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公図のDXFデータで敷地図をつくる方法(Jw_cadを利用!)

公図しか入手できない状況で、仮でも構わないので敷地図が必要なケースはよくあると思います。

その場合は、法務局から入手した紙の公図から定規で測ってCADに図面を起こすしかありません。この作業が結構面倒です。

そんな時に、もしも公図のDXFデータがあったらどうなるでしょう。もちろんすごく楽になります。定規で読み取るなんて作業はしないで済みます。

そこで、本記事では、公図のDXFデータを自分で準備して、Jw_cadで敷地図をつくるまでの方法を説明します。ぜひ参考にしてください!

本記事の方法は、図面全体をDXFに変換して、そこから必要な図形をコピーして作図できますが、公図ビューアには選択した筆の筆界線だけをDXFファイル保存できる機能もあります(詳しくはこちらの記事をご覧ください)。


公図のDXFデータの入手方法

まず公図のDXFデータは、どうすれば入手できるのでしょうか。

法務省からDXF形式では公開されていないので、登記所備付地図データを活用して自分でつくります(登記所備付地図データはリアルタイムのデータではないので注意してください)。

登記所備付地図データをDXFにするには、いくつかの方法があります。元のXMLデータからプログラミングでDXFに変換することもできますが、法務省独自のXMLの仕様を読み解く必要があるので、結構大変です。

汎用的なGeoJSON形式のデータならば簡単に読み取れるので、方法はかなり簡単になります。GeoJSON形式のデータは、公図ビューアから無料で入手できます。方法は以下のホームページでくわしく紹介しています。

そこで、本記事ではGeoJSON形式のデータから変換する方法を採用しますが、上のホームページにあるように、Pythonプログラム または QGIS を使う2通りの方法があります。

どちらでも大丈夫ですが、数種類のDXFバージョンに対応していたり、エンコードを変更できたりと柔軟に対応できるPythonプログラムの方を今回は使用します。Pythonプログラムは以下の記事のソースコードを使いました。


公図のDXFデータの準備

本記事では、大手町合同庁舎がある土地(東京都大手町1丁目7-29)を例に敷地図を作成します。

この土地のDXFを準備するために、まずGeoJSON形式のデータを公図ビューアからダウンロードします。

最初にこの土地の図面をビューアで開くために、「データファイル」のページで以下のように「東京都」「千代田区」「13101-0100-28.zip」を選択します。

するとビューアに対象の土地を含む図面が表示されるので、以下のように「GeoJSON形式で保存」をクリックしてファイルをダウンロードします。

上記の操作で保存したGeoJSONファイルは以下からダウンロードできます。

次にGeoJSON形式のファイルを以下のPythonプログラムのソースコードを利用してDXF形式に変換します。

このプログラムでは、様々な設定が可能ですが、今回はJw_cadで読み込むので、以下の設定でDXF形式に変換しました。

  • DXFバージョン: R12

  • エンコード: Shift_JIS

  • 単位: ミリ(登記所備付地図データはメートルなので座標値を1000倍)

今回作成したDXFファイルは以下でダウンロードできます。


Jw_cadでDXFを開く

上記で準備したDXFを「Jw_cad」で開いて、以下のように今回対象の土地をズームアップしておきます。

13101-0100-28-mm.dxf

ここで、Jw_cad でDXFファイルを読み込む時には、[基本設定]の[DXF・SXF・JWC]タブで、[DXF読込み]の「図面範囲を読取る」のチェックをONにするのを忘れないでください。忘れると真っ白な画面しか表示されません。


コピー先のJw_cadを新規に開く

次に、Windowsのアプリ一覧から Jw_cad をもう1つ起動して、コピー先のウィンドウを新規に開いておきます。

上記で開いたDXFファイルで測定すると、対象の土地の横幅は約200mなので今回は「用紙:A3横向き、縮尺:1/1000」で作成することにします。新しく開いたウィンドウの用紙と縮尺をこの値に設定しておきます。

既存の枠用のファイルなどをお持ちの場合はそのファイルを開いても構いません


コピーする図形の選択

コピー先の準備ができたので、元のDXFファイルでコピーする図形を選択します。以下のように[範囲]ボタンをクリックして選択モードにして選択して行きます。最後に[コピー]ボタンをクリックします。

対象の土地の筆界線とラベルをコピー

ここで、GeoJSONファイルから変換したDXFでは、筆界線はポリライン(つながった線)になっているので、❹ で1回クリックするだけで1筆分の筆界線を選択できます。


コピー先に図形を貼り付け

今度はコピー先のウィンドウで、以下のようにまず[貼付]ボタンをクリックして、左上に表示される[作図属性]をクリックします。

コピー先に貼付

すると以下のようなダイアログが表示されるので、「文字も倍率」と「元レイヤに作図」のチェックをONにして、[OK]をクリックします。

作図属性設定のダイアログ

図形は元の図面の実寸を保つように貼付されるので、文字も同じ割合で大きさが変更されるように「文字も倍率」をONにします。また、「元レイヤに作図」をONにすることで元の図面と同じレイヤ分けで貼付されます。

これで適当な場所で左クリックして貼付を実行します。最後に[/]ボタンをクリックすれば貼付完了です。

貼付を終了

あとは不要な線を除いたり、寸法を加えたりして体裁を整えれば敷地図の完成です!

完成!

注意事項

上記で作成したのは、あくまでも仮の敷地図です。本来の敷地図を作成するには現地測量の成果が必要です。また、今回は公共座標系かつ第14条1項地図である図面を用いましたが、任意座標系地図に準ずる図面の場合は、精度が低いケースがよくあるので注意して利用してください。

出典
本記事に掲載しているGeoJSONファイル・DXFファイルは以下の登記所備付地図データをもとにガンマソフト株式会社が作成しました。
「登記所備付地図データ 東京都千代田区」(法務省)(https://www.geospatial.jp/ckan/dataset/houmusyouchizu-2024-1-679