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VOIGT/465「Slights Still Unspoken (1978-1979)」

オーストラリアのポストパンクバンドの録音集。1979年に発売された唯一のアルバムにシングル曲と未発表音源をプラスしたCD。2017年発売。結成は1976年とのことだけど、本格的な活動は1978~1979年と短期間。


ざっくり書いて済ますなら女性ボーカルのキーボード入りポストパンク。男も結構歌ってるけど。メーカーの宣伝文句によると「ストゥージズ、シド・バレット、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやカンなどの影響を独自に消化した攻撃的かつアーティスティックなサウンドが炸裂」だそうですが、その辺の音楽ってこの時代のポストパンク系バンドにしてみれば基礎教養だと思うけどねぇ。フリーの部分も比較的多いけど、基本的には歌メロもちゃんとあるポップな雰囲気があるかな。


変則的なビートが多いけどひたすらに性急なドラムと、パンクロックの勢いを残したワイルドなギターが良い。シンセサイザーは奇天烈な音色も多くて僕は好きです。

CDにもDLコードが付いていて、CD未収録のRoxy Music「Remake/Remodel」のカバーを含むライブ音源3曲付きでダウンロードできる。このカバーは「まぁアナログシンセサイザーを手に入れたら、それやりたくなるよね」って感じで原曲以上にシンセサイザーが鳴ってて、しかも異様に速いテンポで微笑ましくもある。レパートリーの中でもお遊び的な位置だったのかな?と思うほど馬鹿っぽさすら感じる出来に仕上がってる。

音の質感は米国より英国の感じに近いかな。オーストラリアにこの手の志向を持ったバンドがこの時代どれくらいいたのか調べてないけど、ヨーロッパと同時多発的にオーストラリアでもこういう音が出されていたのは、何故だかワクワクしてしまう。あの時代のポストパンクが好きな人は聴いて損はない音源だと思います。


このバンド、昔買ったオーストラリアのパンク系を集めたコンピにも入ってた。それで聴いてたはずだけど、特に印象には残らなかったのか音源を探すどころかバンド名を覚えたりもしてなかった。昨年末にサブスクで何かを探した過程でお薦めとして出てきて、数秒だけ聴いて即CDを注文した。このサブスクで聴いてCDを買っちゃうって、自分が時代に対応できてないんだなと思う。あとCDの外袋についてるシールにMUTANT SOUNDSの記名があるコメントが載っていて、これはあのMUTANT SOUNDSだよな?と少々驚いた。世界中の面白い音楽を紹介していたサイトで影響力は大きかったとは思うけど、サイトの性質上表に出るような所ではないと思ってたから。でもそのコメントが載ってることは何故か胸が熱くなったな。


ちなみにMUTANT SOUNDSを調べると紹介していたのは2001年にオーストラリアで発売された編集盤で、それは今回のCDより曲数は多い。曲目自体は被っているので別テイク的なものだとは思うけど、どうせなら今回も入れて欲しかったなぁ。

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