国産ゲームアプリが海外のセルランで勝てるのか見極める方法
こんにちは。Game-iです。
ゲーム関連企業各社から配信されるゲームアプリは、グローバル展開を想定したものが増えています。国内のトップセールスランキング(セルラン)だけでなく、海外ストアでの動向も気になるところですよね。
今回は海外の主要市場の規模感と各エリアで成功しているアプリについて、最近の各国ランキングを用いて説明しようと思います。
◆世界のアプリ市場規模について
2019年6月15日に公開されたAppleの資料より。
→How Large Is the Apple App Store Ecosystem?
※$1=108円換算
・「Digital Goods and Services」全体
6.59兆円
・アメリカ
2.38兆円
・中国
1.4兆円
・ヨーロッパ
0.65兆円
・日本
1.19兆円
・その他
0.97兆円
売上規模が大きい順に
アメリカ > 中国 > 日本 > ヨーロッパ
「その他」にはロシアやアジア圏の地域が含まれます。
アメリカがダントツですが、人気となるアプリはゲームのみではなく地域ごとに特長があります。中国と日本はゲームが強く市場としては2番手、3番手として続いています。
日本を基準の1とすると、アメリカ(2倍)、中国(1.2倍)、ヨーロッパ(0.5倍)ぐらいがランキングに対する売上のイメージとして指標化できるように思います。※偏りが分かると精度高められそうですね
今回は日本以外のエリアの特徴と人気アプリについて説明します。
◆アメリカのアプリトップセールス
Apple配信売上 2.38兆円
1位はYouTube。上位にはShowtimeやDisney+など独自コンテンツを持つ動画配信アプリがシェアを確保しています。Tinderのようなマッチングアプリも人気が高い傾向があります。
ゲームとしてはCandy Crush Saga、Clash of Clans、Pokemon GOなどの定番アプリが上位で安定したポジションを確立しています。
市場としては大きいものの、新作ゲームが上位に入るのはなかなか難しいエリアです。国内パブリッシャーによる配信アプリは欧米で人気のある漫画・アニメのタイトルが上位200位に滑り込んでいます。
【アメリカで人気のアプリ】
・ドラゴンボール レジェンズ
・ドラゴンボールZ ドッカンバトル
・遊戯王 デュエルリンクス
・Fate/Grand Order
◆中国のアプリトップセールス
Apple配信売上 1.4兆円
1位はテンセントの看板タイトル王者荣耀。中国企業のアプリが非ゲームも含めて圧倒的に強く上位を埋め尽くしています。注目はコーエーテクモの「三国志・戦略版」(開発運営はAlibaba GamesのゲームブランドLingxi Games)配信から長期的に上位をキープしています。
国産のコミック・アニメ系のIPは中国でも人気があり、特にJUMP系のドラゴンボール、ナルト、ワンピース、聖闘士星矢などは現地で独自企画でアプリ化されています。
市場としての親和性は高いものの、アプリの配信には独自のガイドライン対応や政府のパプリッシングライセンスが必要になるため、現地法人を設立するか現地企業と組むなどコスト面のハードルがあります。
国内からのアプリとしては前述の三国志・戦略版の他にも下記のようなタイトルが現地パブリッシャーを通じて配信されています。
【中国で人気のアプリ】
・Fate/Grand Order
・ラングリッサー モバイル
・ONE PUNCH MAN 一撃マジファイト
・ディズニー ツムツム
・プリンセスコネクト!Re:Dive
◆ヨーロッパのアプリトップセールス
Apple配信売上 0.65兆円
エリアは広いけれど市場規模としては中国の半分以下。更に動画配信やTinderなど非ゲームのシェアが高い地域も多め。ゲームアプリの人気が高いのはドイツで、成長率も高く期待されています。
人気アプリの傾向はアメリカに近め。Clash of Clasnの人気が高いのは武骨なイメージとマッチしてると個人的には感じます。ちなみに欧州各国への配信はグローバル版として英語版アプリのみを提供する企業が多いようです。
国内アプリの配信状況としてはアメリカよりも多様性がありますが、やはり漫画・アニメ人気の高いタイトルが有力です。マリオカートの人気はヨーロッパのモータースポーツ人気ともマッチしているのかもしれません。
【ドイツで人気のアプリ】
・ドラゴンボール レジェンズ
・マリオカート ツアー
・遊戯王 デュエルリンクス
・ONE PIECE トレジャークルーズ
◆アジアのアプリトップセールス
Apple配信売上 0.97兆円 ※その他地域
「その他」でくくると市場規模は比較しにくいのですが、アジアの韓国、台湾、香港はゲームの売上も市場の成長率も高い地域です。ここでは日本市場との親和性も高い台湾を参考にあげます。
ランキングの変動が激しく日本製のタイトルもしばしば上位に顔を出します。台湾で提供されるゲームは言語(繁体字・簡体字)やマーケティングの兼ね合いから香港向けにも同時配信される事が多いようです。
国内タイトルではゲーム系IPの人気も高く多くのアプリが台湾向けにも配信されています。にゃんこ大戦争とか。国内ではトップを走るモンストも200位以内でランキングを競り合うなど、日本とは人気アプリの傾向が違っているのが興味深いです。
【台湾で人気のアプリ】
・プリンセスコネクト!Re:Dive
・ONE PUNCH MAN 一撃マジファイト
・Fate/Grand Order
・ラングリッサー モバイル
・モンスターストライク
・どうぶつの森 ポケットキャンプ
・東方LostWord
・にゃんこ大戦争
・ドラガリアロスト
◆まとめ
スマホゲームの海外市場と言っても、エリアの特性や人気アプリの傾向などかなり違っている事がお分かり頂けたのではないかと思います。
各地域の特徴を要約すると・・・
アメリカ→セルラン上位を獲れれば圧倒的な売上が期待できる。ただしめちゃくちゃ難しい。案外ゲーム以外のアプリがチャンスかも。
中国→テンセント強すぎ市場、コエテクのようにライセンスアウトしてロイヤリティ収益を上げるのは賢い。戦略が重要。
ヨーロッパ→アメリカを含むグローバル展開にマッチしている。エリアが広いため独自マーケティングが難しく有力IPは必須。
アジア→安定した国内タイトルの海外展開を行うのに最適。ゲーム系IPでも受け入れられる市場がある。
海外展開とひと口に言っても期待値や成功の確率は内容によって全然違うものになると思います。各社の海外戦略を見ていく上での助けになりましたら幸いです。
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参考に全世界分析用の日本セルランも貼っておきます。