Case18.【ゲーム行動症と脳科学】「衝動性」ってなに?
一般的に依存症や行動嗜癖では、
対象物への「渇望」(ゲームをやりたくてたまらない気持ち)が抑えられず、行動をコントロールできないという衝動性の高さが指摘されている。
ときにゲーム欲しさに、壁に穴を開けたり、家族に怪我を負わせたり、
ゲーム機投げつけたり・・・(投げて壊れて余計怒ったりね😭自業自得!)
暴力が出るってのは結構重症なので、
まずは暴力を引き起こさないように、家族に声掛けの仕方を工夫してもらったり(地雷を踏まないで!!)、怒り出しても応戦しないでね、ってことをお願いするわけですが。
衝動性ってなんでしょう。
①報酬の過剰な評価
②制御システムの欠如
②反転学習の欠如
という観点から説明します。
①報酬の過剰な評価
ゲーム内での成功体験、例えばレベルアップ、アイテム獲得、ランキング上昇などが、ゲーム外の日常生活での達成感よりも過剰に評価される状態。
例えば、
✔ゲーム内でのランキングを上げることのほうが、
日常生活の中でテストだったりスポーツで成績を残すことよりも大事
✔ゲーム内での友人と喋るほうが、学校の友だちと仲良くするより大事
この辺の価値基準は人それぞれだし、
e-sports選手にとってはランク上げは大事だろうけど、
さすがに留年しちゃったり、退職しちゃって生活に困ってる、
って状態はもっとバランスよくやりなさいよ、ってなる。
なんでそんなにゲーム好きなのかわからない、ってくらい
ゲームがご褒美ランキングのトップにきちゃってる状態なのよね。
ゲームか、ゲーム以外か。それ以外は興味ない。
②制御システムの欠如
先行する運動反応を抑制する能力の不足。
ゲームを始める前に「今日は1時間だけプレイする」と考えていても、
一度ゲームを始めると、プレイを止めることができない状態。
ゲームをやめるべきタイミングで自己制御を行う能力が低下しているんだよね。
夜にゲームをしていて、
「いやでもこのままやっちゃうと睡眠時間削られちゃうしな・・・」
とやめられるのが依存症じゃない人。
「だってやりたいんだもん!!」ってゲームをしちゃうのが
制御システムが欠如している人ね。
③反転学習の欠如
過去の経験から学び、行動の結果に基づいて将来の行動を調整する能力が低下するため、柔軟性がなく固執的な使用を続ける。なんだか難しいけど、つまりは、ゲームが原因で生じたネガティブな結果にもかかわらず、その行動パターンを変えることができない状態。
ゲームによる短期的な報酬(楽しい!レベルアップ!など)が長期的な不利益(睡眠不足、学業成績の低下、人間関係の悪化など)に対する学習効果を上回ってしまうため、ゲームを辞められなくって、色々な問題が生じてくるんだよね。
ゲームによる短期的な報酬>>>>長期的な不利益(睡眠、成績、人間関係)
例えば、
「昨日遅くまでゲームをしていて、朝起きられず寝坊した」
という事件が起きた場合、反転学習ができる人は
「昨日は遅くまでゲームをしていて寝坊したから、
今日はゲームをやめて早く寝よう」
ってなるんだけど。
反転学習ができない人は、学習ができずに、
何度も同じことをやっちゃうんだよね。