でやれば、それは演劇だ。

蓮見翔がベンチ自体にさほど重きを置いていなかったのにくらべ、根本宗子が " 私がこのベンチを守る" というテーマを中心に置いた上で、ふたりのバックボーンを明らかにしていく過程をあまりにも見事に描いていて、さすがはねもしゅー!!と快哉を叫んだ(心の中で。映画館じゃ叫びません)。
ほんの数十分で、ふたりの関係性から行動、意識の変化まですべてを、しかもあの激烈な会話で見せ切る筆力は圧倒的。

この ep.3 はおそらく徹底的に稽古を重ね、アタマからノンストップで演じたものを手持ちカメラでずっと追い続けて撮ったんだろうと想像するが、ふたりの俳優の演技もホントに素晴らしかった。
特に今田美桜はあのエキセントリックな役柄を完璧にコントロールしていて、この人のポテンシャルをよく表している。
近い将来、月刊「根本宗子」(根本宗子の主宰する劇団)の主演もあるかも。
今田美桜と森七菜の向き合う様を1カメぶんぶん振り回して撮影してるのが、姉に振り回されるオトコのうろたえる気持ちを想像させ笑った。

作品全体を通して俳優陣がとてつもなく豪華で、よくこれだけのメンバーを集められたなと感心するが、各エピソードほぼほぼ撮影に1日しか使われていないであろうし、場所移動もない、この映画の枠組みが見事にだったんだろうなとも思う。

衣裳の伊賀大介、すばらしい。
今田美桜のあのめんどくせー役柄に.   どうなってるのか見当もつかないごちゃごちゃでフェミニンな重ね着って、ばっちりでしょ。

いいなと思ったら応援しよう!