The Last of Us Part2終わったので感想/サウンド篇
長いゲームだった。最初は復讐劇を描いたゲームなのかなと思った。確かに復讐劇だったけれど、やられたからやり返すだけの単純な描き方ではなかった。今回はゲーム本編の感想と、サウンド面の感想の二部構成にしようと思う。
サウンド面について
・ステルス時の効果音
本作のサウンドデザインはUI/UXの面から見ても、分かりやすく直接的にゲーム体験を盛り上げていた。特に印象的だったのが、ステルス中に敵に見つかりそうになると聞こえてくる低音。トンネルの中を通っているようなふつふつと緊張と不安を走らせるあの音が「良く出来てるなぁ」と思った。
この動画で時折、低くなっている音は、敵がプレイヤーに気づきそうになった時発せられる効果音だ。プレイ中も特に説明はないが、プレイヤーはこの音が鳴っている時に感覚で「今自分は危険な状況にいる」と察知する。
本作はUIを最低限の表示にすることで、より没入感を高めている。仮に敵がプレイヤーを見つけようとした時に、敵の頭の上にゲージを表示したりとか、ビックリマークを表示したりしたら、リアリティを欠如させてしまう。それは本作のコンセプトには沿っていない。確かに視認性は高まるが、それはゲーム的な演出であり、実際のリアリティとは離れたものになってしまうのだ。
ではどうすればいいのか?そこので視認性0%のサウンドを使うのだ。サウンドは目には見えないものではあるが、同時に直接プレイヤーに訴えかけることが出来る手段でもある。人間は視覚よりも、聴覚の方が先に感じやすい生き物。グラフィックUIではなくサウンドを用いることで、よりリアルタイムでの判断もしやすくなり、且つゲームの没入感を高めることが出来るのだ。
・敵AIの音声
本作の敵AIは感情豊かだなぁと感じた。その要因の1つに敵のセリフの豊富さが挙げられる。例えばパトロール中の敵がプレイヤーにやられた仲間の死体を発見したとする。その時は「誰かいるぞ!」とか「マーク!?」とか「嘘でしょ!?」と敵1体1体によって発するセリフが変わってくるのだ。
ある程度見つからずに敵をステルスキルしていくと、「このままじゃやられる!」とか「絶対見つけてやる!」と何を発見したかだけではなく、今そのエリアがどういう状況かでも発するセリフが変わっていた。
他にも敵に見つかって、交戦中になった時にプレイヤーが弾切れを起こしたとする。すると敵は、「弾切れだ!」と発するのだ。このリアルさには驚いた。交戦中に「いたぞ!」とか「これでもくらえ!」と言うのは分かるが、ここまでプレイヤーの状態を察知して、発するセリフがリアルタイムで変わっていたのは凄いと思う。
・物理挙動に応じた効果音
ゲームでは物理挙動を用いることがある。手付けで作ったアニメーションやモーションキャプチャした動きではなく、僕らがいる現実の物理挙動のシュミレーターをプログラミングした挙動だ。物理は規則的な動きをしない。プレイヤーがジャンプをしたり、敵がやられたりする動きには一定のパターンがあり、それらは全て人の手で実装されている。しかし物理挙動はキャプチャした動きをするのではなく、その時々のゲームの動きに合わせて無数の動きをする。
そして本作では、その物理挙動に合わせたサウンドの実装もされている。カーテンが動いたら、そのカーテンの動きに合わせて毎回鳴る音が変わるのだ。これは最近のゲームでは使われている手法なのかもしれないが、これも凄いなと思った。物理挙動に対して、一定のパターンを実装しているのかもしれないが、物理の不規則性に合わせたサウンドの実装は今まで見たことがなかったし、サウンド面でもリアリティへのこだわりを感じた。
今回はサウンド面でも主に効果音にフォーカスを当てて感想を書いてみた。改めて、「ノーティドッグさん凄すぎっす・・・」と思った。世界は凄い。