どうして星の名前はアラビア語由来なの?
こんにちは、星空案内人のまいの(mai-no)です。
星(恒星)の名前を調べると色々な名前が出てきます。
バイエル符号(α.β.γ…)も名前の1つですが、デネブ、アルタイル、ベガ…
名前が付いているものもありますね。
これは星(恒星)の固有名といいます。
名前の由来や意味を調べたことがある方もいらっしゃると思いますが、星の名前はアラビア語由来のものがとても多いです。
星座はギリシャ神話が有名なのに、なぜ星の名前はアラビア語由来なのでしょうか。
アラビア語由来の名前達
過去のコラムでもお話しましたが2世紀にプトレマイオスが「アルマゲスト」という本を発表しました。
☆星座と神話はどう関係があるの?
https://note.com/galaxyproject/n/nc5bcc36ab64a
このアルマゲストを熱心に読み、中世(6~15世紀頃)の天文学を大きく発展させていってくれたのがイスラム文化の方々です。
イスラム天文学者達はギリシャ語で書かれた「アルマゲスト」をアラビア語に翻訳して読んでいたのです。
アルマゲストには48の星座が記載されていましたが、星の名前は10個程しかなく、ほとんどが星座内の位置で呼ばれていました。
「あの星座の頭にある明るい星」
「あの星座の手のあたりのある星」…
なかなか難しいですよね。
「星座内の位置」で呼ばれていた星はやがてアラビア語に翻訳されていき、更にアルマゲストが入ってくる以前から観測されていたアラビア語独自の星の名前も追加され、星の名前が誕生していきました。
本来の意味とちがう?
これらの星の名前は16世紀頃ヨーロッパに広まりましたが、アラビア語からラテン語への翻訳で名前が間違いだらけになってしまいました。
簡単な単語を一部ご紹介します。
アラビア語を全く知らない私は、
何かの暗号?記号なのか…?
としか正直思えません。
今でこそネットで検索すればわかりますが、そんな機械もない時代に他国の言葉を綺麗に自分の国の文字に変換するのは難しいですよね。
「anglerfish」
この単語も発音も初めて聞いたけれど、fishだし何となく魚かな?
とりあえず綺麗にひらがなやカタカナで表現したい!
状態だったわけです。
※ちなみにanglerfishは魚の「あんこう」です。
本来の意味がわかるのもあれば、意味が曖昧な星も多いですが、アラビア語由来であることは確実なので
「アラビア語由来」「アラビア語で○○という意味」
といった解説が多いのです。
星の名前は、ラテン語・ギリシャ語・中国やインド由来のものもいくつかあり、2016年から国際天文学連合総会(IAU)でアルファベット表記の正式な名前が決められています。
思えば、星座の名前やバイエル符号も「正式な名前」が決まっているとはいえ、曖昧だったり間違っているものもありましたね。
こうして名前が決められていく背景には、たくさんの人の生活・文化・考えが言葉の壁を越えながら、時代を経て伝えられてきたということを是非覚えておいてください。
文:まいの(mai-no)星空案内人千葉県出身。本職を星空案内にしたい、明るさと元気が取り柄の看護師。宇宙や星も大好きだけれど、食べ物・音楽鑑賞・書道も大好きです。
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