人工股関節全置換術(THA)におけるバンコマイシンとε-アミノカプロン酸(EACA)の関節内併用投与の安全性と有効性 (Hu et al. Bone Joint J, 2025 Feb)
脊椎手術では閉創時のバンコマイシン散布が有用かも?みたいな論文がありまして、しばしば実施されている施設もあります。
人工股関節全置換術でも同様にバンコマイシン散布が行われましたが、これは有用でないとする報告がありました。(むしろ有害)
なので、自分自身はTHAの時にはバンコマイシン散布は行っていません。
さて、BJJから局所止血剤とバンコマイシンの併用による効果があるのではないかとする少し尖った感じの論文です。
概要
本研究は、初回人工股関節全置換術(THA)におけるバンコマイシンとε-アミノカプロン酸(EACA)の同時使用の評価を目的とした臨床研究である。
片側初回THA患者120名を3群に分け、VE群には関節内バンコマイシンとEACA、V群には関節内バンコマイシンのみ、E群には関節内EACAのみを投与し、術後に血液と関節液を採取してクロマトグラフィーによりバンコマイシン濃度を測定した。また、出血量と腎機能もモニタリングした。
結果として、E群とVE群は同等の出血量を示し、これはV群より少なかった。関節内バンコマイシン濃度はVE群が全測定時点で高値を示したが、血清中の濃度は群間で同等であった。急性腎障害、耳毒性、アレルギーは観察されず、人工関節周囲感染の発生率にも差は認められなかった。
バンコマイシンへのEACAの追加投与は関節内バンコマイシン濃度に影響を与えず、EACAの抗線溶効果を維持することが示された。
論文の詳細と管理人のコメント
管理人のコメント
Primaryアウトカムがバンコマイシン濃度ですからね。感染を本当におさえるかどうかが重要ではないですかね。
THAの感染率そもそも低いですからね。こんなどうでもいいことする前に手術の技術をあげればいいんじゃないですかね
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