ルーイシュアンの宝石~7
13 さらわれたイシュ
三人は、無事にグリアナロッド山脈を抜けた。
途中ジー曰く”雑魚のゼラゼラ種”(イシュから見たら恐怖しか感じなかったが)が幾度か襲い掛かって来たが、ジーとリュウの前では、あっという間に塵となった。
内心、ジーは聖獣の力の凄さに舌を巻いていた。身のこなしといい、底知れぬパワーといい、並みの獣身とは比べ物にならず、まったく別の種だと実感した。ゼラゼラ種も、聖獣がいると気が付くと、その瞬間戦意を無くすようだった。
ジーの聖獣へと進化したいという思いが、リュウと居ることによって、更に強まっていった。イシュと楽し気に話しながら歩くリュウの後姿を、ジーは羨望の思いでじっと見つめた。
やがて、三人の前にゾロゲイラ砂漠が静かに現れ出た。
「この砂漠のどこかに、リョッカというオアシスがあるのね。」
ジーは、砂漠を覆う、砂塵を含む黄色く染まった風を、呆れたように見つめた。
「こんなの吸ったら、血が砂に変わりそうだわ。」
「ははは…」
リュウは笑い声をあげた。
「今の時間、砂嵐が起きるんだ。よし、俺の光を強めよう。その中に入っていれば、砂から身を守ることができるぜ。」
リュウはそういうと、その輝きを一層強め大きな光の輪を生み出した。
ジーはそっとその輝く光の中に足を踏み入れた。
「もっとぴったりと近づくんだ。」
「な、何よ!さ、触らないで…」
ジーは、そっと寄り添った光狼の体温を感じ、全身の毛を逆立て慌てて飛びのいた。
光の輪から飛び出た途端、猛烈な砂がジーと背中のイシュに吹き付けてきた。
渋々ジーは、光の輪に戻ると、リュウの横に身体を近づけ寄り添った。リュウは可笑しそうに鼻を鳴らした。
そして、一行はオアシスを目指し、砂漠を奥へ奥へと進んでいった。
聖獣の光の輪は、小さなバリアのようだった。輝きに弾かれていく砂粒を、ジーの背中でイシュは面白そうに見つめていた。
ジーとリュウは、無言で並んで走った。ジーは、リュウの光の輪の中で不思議な安心感に包まれているのを感じていた。
どのくらい走ったころだろうか。砂の合間に、緑の影がようやく見えてきた。
オアシス”リョッカ”に、とうとうたどり着いたのだった。
リョッカは静かにその緑をたたえていた。不思議なことに、あの激しい砂嵐もオアシスの中へは吹き込んでこなかった。
涼し気な木々の間に、澄んだ泉が滾々と湧き出ていた。そして、その最奥にシンボルのような、灰色の巨大な岩山がそびえていた。
「これがモンティアの言っていた、ボーボーラの閉じ込められている岩に違いないわ。」
人間の姿をとったジーは、岩山の前まで来た。
なめらかな、見たことがないような灰褐色のつるりとした岩肌。中央に黒く小さな丸い溝が特徴的だった。
「本当にこんな中にボーボーラという人は入っているのかしら?」
(ハイッテイルトモ…)
三人の心の中に、静かな声なき声が響いた。
人間の姿をとったリュウがヒューと口笛を吹いた。
「テレパシーか…」
ジーも頷く。
「ボーボーラ、どうすればいいの?」
しばらくすると、また声なき声が響いてきた。
(ソノショウネンガモツカギヲ、イワノカギアナニアテルノダ…)
「少年の鍵?ああ、このペンダントのことね。」
ジーは少し首をかしげ、岩の表面に鍵穴らしきものを探す。
「ジー、あそこの黒いところがそうじゃないか?」
リュウが、ジーの頭一つ分高いところにある、黒く丸い溝の辺りを指さした。
そこは、確かに岩のほかの部分よりも、違う質感で、いかにも意味深な溝が見える。
「イシュ、ペンダント貸して。」
ジーの声に、イシュは首からペンダントを外し、手渡した。それを受け取ったジーは、つま先立ちから、軽くジャンプして、丸い溝にペンダントを押し当てた。
ペンダントが岩に触れた途端、岩を中心に、辺り一面の空気に微妙な振動が起きた。岩が震え、その震えによる倍音が響きだした。
「あ、熱い!」
ジーは手にしていたペンダントの発熱に驚き、思わず手を放し、着地した。
不思議なことにペンダントは落ちず、熱を帯びた輝きを発した。
次の瞬間、巨大な岩が砂の様に崩れ落ちた。
もうもうと立ち込める砂煙が落ち着くと、そこには大きな亀の姿が現れた。
ジーは普通に戻ったペンダントを拾い上げ、胸元に挟み込みつつ、大亀から目を離さなかった。
「おお…やはり新鮮な空気は上手い。ありがとう、礼を言うぞ。」
巨大な亀が嬉しそうに言った。
「もう長いこと岩の中に閉じ込められておったでな。」
大亀は静かに言った。
「あなたがボーボーラ?」
ジーはしげしげと大亀を観察する。
「そうだとも。心正しき豹よ。」
大亀は微笑んだ。
「そして聖なる獣もよくぞ来てくれた。そして、イシュ…」
大亀はゆっくりとイシュの方に太い首を向けた。
「お帰りイシュ…無事に役目を果たせたようだね。やはりペンダントは、自ずから相応しいものを見つけ出したのだな。」
ジーは驚いてボーボーラを見つめた。そしてイシュを振り返った。
イシュは静かに、そして今まで見せたことがないような不思議な微笑みを浮かべていた。
「ルーイシュアンは呼ぶ…」
イシュは嬉しそうに呟く。
「ちょっと、イシュ!あんた、何言ってるの?」
イシュは前を向きながら、ただ黙って微笑んでいる。
「あんた、記憶が戻ったんじゃ…」
ジーはイシュに駆け寄り、その華奢な肩に手をかけた。
「イシュったら!」
ジーは、少し様子がおかしいイシュを揺さぶる。
「よせ、ジー。」
リュウが口をはさむ。
「イシュはトランス状態になっているようだ。不思議だが、さっきからイシュの中から、聖獣よりも更に精妙な気が流れてくる。」
ジーとリュウは、イシュの見開いた菫色の瞳を覗き込んだ。
イシュの瞳は何も映していないようだった。イシュの小さな口が開く。
「ルーイシュアン…」
「気をつけろ!」
リュウが鋭い声で叫んだ瞬間、突然激しく大地が揺れた。
リュウは瞬時に聖獣の姿をとると、その身体の発光をスパークさせた。その輝きはその場の者たちを護るように広がり包み込んだ。
ジーはイシュを抱きしめた。
「おお!いかん…」
ボーボーラは恐れに満ちた声を上げた。
揺れと共に、その場の空気が澱みぞっとするような霊気と共に、気持ちの悪い振動を帯び始める。ドロリとした質感を持ち、空気が蠢く。強烈な悪臭があたりに漂い始めた。
ゆっくりと何もない空間から、一人の大きな男が現れ出でた。えんじ色のケープ、萌黄色の髪。そして黄色い三つの目を持つ男…モルバブジだった。
「はっはっは…」
モルバブジは陰鬱な響きを帯びた笑い声をあげた。
「鍵をやっとみつけたぞ。」
モルバブジはそういうと、右手を高くかざした。
その瞬間、濁った風がリュウたちを覆う光の輪を直撃した。
聖獣の光がひときわ輝くと、濁った邪の風を弾き飛ばした。
「おお、さすが聖獣だのう…」
ボーボーラは感激したようにリュウの横顔を見た。リュウは涼しげな顔をしながらも、警戒を怠ってはいなかった。
「モルバブジ!あんたの好きなようにはさせないから。」
ジーはイシュを抱えたまま、モルバブジを睨みつけた。
「ふん、小賢しい。」
モルバブジは、薄気味悪い笑みを浮かべた。
「鍵はお前には必要ないだろう。」
モルバブジの額の瞳が、怪しく輝いた。
突然その輝きが触手の形をとると、光の輪に巻き付いた。触手の数はさらに増え光の輪を埋め尽くし、その光ごと吸い取るかのように脈打ち始めた。
一瞬、リュウの顔が歪んだ。その時光の輪の一部が開いたのを見逃さず触手は入り込み、突き進み、ジーの腕から剥ぎ取るように、イシュの身体に巻き付いた。そして宙に持ち上げると、モルバブジの方へと戻ろうと蠢いていく。
「ジー!変化しろ。イシュを取り戻せ!」
リュウは叫ぶと、躊躇なくモルバブジに飛びかかっていった。
その瞬間、モルバブジの姿は宙に掻き消え、光狼は虚しく空を切っただけだった。
獣身をとったジーは、イシュを連れていく光の触手目掛けて飛びかかる。
触手にジーの身体が触れた途端、ジーは全身に激しい苦痛を感じ、地面に落ちた。
「ふふふ…獣身ごときの貧相な身体では、この触手に全てエネルギーを吸い取られるぞ…」
何もない空から、モルバブジの嘲りの言葉が響く。
「ジー!」
その時、触手にくるまれ宙に浮かぶイシュが我に返ったようだった。イシュは、自分がいま置かれている状況に気が付くと、逃れようとその身を捩った。だが、もがけばもがくほど、触手はイシュの身体に食い込んでいった。
「ジー助けて!」
イシュが悲鳴を上げる。
「イシュ!」
ジーは牙を剥きだし吠えた。イシュ目掛けて大きくジャンプした。
その瞬間、イシュは触手と共に虚空へと消えていった。モルバブジの嘲笑が、辺り一面響きわたり、やがて消えていき、辺りは静けさを取り戻していた。
ジーは虚しく地面に着地すると、天を振り仰いだ。
「イシュ…」
ジーは声を限りに叫んだ。
だが、イシュの返事はなく、ジーの声だけが響く。
為すすべもなく、ジーは立ち尽くした。
14 鍵の番人ボーボーラ
「ち、ちくしょう!」
ジーは吼えた。
「護るって約束しておきながら、私は約束を果たせなかった。私のバカバカ…」
黒豹のたくましい背中が、ブルブルと震えていた。
「ジー、しっかりしろ。落ち着くんだ。相手はモルバブジだ。お前に落ち度があったわけじゃない。それにイシュはまだ死んだと決まったわけじゃないぜ。」
リュウは人間の姿をとると、泣くように震える黒豹の身体を、励ますように叩いた。
ジーはキッと顔を上げた。
「ねえ、リュウ。イシュの匂いを探して!助けに行く。」
「わしに見当が付く…」
今までだまっていたボーボーラが、静かに言った。
瞬時に人間の姿をとると、ジーは大亀に駆け寄った。
「教えて、ボーボーラ!」
「まあ、聞きなさい。」
そういうと、ボーボーラも人間の姿をとった。
ジーは、今までこんな干からびた風体の人物を見たことがなかった。体中皴だらけだった。砂漠の砂のような布切れを体に巻き付けている。老人の白髪は腰の下まで伸びている。皴が垂れ下がった瞼は、その大きな青い目を半分隠している。垂れ下がる大きな鼻の下に、薄い唇の大きな口がある。
ボーボーラはかったるそうに、近くの丸い岩の上に腰を下ろした。
「イシュは恐らくスギライ・ロー神殿に連れていかれたのだろう。モルバブジの狙いは、邪本体を世界の裂け目、その最奥の闇の彼方からこの世界に呼び戻すことだからな。」
ボーボーラはため息をついた。
「わしはスギライ・ロー神殿ができた頃から生きておる。それはそれは遠い昔の話で、わしは、気が遠くなるほどの時の中を生きてきた。わしは時を渡る亀として生まれてきたのだから仕方がないのだがのう。
ある日、わしは天からやってきた光の使者という者から、不思議な紋章が刻まれた石のようなものを託された。それが世界の裂け目を封印した神殿へ入る鍵だったのだ。」
「その鍵って…」
「お前の胸にあるペンダントだ。」
ジーは胸元に挟んであったペンダントを見つめた。
「さすがのモルバブジも、鍵をお前が持っていたとは気が付かなかったようだ。イシュが持っていると思い込んでいたのだろうからのう。」
「ボーボーラ、イシュは一体何者なの?」
ジーは問いかけた。
「知っているなら教えて。なぜ、イシュは鍵をもっていたの?」
「わしも詳しいことまでは分らん。」
ボーボーラは言った。
「遥か昔、輝きを放つ不思議な、だがどこまでも精妙な者が、一人の少年を連れてこのオアシスまで来たことが始まりなのだ。
その者はわしに”世界の混迷をふせぐために、世界の裂け目を封印する神殿を建てた。さすれば、何人たりとも侵入することがないよう鍵をかけた故、永久と共に生きるお前にこの鍵を託す”こう言ったのだ。
わしは、震えながら断った。そんな大それたことを引き受けきる自信がなかったのだ。だが、その輝く者はこう言った。”お前はただこの鍵を見守るだけでよい。お前に災厄が降りかかるときは、鍵がお前を助ける。もしも神殿が汚され、鍵に危機が迫る時は、鍵が自ら動くだろう”と。」
「自ら動く?」
「わしも不思議に思って尋ねた。輝く使者はこう言った。”遥か未来、ルーイシュアンの宝石の力が弱まる時、邪悪なるものが神殿を襲うだろう。鍵は正しき心を持つ者を見出し正しき心を持つ者と共に聖なる力で邪悪なるものを闇へと封じ込め、またその鍵の役目を果たしなおすだろう”と。」
ボーボーラは言った。
「その時、輝く使者の連れていた少年が、イシュだった。」
「ええっ!?」
ジーとイシュは同時に声を上げた。
「だって、爺さん…」
リュウは訝し気に尋ねた。
「その話は遥か昔だろう?俺たちと一緒にいたイシュが、子供の姿のままそんな昔からいたとすりゃ、おかしな話だぜ。」
「だが、間違いなくイシュだった。銀色の髪に白い顔、菫色の瞳の子供なんて、そう何人もいるわけがないだろう。輝く者が連れてきたその少年に、”イシュ、その時は頼んだぞ”と確かに言ったのをわしは覚えている。
銀髪の少年は、微笑んで頷いておった。ししてイシュと輝く者二人は、またどこかへ行ってしまい、二度と見ることはなかった。」
ボーボーラは静かに言った。
「少し前にこの辺りに大きな地震があった。それは、神殿中心に激しく起きた。その最中、それまで全くどうしていたものかわからない、全く変わらないあの時のままの少年、イシュが、突然このオアシスに来た。
わしは思わず自分の目を疑ったよ。驚くわしに、イシュは”鍵”と言った。
封印の危機を察していたわしは、何となく理解した。イシュが持ちやすい様に鍵の一部を利用して紐をつけ、首にかけてやった。
イシュは”時節がやってきた。急がなければ…”そういっておった。
その時、わし等の前に突然シャクティーアが現れた。」
「シャクティーアが?」
「ああ。わしも驚いた。あの眩しい神秘的な姿は、未だに目に焼き付いておる。
イシュが手を上げると話がついているかのように、シャクティーアはその足で、イシュの細い腕を掴んだ。イシュは恐れるでもなく、わしに微笑み頷いた。その瞬間、シャクティーアは空高く舞い上がり、何処かへと飛び去って行ってしまった。
驚きが冷めやらぬその時、モルバブジとその配下の邪の欠片たちが来た。間一髪だった。モルバブジは神殿の鍵を寄越せと言っておったが、わしは、ないとしか言いようがなかった。実際イシュごとシャクティーアが運び去ってしまったのだからのう。
わしの手元にはないと察したのだろう、モルバブジは怪しげな術を使った。わしの舌は自分の意志とは無関係に動いてしまった。鍵、イシュ、シャクティーア…それだけ聞けば十分だったのだろう。モルバブジは悔し気な顔をしておった。いくら最強の闇の力を持つという邪の司祭といえども、シャクティーアの聖なる輝きの前ではどうにもならないだろうからな。近寄ることさえ敵わないだろう。
だが、ふと不気味な笑みを浮かべたモルバブジは、あの不気味な黄色い目でわしを見つめた。逃げる間もなくわしは邪の力で生み出された、あの岩の中に閉じ込められた。
わしは、閉じ込められる瞬間大亀の姿をとるのが精一杯だったが、亀の力で、岩の圧迫や邪の穢れからは身を守ることができた。しかし、どうやっても岩からでることはできなかった。
モルバブジは”小僧に助けてもらえ”と言いながら消え去った。今から思えば、ここに必ずイシュは戻ってくると察していたのだろう。
奴は、わしを捉え、またいずれここに来ることになるであろう、鍵の保持者を捕まえるために、わしを疑似餌にしたのだろう。
わしは一介の老いぼれにすぎん。戦うことすらできん。そんなわしに何ができただろうか。なぜわしを鍵の番人に選んだのだろうか、光の使者は…」
ボーボーラの皴だらけの顔に涙が流れ落ちる。
ジーは、静かに老亀の傍に腰を下ろすと、そっとボーボーラの痩せた肩をさすった。
「自分を責めることはよくないことよ。」
ジーは優しく語りかける。
「泣くのはやめて。貴方は自分の役目をきちんと果たしているわ。貴方の穏やかで誠実な人柄を見込んで、その光の使者は鍵を託したんだと思う。心配しないで。必ず私、イシュを助け出し、モルバブジを懲らしめてやるわ。
幸い、その鍵は、今は私の手にあるんだから。」
ジーは不敵な笑みを浮かべた。
ジーはペンダントを掲げた。中央のはめ込まれた小さな石が、一瞬青い閃光を放った。
「ボーボーラ、貴方も言っていたじゃない。鍵は心正しき者と聖なる力と共に邪悪なるものを封印するって。私がその心正しき者かどうかは分からない。それでも、こうしてここにこの鍵と共にいるということは必ず意味があるに違いないわ。もしそうなら、これからもこの先この鍵が導いてくれるはずよ。」
「おお…」
ボーボーラが感動したように呟いた。
「お前の言うとおりだ。心優しき、そして心正しき豹よ。やはり鍵が選んだだけのことはある。」
ボーボーラはゆっくり立ち上がると、リュウの元へ歩み寄った。
「聖獣よ…どうか豹に力を貸してほしい。鍵に守られているとはいえども、一介の獣身に過ぎん。邪の力は恐ろしいものだ…聖獣の力があれば心強いだろう。この世界の戯言にあまり興味はないだろうが、今回だけでいい、その聖なる力を貸してほしい。」
「もちろんだ。俺は俺の意志でジーと共に行くことを決めたんだ。必ずジーと、イシュを救い出し、邪の企みを止める。」
リュウは力強く頷いた。
「鍵が喜んでおる…」
ボーボーラは、ジーの手の中のペンダントに目を向けた。
ペンダントの中央の小石を中心に、不思議な光が脈打っていた。
「この先、モルバブジと対峙することは、かなり過酷さを伴うだろう。今日はゆっくり休み、明朝早く発つと良いだろう。」
「でも、イシュが…」
ジーは不満げに言った。
「大丈夫だ。きっと鍵がないことに気が付いて、今頃怒り狂っているに違いない。鍵が欲しいモルバブジにとって、イシュはお前たちを誘き寄せる大事な人質だから、もしや丁重にもてなしているかもしれんのう。」
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