【1分アート】写真家ドアノーって何者なの?
世田谷・千歳烏山にあるこじんまりアートギャラリー「ギャラリーフィルモ」による、ゆるゆるアート小話のコーナー!
1分(くらい)でアートの知識がほんのちょこっとだけ身につきます。
今回ご紹介するのは、フランスの写真家ロベール・ドアノー(Robert Doisneau)です。
ロベール・ドアノー
名前を聞いてピンと来ない方も、ドアノーの代表作「パリ市庁舎前のキス」はきっと一度は目にしていると思います。
1950年にLIFE誌で発表された写真ですが、日の目を浴びたのは80年代。
ポスターとして発売され、世界中に広まったそうです。
言われてみればなんとなく80年代バブル期の雰囲気がしなくもなく。
トレンディドラマの主人公の部屋(フローリング・コンクリート打ちっぱなし・狙っている女は浅野温子)に飾ってあってもおかしくない?
ドアノー、訴えられる
実はドアノー、この代表作が理由で訴えられています。
この写真に写っているカップルと主張する夫婦が、無許可の撮影だとしてドアノーを訴えました。
裁判により、この写真は偶然の瞬間ではなく、役者を立てて撮影したものだったことが判明。
ですが、別に役者を立てて撮影したからと言ってドアノーが罪に問われるわけもなく、そもそも訴えた夫婦も全く無関係の人物だったことが分かりました。
ということでドアノーは勝利しましたが、話はここで終わりません。
ドアノー、またまた訴えられる
先ほどはいわば偽物の夫婦の言いがかりだったわけですが、何と今度こそは本当に写真に写っていた本人が登場します。
この写真の本物の女性モデルであるフランソワーズが、肖像権の侵害でドアノーを訴えたのです。
再度窮地に立たされたドアノーでしたが、撮影後にサイン入りオリジナルプリントを、ドアノーが謝礼としてフランソワーズに渡していたことが判明。
つまり、撮影は同意の元で行われていたということで、またまたドアノー側の勝利に終わりました。
当のフランソワーズは、そのサイン入りオリジナルプリントをオークションに出品。
何と2,000万円以上で落札されました。
これ、撮影から55年も経った2005年の話ですからね…
フランソワーズおばあちゃんの執念たるや…
パリの街並み、ピカソのポトレ
ドアノー裁判の顛末が非常に興味深かったのでちょっと長くなってしまいました。
ドアノーのその他の写真作品は主にパリのスナップや人物写真です。
何とあのパブロ・ピカソのポートレート写真も手がけています。
ドアノーの孫娘、クレモンティーヌ・ドルディルが監督を努め、日本では2017年に公開された映画「パリが愛した写真家 ロベール・ドアノー 永遠の3秒」の予告編動画がありました↓
ドアノーの人柄と作品の雰囲気がさくっと掴めるのではないかと思います。
その他、ドアノー情報の各種リンクを貼っておきますので、ご参考まで!
▶2021年2月5日(金)~3月31日(水)写真家ドアノー/音楽/パリ | Bunkamuraミュージアム【渋谷】
▶時代を超えて愛される、ロベール・ドアノーの写真と家族の物語。|カーサ ブルータス Casa BRUTUS
▶ドアノー作品 Portfoliosアーカイブ|株式会社コンタクト(※ドアノー作品を管理する日本代理店)
Writtend by ギャラリーフィルモ
東京都世田谷区の千歳烏山(ちとせからすやま)というところにある小さなギャラリーです。
かわいい!ちょうどいいサイズ!なんか気軽!(そして割と安い…!?)
…といったお声をいただいております。
展示をお考えの作家様は、ぜひ下見だけでもいらしてみてくださいね。
※ロゴマークはカメラですが、展示は写真に限らず幅広く受け付けております。
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