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足関節骨折に対する腓骨髄内釘の成績。Ricketts C. Ankle Fractures Treated With Locked Fibular Intramedullary Nailing: Description and Outcomes of a Minimally Invasive Open Technique. J Orthop Trauma. 2025 Jan

何々?腓骨髄内釘?脛骨の間違いじゃないの?と思ったらアメリカではこのようなものが発売されているのですね。


https://www.unifiedorthopedicsinc.com/upload/product/image/original/66/fibular-nail-system-1575455396.pngより引用

Acumedからは動画も出ています。
Fibula Nail 2 System Overview Animation

足関節骨折は従来のプレートによる観血的整復固定術(ORIF)は標準的治療とされてきましたが、65歳以上の高齢者では合併症率が40%に達することが報告されています。

これに対し、腓骨髄内釘固定は、生体力学的研究においてプレート固定と比較して、より高い回旋強度とエネルギー吸収能を示しており、同等の固定性を維持しながら、創部合併症やインプラント症状が少ないという利点があります。

しかし、従来の髄内釘手術では間接的あるいは経皮的に整復を行うため、整復の質に関する懸念が存在します。また、既存の研究は症例数が少ないか、整復の質について十分な報告がなされていません。

本論文では、低侵襲な腓骨髄内釘固定術の手技を紹介し、整復の質、合併症、患者報告アウトカムについて検討することを目的としています。これにより、特にハイリスク患者における従来のプレート固定の代替治療としての有用性を示そうとしています。

ざっくりと

Ankle Fractures Treated With Locked Fibular Intramedullary Nailing: Description and Outcomes of a Minimally Invasive Open Technique - PubMed

この研究は、足関節骨折に対する低侵襲腓骨髄内釘固定術の治療成績を報告した症例集積研究です。都市部のレベル1外傷センターにおいて、単一の術者が2021年から2024年の間に実施した150例を対象としています。

患者背景として、平均年齢は53.3歳(17-97歳)、平均BMIは30.6kg/m²で、62%が女性、52%が白人でした。合併症として48%が肥満、27.7%が喫煙歴あり、26%が糖尿病を有していました。骨折型は単独外果骨折が24.7%、両果骨折が32%、三果骨折が43.3%で、15.3%が開放骨折でした。82%の患者に2本、17.3%に1本の脛腓靭帯締結スクリューが使用されました。

治療成績について、McLennan基準による整復の質は98%が良好で、2%が許容範囲内でした。平均7.6ヶ月(3-22ヶ月)の追跡が可能だった113例(75.3%)のうち、97.3%で臨床的・画像的な骨癒合が得られました。合併症として、表層感染は認めず、深部感染を2.6%に認めました。整復位損失が3例、インプラント破損が6例(脛腓靭帯スクリュー破損5例、内果スクリュー破損1例)でした。8%に予定外の再手術を要しました。

最終観察時の関節可動域は、背屈平均12.9度、底屈39.6度、内反23.5度、外反18.2度でした。患者報告アウトカムも良好な結果が得られました。

結論として、低侵襲腓骨髄内釘固定術は優れた整復位が得られ、合併症率が低く、良好な骨癒合と患者報告アウトカムが得られる治療法であることが示されました。

管理人のコメント

主要な合併症:整復位損失: 2.6% (3例)、深部感染: 2.6% (3例)、

  • インプラント不具合

    • 脛腓靭帯スクリュー破損: 4.4% (5例)

    • 内果スクリュー破損: 0.9% (1例)

予定外再手術: 8% (9例)

  • 深部感染に対するデブリードマン: 3例

  • 整復位損失に対する再手術: 2例

  • 症状のあるインプラント抜去: 4例

ですよね。Introductionで足関節の合併症40%もあるよ。と書いてありますが、そこまで高くないかなと思います。正直やりすぎな気がします。
これこそ普通のRCTで費用対効果をふくめて検討してほしいです。

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