『Scene Investigators』3章の『アパート4階』ネタバレ、あらすじ、推理ヒント
はじめに
『Scene Investigators』の章「アパート4階」、401号室、402号室、403号室のあらすじや感想を書いていきます。
間違っているところや解釈が分かれるところもあるかもね。
401号室:侵入者
2章「失踪」は1つ目の正解率が半分を超えると次が開く、という形式だったが、「アパート4階」は3つの事件が最初とも開かれており、どこからでも始められる。
質問
・アパートに侵入したのは誰?
・侵入時に現場にいたのは誰?(複数回答)
・殺されたのは誰?
・殺人犯は誰?
401推理のヒント(ややネタバレ)
・「現場にいたのは誰?」は、部屋の住人だけでなく侵入者も込み。
・小さい子がいる家では、窓を開けにくいよう細工をしていたりする。
・本棚にも銃痕。
・床には3つの薬莢がある。
・ベビーシッターが来るのは特定の日時だけ。
401回答、あらすじ(とてもネタバレ)
回答
・アパートに侵入したのは誰?
クライド
・侵入時に現場にいたのは誰?(複数回答)
クライド、ブレンダ、サラ
・殺されたのは誰?
クライド
・殺人犯は誰?
ブレンダ
事件当日は2004年7月16日23時35分。
401号室には、母子家庭の母であるブレンダと、7歳の長女グレタ、もうじき1歳になる次女サラが暮らしている。
ブレンダにはクライドという夫がいたが、今では離婚している。名前も、夫のピーターソン姓から、旧姓のシャーマン姓に戻している。
夫妻の不和の理由は明確には語られないが、母子が保護対象だと裁判所に認められているくらいなので、暴力癖でもあったのだろう。グレタは父のことを慕い、父に会いたいと日記に記している。クライドは子供には優しくても、妻のことは殴ったのかもしれない。また、グレタには「父といえばお酒」という認識があったらしく、父を恋しがってお酒のビンを隠し持ち、においを嗅いで父のことを思い出している。酒浸りの暴力男だったのだろうか。クライドは身長195cm、体重92.5kgと、体格がかなり立派。
ブレンダは看護師を務め、サラはまだ手がかかる時期なので働いている間はベビーシッターを雇っている。ブレンダの姉妹ローリーは、なにかと母子のことを気遣ってくれている。グレタがキャンプに参加する際の契約書には二人以上の大人の署名がいるらしく、ローリーもサインしてくれた。
ローリーのメールによれば、クライドは刑務所に入ってもおかしくないほどの、何かをしでかしたらしい。「あのままずっと出られなくても、こっちにはもう関係ない」とも書かれているので、逮捕され勾留はされたが刑務所行きかは微妙な状態だったのだろうか。
そして事件当日。グレタはキャンプに出かけており留守で、401号室にはブレンダとサラの二人だけがいた。サラを子供部屋のベビーベッドに寝かせ、ベビーモニターを持ち歩きで異変に対応できるようにしつつ、ブレンダはリビングで食事をしていた。
やがて異変が起こった。ベビーモニターからの騒音を聞きつけブレンダが子供部屋へ行くと、よじ登ってきたクライドが窓をこじ開けようとしているところだった。窓には通常の鍵の他、子供が窓を開けてしまわないように針金もかけられており、開けるのに時間がかかる状態だった。しかし、造りは頑丈そうではないため、クライドは突破できてしまうだろう。
ブレンダは子供部屋に置いたロッカーに隠していた銃を掴み、サラを抱きかかえて書斎へと逃げた。
ブレンダは恐らくは書斎の床にサラを起き、銃に弾を込めた。弾の装填は慣れていないと難しい。作業を終えて机の上の電話から911(緊急電話番号)を呼ぼうとしたが、発信する前にクライドが書斎まで来てしまった。しかも、クライドは銃を持っていた。
引き金を撃った順番は定かではないが、書斎には3つの薬莢が落ちている。1つはワイルダー9mm。2つはルガー9mm。ルガーは子供部屋のロッカーにあるもので、ブレンダの銃。ワイルダーはクライド。
書斎入り口から見て左奥に机と電話機があり、ブレンダはそこにいた。入り口から数歩歩いた場所にワイルダーの薬莢が落ちており、クライドがそこで発砲したことがわかる。威嚇なのか、誤ったのか、ワイルダーの弾はブレンダの方向ではなく、右奥の本棚にめり込んでいる。
電話機のある机のそばに、ルドガーの薬莢が落ちている。ブレンダはクライドに向かって発砲し、彼の腰を撃ち抜いた。弾は体を貫通し、壁にまで到達した。これによりクライドは倒れ込んだ。
チョーク・アウトラインのそばには、もう一つルドガーの薬莢。ブレンダは倒れ込むクライドに近寄り、更に彼の頭を撃って殺害した。
402号室:晩餐会
多分そのうち直るが、日本語版だと冒頭の日付に重大なミスがある。
日本語版だと401号室の日付を引きずってしまっている。日付がけっこう重要な事件なのに。
部屋に入ると、壁掛けカレンダーが4月までしかめくられていないのと、誕生日を祝うプレゼントが置かれていることで、4月に誕生日だと書かれているあの人の誕生日会をしているところなんだな、冒頭の日付間違ってるんだな、と察することは出来る。
キャラの名前が変わり、内装やアイテム配置もやや異なるものの、DEMOであった事件。
DEMO→製品版では要素が増えることが多いものだが、本作では逆に削減される。証拠が少ない方が難易度上がるよねという。
質問
・このアパートの住人は何人?
・ジェシカのいとこは誰?
・4番の席に座っていたのは誰?
・殺されたのは誰?
・殺人犯は誰?
402推理のヒント(ややネタバレ)
・ニコチンパッチは、禁煙中の人がニコチン不足によるイライラなどを解消するために貼るもの。
・女性がタバコとお酒を急にやめる状況といえば……。
・倒れたワイングラスをよく見ると、ワイン以外にもなにかがついている。
・フォークを左手、ナイフを右手に持つのが通常。左利きの人は逆になることも。
402回答・あらすじ(とてもネタバレ)
回答
・このアパートの住人は何人?
2
・ジェシカのいとこは誰?
ヴィクター
・4番の席に座っていたのは誰?
ロニー
・殺されたのは誰?
ジェシカ
・殺人犯は誰?
キャロル
カレンダー、財布、ソファ脇の棚の中にある手紙などを検めると、402号室にはロニー・グレイソンとジェシカという夫妻が暮らしているとわかる。二人の間の子供を示唆するものはなく、二人暮らしだろう。
冷蔵庫にはゲストリストが貼られている。ゲストはヴィクター、ジェームズ、キャロルの3名。
また、「私のいとこはアルコールを一切飲めないから、彼には代わりに何か別の飲み物を」「ジェームズは左利き」ともメモがある。
この日、4月24日はジェシカの誕生日。ローテーブルの上にはジェシカへのプレゼントが置かれている。その中にはヴィクターのメッセージカードがあり、「僕がアルコール依存症のリハビリにいた時に支えてくれてありがとう」とある。ちなみに初期の和訳だと「AAの時」とだけあり、アルコホーリクス・アノニマス(アルコール依存症の集いの名前)の略とわかる日本人あまりいなさそうだからか、変更された。
ジェシカのイトコがアルコールを飲めないというのは好き嫌いの話ではなく、依存症を断ち切るためのものであり、イトコ=ヴィクターとわかる。
ソファのそばの引き出しにある手紙は、ジェシカの母がジェシカに宛てたもの。「彼とのことはもう終わらせるべきだわ。あなたはもう十分耐えた」と書かれている。もちろん「彼」とは、ジェシカの夫ロニーだ。ロニーにはどのような問題があるのか。
ロニーの財布の中には、不穏なものがある。1枚は、弁護士の名刺。もう1枚は、中絶クリニックの名刺。ロニーは誰かを中絶させようとしている。
また、2月14日にセリーヌズ・キッチンで支払ったというレシートが入っている。
カレンダーを見ると、2月15日はジェシカの母の誕生日で、ジェシカは2月11-17日の間は里帰りをしていた。2月14日にロニーは一人でレストランへ行ったのか、あるいはジェシカ以外の誰かとか。
カバン掛けには、緑のバッグがかかっている。中にはピンク色の口紅が入っており、女性のものだ。セリーヌズ・キッチンのマッチが入っており、ロニーと共に行った相手が彼女だと示唆されている。そして、ニコチンパッチも入っている。
一般的に、妊娠中は胎児に良くないため禁煙が求められる。ロニーが中絶させたい相手はこのバッグの持ち主の女性で、彼女と不倫関係にあり、揉めているから弁護士と相談しているのだ。登場人物の中でジェシカ以外の女性は、キャロルだけ。
普通は不倫相手を誕生日会に呼ばないので、ジェシカは恐らく知らない。しかし、母が離婚を勧めるくらいなので、ロニーは前からキャロル以外の女とも関係を持つかなりの遊び人のようだ。
チョーク・アウトラインを見ると、死者は口から血、あるいはワインを吐き出したようだ。死者が使ったとおぼしきワイングラスには、真っ赤な口紅の跡があり、死者は女性とわかる。ピンクの口紅のキャロルではなく、死者はジェシカだ。
3番席に座っていたのはジェシカ。
1番席にはワイングラスがなくマグカップ。酒を飲めないヴィクターの席。
2番席は、他の席と違ってワイングラスが左側にある。フォークとナイフを見れば右利きのようで、グラスを持つ手は必ずしも利き手とは限らないものだが、少し不審。
2番席に座っていたのはキャロルで、自分のグラスにさりげなく毒物を仕込み、隣り合う3番席のジェシカのグラスとすり替えて飲ませたのだろう。
キャロルにとってロニーとの関係は遊びではなく、ジェシカさえいなくなればロニーと結婚できる、中絶もしなくていいと思い込んだのか、あるいは自棄っぱちの逆恨みなのか、ジェシカへ殺意を募らせた。
5番席は、ナイフとフォークが通常とは逆なので、左利きのジェームズの席。皿は汚れていない。プレゼントもないので、彼だけ急用があって来られなかったのだろう。
4番席は消去法でロニーの席。
4番席と2番席は座っている人が逆で、ロニーがジェシカを殺したのでは、とも想像できる。だが、4番席はワインをある程度飲んでグラス内の量が少ないのに対し、2番席は口をつけていないのか量が多い。
お腹の子供のために禁煙しているキャロルならお酒も避けるはずなので、キャロルは2番席になる。
403号室:めでたい日
401号室と402号室は特に関連のない事件で、今回も同じく。前章は「実は各パートがつながっている」構造になっていたが、「アパート4階」は関係のない短編集。同じ階でほぼ1年毎に殺人事件が起きているとかどういうことだよ。
アパート4階は解く順番が任意だが、1→2→3と解く人が多そう。号室順だとこの章のラストの事件だけあって、登場人物が多く、グループLINE的なもののやりとりは名前が表示されずIDだけなので誰が誰やらと混乱を誘い、複雑になっている。
また、事件のトリガーとなった、ある「告発」について、真実か冤罪か意見が割れそう。どちらと取るかでも後味が変わる。
質問
・死亡したのは誰?
・最後から2番目に到着したのは誰?
・青いスポーツバッグの持ち主は誰?
・殺人犯は誰?
403推理のヒント(ややネタバレ)
・謎の器具は喘息の吸入器。喘息の人はタバコが嫌い。
・同時に到着したのに、ある人物を見たか否かで矛盾した証言をしている二人。
・凶器特定は、小さいけど床に落ちているものから出来る。
403登場人物(ややネタバレ)
登場人物が多いので整理。全員高校生で、ブライアンは卒業間近な高3、リサは2年。
ブライアン・オルソン
殺害された人。チャットIDはVander217。
バンドメンバー。ガタイがいい。リサの兄。グレースと1年前から交際。喫煙者。
「告発」されたことで停学処分を受けたが、卒業まで1週間もない時期で、卒業取り消しにまではならない模様。本人は「告発」は嘘だと主張。
クリスティ
テニス部員キャプテンで、リサの友達。
髪の毛を緑に染めて複雑に編み込んだ独特なヘアスタイル。
些細なことを大げさに話す癖がある。過保護な兄が数名いる。
ジャック
バンドでベース担当。チャットIDはg4m3rb01。
父が店をやっており、よく手伝いをしている。
リサ
ブライアンの妹。チャットIDはkittylover54。
兄とアパートで二人暮らししており、それぞれがリビングや個室に友達を呼ぶのでお互いの友人とも親しい。
テニス部の部員。
アンドリュー
バンドでドラム担当。チャットIDはjester578。
テニス部所属。やや粗暴なところがあり、喧嘩で何度か停学処分を受けている。未成年飲酒が好きで、仲間で集まるときは酒の調達担当。
グレース・バーンズ
ブライアンの恋人。チャットIDはGracie59。
「告発」は表沙汰にされていないようだが、ブライアンに明かされて知っており、冤罪だと信じている。
エリック
バンドメンバー。チャットIDはStrik3rz。
陸上部所属。いつも酔い潰れるまで酒を飲む。
403回答・あらすじ(とてもネタバレ)
6月2日の高校卒業を目前にした5月31日、ブライアンはバンドメンバーや恋人のグレース、妹のリサと共に自宅で卒業パーティをすることにした。パーティについてチャットで約束をしたのは5月25日のこと。
リサは恐らく高校2年生。リサはテニス部に所属し、キャプテンのクリスティとは友達だ。クリスティは3年生だろう。5月に、クリスティが何日も姿を見せないことがあった。部活の友達は「クリスティがレイプ被害に遭ったらしい」との噂を語った。
リサはそのことをアンドリューと話し合った。アンドリューはブライアンのバンドメンバーであり、またクリスティのことが好きで、彼女と親しくなるためにテニス部に入った。レイプ疑惑はまだ噂でしかないが、アンドリューは憤った。
やがて、クリスティはレイプ被害について学校に告発した。レイプ犯はブライアンであるという。卒業までもう1週間もない時期に、ブライアンは停学になった。内容がセンシティブなことから、告発も停学処分も公にはされず、当事者にしか通知されなかった。
5月28日に学校側は、告発者の名前を伏せた上で、告発があったことの通知の文書をブライアンに送った。ブライアンは告発のことを真っ先に恋人のグレースに打ち明け、冤罪であり身に覚えはないと言った。
話を聞いてすぐに、グレースは告発者はクリスティであると察した。クリスティはブライアンのことをずっと狙っており、他の女に取られたことが悔しくて仕方なくて嘘をついたのだとグレースは言う。
グレースは激怒し、クリスティをシメてやると言い出したが、告発の取り消しができるのもクリスティなのだから穏便にするよう諭した。
告発について協議する集まりが5月30日に行われた。その内容は不明。翌日に酒盛りパーティが予定通り決行されているので、恐らくはブライアンに有利な結果に、冤罪だと認めてもらえる方向にいったのだろう。
その結果に憤ったのは、クリスティの兄のジャックだった。同学年のようなので、恐らくは双子の兄妹だ。ジャックは妹に対してかなり過保護で、書類を盗み見るなりして告発のことを知ったのだろう。
ジャックはブライアンのバンドメンバーだが、他のメンバーエリックの誘いで加わっただけで、そこまで個人的にブライアンと親しかったわけではない。彼は妹の方を信じ、レイプ被害者なのにやり込められて泣き寝入りさせられた、と受け取ったようだ。
リサは告発について知らない。兄がレイプ犯扱いされていることも知らない。クリスティのレイプの噂を心配しつつも、クリスティは些細なことを大げさに言い立てるところがあるので、ただの噂ではと楽観視したいところもあったようだ。
クリスティの家にリサが遊びに行った際、ジャックはこっそりとリサの家の鍵を盗んだ。リサはどこかに置き忘れたのだろうと、特段気にしなかった。
ジャックは、盗んだ鍵を利用してブライアンを殺害すると決心していた。告発が表沙汰になっていないため、ブライアンの前でも知らないように装った。
5月31日のパーティーの日、まずブライアンが最初に部屋に着いた。そこに、クリスティが現れた。二人の間にどのようなやりとりがあったかは不明。
レイプ犯と一対一で会いたくなどないだろうから、告発は冤罪だと思われる。クリスティは、恋心をこじらせて迷惑をかけたことを謝罪しに来たのではないか。もしブライアンと話す必要があったとしても、告発が真実なら一人で来るのは怖いはずで、兄のジャックなり、誰かと一緒に来るだろう。
ジャックとグレースはほぼ同時にアパートに着き、ちょうど帰っていくところだったクリスティを見かけた。話すこともなく後ろ姿を見ただけだが、緑の髪を複雑に編み込んだ特徴的な姿はクリスティ以外に有り得ない。
二人は告発について真実派と冤罪派だが、お互いに「相手は告発について知らないだろう」と思っているので「何故クリスティがブライアンと二人きりで会っていたのか」という疑問を口に出せなかった。
次に部屋に着いたエリックは、先に来ているブライアン・ジャック・グレースの雰囲気が奇妙で、居心地の悪さを感じた。エリックは噂も告発も何も知らない。しばらくして、リサが現れ、ムードメイカーの彼女のおかげで場の雰囲気が少し明るくなった。
リサは鍵を盗まれているので、ブライアンが扉を開けてくれた。
遅刻癖のあるアンドリューが一番最後に到着し、未成年なのにどこからか酒を調達するツテのある彼が皆に酒を振る舞った。
アンドリューの青いカバンの中には、書きかけのクリスティへのラブレターがある。6月2日の卒業式にでも渡すつもりだったのだろうか。
19時頃からパーティが始まり、みんなで酒を飲んだ。いつもはあまり酒を飲まないグレースも、不機嫌さに任せて大量に飲んだ。
ブライアンが煙草を吸い始めた際、ジャックが吸うなと怒り、二人は口論になった。ブラインは機嫌を損ねて自室に鍵をかけて閉じこもった。ジャックも怒って帰宅した。
ジャックはカバンを置いていった。ジャックの赤いカバンには喘息の吸入器があり、喫煙に怒ったのはただの好き嫌いの問題ではないようだ。また、カバン入った書類でジャックの苗字がカーターだとわかり、調書のクリスティと同じ苗字、兄妹だとわかる。
日付が変わり6月1日、一度は退室したジャックだが、深夜にひっそりと戻った。酒盛りは初めてのことではなく恒例で、このくらいの時間にはみんな酔い潰れているころだと見当がついていたのだろう。普段はあまり飲まないグレースも、都合よく自棄酒をして眠り込んでいた。
ジャックは盗んだ鍵で玄関を開き、ブライアンの私室をも開けた。侵入し、扉を閉める。ブライアンは恐らくは起きていたのだろう、ジャックに歩み寄るが、すかさずジャックはブライアンを銃殺した。部屋には薬莢が落ちている。
いくら皆寝てるといっても銃声がしたら起きそうだ。だが、誰も起きなかった。銃口を対象物に直接押し当てて引き金を引くと銃声が小さくなるというので、酔いが冷めきらず油断しているブライアンの腹部に直接銃を突きつけたのかもしれない。犯行を終えたジャックは、鍵は残したまま、ひっそりと場を去った。
まだ太陽も出ていない暗い時間、ふと起きたリサは、ブライアンが死んでいることに気づいた。パニックになって悲鳴を上げると、聞きつけてアンドリューが駆け寄ってきた。アンドリューは、熟睡しているエリックの顔に水をかけて起こした。グレースは慣れない深酒のためか、起きなかった。
警察を呼ぶべきだとエリックは言ったが、アンドリューは嫌がった。酒の購入者として、未成年飲酒がバレることを恐れ、恐らくは酒が抜けるのを待ちたかったのだろう。
結局、まだアルコールも抜けきらぬうちに、証拠隠滅も諦めてエリックが通報したが、遺体発見から通報までに2時間もかかった。
グレースがようやく目覚めた時には、通報を受けた警察官たちが部屋にいた。取り調べの中で、グレースは犯人はクリスティだと主張した。また、訪問時にクリスティを見かけたと話した。一方で、グレースと同時にやって来たジャックは、妹が怪しまれないようにか、誰も見かけなかったと嘘をつき、二人の証言に矛盾が生じた。
「アパート4階」の全質問で正答すると、「あなたの意見では、3人の犯人の中で誰が許されるべきだと思いますか?」との質問が出る。
赤ちゃんを守ろうとした401を選んだ。
感想(ネタバレ)
DEMOとほぼ同じ内容の402号室、てっきりDEMOでは行けなかった部屋に行けるようになったりするのかなーと思っていたのに、証拠品が減り情報量が少なくなったのは残念。大量の情報の中から必要なものだけ抜き出す、というステージもあるものの、ここは「これだけしかないのかよ!」という少ない情報を膨らませて妄想混じりに推理しろというスタイル。
DEMOだと夫妻がそれぞれ持病で薬を服用していて、片方の薬がもう片方にとっては毒になるだとかそういう設定だったが、本編では出てくる薬物が一つだけになってシンプル。
キャラの名前が一新されたのは、DEMOの答えを使い回さないようにだな。
401号室は、元夫はいきなり銃撃戦を仕掛けたのではなく、復縁もしくは長女の親権を要求して最初は話し合いをしようとしたのだと思われる。ドアの入り口すぐ、姿が見えた瞬間に撃ち合いが発生したのではなく、部屋に入ってきて右手の壁の前まで来ているので、向き合って話そうとはしていた。
3発の弾が撃たれた順番で少し話が変わる。
A.夫、要求を飲んでくれない妻に苛立ち、威嚇のためにわざと妻に当たらないよう本棚を狙って撃つ→妻、恐怖して夫の腰を撃つ→夫の頭を撃つ
B.妻、要求は絶対に飲まねえという意思表示のため夫の腰を撃つ→夫、倒れつつも抵抗して一発撃ち、狙いが定まらず本棚を撃つ→赤ちゃんもいるのに撃ってくるなんて、とブチギレて妻が夫にとどめを指す。
なんとなくAかな。
403号室は、ブライアンの告発が真実か冤罪かで受け取り方が変わる。真実なら犯人はよくやった、冤罪だと誰も得しない悲しい話。
クリスティが一人で会いに来たのは、やっぱり冤罪だからだと思う。レイプ犯と二人きりで会いたくないはず。
冤罪なんてかけられたら普通は許せないものだが、ブライアンは別に糾弾したりはしない。惚れられているという自覚はあって、でも応えられなかったことにいい奴だから申し訳無さは感じていて、お互いの兄妹同士で仲良くやっているから流してやろうという寛大さがあったのかな。そんないい奴なら、尚更冤罪で殺されたのが悲惨。
グレースとジャックがほぼ同時に来たのは、真っ先にブライアンに会いに行って二人きりで告発について話したかったのだろう。そしたらバッティングしてしまった上に、クリスティを見かけて動揺、結局もう一人いるせいでまともに話せず事件へ。
ジャックは、体格のいいブライアンに不意打ちでなければ襲う自信がなかったと思われる。銃を持った上でも。だから、パーティ前に二人きりになれていたとしてもその時には殺さなかったのではないか。パーティ前に話し合い、誤解が解けていたらなあ。
告発真実説の場合。ブライアンは学校側に呼び出された翌日に酒盛りできるぐらいなので、本当はレイプ犯なのに口八丁で乗り切れたのだろう。髪を緑にしているようなクリスティはちょっと変な子ポジションだろうし、前から些細なことを大げさに言い立てる人物だったという。オオカミ少年ならぬオオカミ少女として、クリスティは真実の被害者なのに冤罪でっちあげ女にされてしまった。
それでもクリスティは許せず、ブライアンに「お前のこと許さねえし告発諦めてねえからな」みたいなことを言いに行った。レイプ犯と一対一なんて怖いはずだが、クリスティは事件のことを学校側には告発できたものの、他はテニス部のごく親しい相手にしか打ち明けられなかった。兄にも言えていない。センシティブな被害なので、異性である兄に話して一緒に来てもらうことの方が抵抗があった。なので、一人で行くしかなかった。
レイプのシチュエーションについてだが、ブライアンとリサの家は男女問わず高校の仲間がしょっちゅう集まるたまり場なので、そこで犯行に及ぶのは容易いだろう。クリスティが、いつものように皆いるかなーと訪問したらたまたまブライアンと二人きりで、ブライアンがたまたまムラっと来たのかもしれない。クリスティ→ブライアンの恋心というのはグレースしか語っていないので勘違いかもしれないが、それをブライアンが知っていれば、「俺のこと好きならいいだろ」と加害意識すらなくレイプしてしまったのかもしれない。クリスティからすれば、本当に好きだったとしても彼女持ちにいきなり強制されて喜べるはずがない。
真実説でも行ける気がする。直感では冤罪だったんだろうなと思ったが。