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人工股関節周囲大腿骨骨折では、カップまで交換したほうが良いのか?(Popa C, Bone Joint J 2025. Feb)
”二つのカップの種類でなやむ整形外科医”で生成したところ上記のようなイラストが生成されました。
たしかにカップだけども。
さて、BJJからの論文です。人工股関節周囲大腿骨骨折(PFF)でステム交換を行ったときに、ひと手間かけてカップの交換を行うべきか?という論文になります。
周囲骨折後の再置換では大腿骨前捻の確保やオフセットの変化に伴い脱臼危険性が増しますので、できることなら変えたほうがよさそうですが。
概要
本研究の目的は、Vancouver B2型の大腿骨周囲骨折に対する人工股関節再置換術において、大腿骨コンポーネントの再置換が必要な患者での臼蓋コンポーネントの再置換の必要性を評価することでした。臼蓋と大腿骨の両コンポーネントを再置換し、デュアルモビリティ臼蓋コンポーネントを使用することで、周術期の罹患率と死亡率を増加させることなく、術後の脱臼リスクが低下するという仮説を立てました。
2015年1月から2022年12月の間に実施された150例の再置換術のデータを、継続的に収集されたデータベースから後ろ向きに分析しました。81例が大腿骨コンポーネントのみの再置換で、69例が両コンポーネントの再置換でした。その結果、術後60例が従来型臼蓋コンポーネント、90例がデュアルモビリティコンポーネントとなりました。患者の平均年齢は79.7歳(SD 10.1)で、98例が女性(65.3%)でした。平均追跡期間は31ヶ月(SD 2.3)でした。
大腿骨コンポーネントのみを再置換した群と、デュアルモビリティ臼蓋コンポーネントを用いて両コンポーネントを再置換した群の間で、術中合併症、術後死亡率、出血量、輸血必要性、内科的合併症、脱臼(大腿骨のみ群で11/81例、両コンポーネント群で6/69例)、最終追跡時の再手術全体の必要性において有意差は認められませんでした。従来型コンポーネントを残した患者は、デュアルモビリティインプラントと比較して脱臼リスクが有意に高く(18.3%(11例)vs 6.7%(6例)、p=0.036)、術後不安定性による再置換率も有意に高いことがわかりました(10%(6例)vs 0%、p=0.002)。
これらの結果から、臼蓋コンポーネントの同時再置換は死亡率の上昇や合併症の増加とは関連せず、デュアルモビリティ臼蓋コンポーネントを使用した患者では脱臼が有意に少ないことが示されました。したがって、Vancouver B2型の大腿骨周囲骨折で大腿骨コンポーネントの再置換が必要な患者において、初回手術で従来型臼蓋コンポーネントが使用されている場合は、デュアルモビリティコンポーネントへの変更を含めた臼蓋コンポーネントの再置換を推奨します。
論文の詳細と管理人のコメント
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