Case15.【精神科臨床】思春期の睡眠不足、週末の寝溜めは有効なのか?
Poor sleep and neurocognitive function in early adolescence.
この研究は、早期思春期の睡眠時間、睡眠の質、および神経認知機能のさまざまな側面との関連性を調査しました。この研究には、平均年齢12.3歳の354人の男女が参加しました。睡眠はアクセルメーターを使用して8日間平均して測定され、認知機能はいくつかの神経心理学的テストを使用して評価されました。
この研究の主な結果は以下の通り:
女子: 女子では、より高いWASO(就寝後の目覚めまでの時間)と睡眠の断片化は、認知機能の低下とわずかな関連がありました。週末の長い回復睡眠は、反応時間が長くなり、言語の知能テスト(WISC-IIIのSimilaritiesサブテスト)でのパフォーマンスが向上する傾向がありました。
男子: 男子では、睡眠時間が短い、睡眠効率が低い、WASOが高い、睡眠の断片化が高い、週末の回復睡眠が短い場合、認知機能が低い傾向がありました。これは、認知課題における誤った反応の増加、反応時間の短縮、持続的な注意のテストでの低い成績を特徴としました。
週末の回復睡眠: 週末の回復睡眠と神経認知機能の関係は異なりました。一部の場合では、週末の長い回復睡眠が認知パフォーマンスの向上と関連していましたが、他の場合では反応時間の延長と関連していました。
この研究からは、早期思春期において睡眠時間と質が神経認知機能とどのように関連しているかについて、性別差があることが示唆されました。女子では睡眠の質が認知機能に対する影響が比較的弱い一方、男子では睡眠時間と質が認知機能に関連している傾向が見られました。また、週末の回復睡眠が認知パフォーマンスに与える影響は異なり、特定の認知領域に依存していることが示唆されています。これは、思春期の若者の認知機能への睡眠の影響を研究する際に、睡眠の数量と質の両方を考慮する重要性を強調しています。
看護師さんはあんなに超絶シフトワーカーでよくちゃんと仕事これるよなあ、と感心している。私は絶対無理、、
catch-up sleep during weekends って週末の回復睡眠、つまり寝溜めってことなのね。
研究では色々な認知機能テストが使われるんだけど、
今回使っていたのはこちら。
知能:
Wechsler Intelligence Scale for Children-III (WISC-III): WISC-IIIは知能を評価するための一般的なテストで、言語、知覚、作業記憶、推論などの認知機能を測定します。WISC-IIIのサブテストである「Similarities」サブテストが使用されました。
記憶力:
小児発達神経心理学的評価II (Nepsy-II) の 1 つのサブテスト (物語記憶) 組織化された言語素材の記憶 (新しい聴覚素材がどの程度記憶され学習されているか) を評価します。子どもたちは、なじみのない情報が含まれるテキストを聞き、その話を繰り返すように求められました。次に、記憶の欠落している可能性のある詳細を引き出すために質問が行われました。
実行機能:
★Wisconsin Card Sorting Task (WCST): WCSTは認知機能の一側面である認知柔軟性や切り替え能力を評価するためのテストです。
★Conners' Continuous Performance Task (CPT): CPTは注意力と集中力を評価するためのテストで、持続的な注意力と自動反応を抑制する能力を測定。
★Trail Making Test (TMT): TMTは認知機能を評価するテストで、視覚的な処理速度、運動制御、注意力を測定します。
お年寄りの認知機能テスト(物忘れ)だけじゃなくて子供向けのもあるのよね。認知機能と一言で言ってもいろんな構成要素があるから面白い。
研究って色々な課題が与えられるんだけど、文章読んでもルールが複雑だから、いっそのこと誰かyoutubeで説明してくれ、って思っちゃう。
でもどんな課題かわかっちゃうと、学習効果とかもあって研究参加者が勉強してきたりしちゃうと結果に影響が出るから、公開されないんだと思うけど。
この論文見てて見つけたんだけど、妊娠中の甘草に含まれるグリチルリチンの摂取量(mg/週)って子供の認知能力に影響するの??知らんかった。
詳しくはこちら。たまに漢方安全神話唱えている人いるけど、薬理作用があるってことはなんらかの副作用もあるってことなんだよなあ。