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スネ夫の市場の見つけ方

今ある市場において勝つことに注力するよりも、どうすれば負けずに生き残れるかを意識する、という話

先日、長文のお問い合わせをメールでいただいた。

内容はというと、今まで取引きのあった業者が廃業するため引継ぎをお願いできないか、というものであった。

ここ数年、この手の話は増加の一途で、今日もある会社が同じ様な内容で相談をもちかけてきたのだ。

弊社では体制が十分に整っていないせいもあり、請け負うことのできる内容とそうではない内容とあるのが現状なのだが、正直このような事態から転がってくる話は戦略的に狙っているわけではなく、粛々と事業を営んでいるだけで自然とまわりが倒れていったという時代の流れに影響されたひとつの結果である。

事業継承の目処が立たないことや売上げの減少により廃業を余儀なくされるケースがほとんどで、このような問題は私のいる業界にかぎらず、社会的な大きな流れで斜陽産業であるならば一種の過渡期として淘汰されるいわば新陳代謝のようなものになるだろう。

その証拠にこの記事を書いているそばからM&Aの営業メールが届いたのだが、このような小規模事業の譲渡とという話も今では珍しくない。

しかしながら、今のところ弊社ではM&Aや廃業する同業者を視野に入れて売り上げを伸ばすような方針はとっていない。そこまでの資金的余裕や体制が整っていないこともあるが、まわりがバタバタと倒れていくことで自社だけが圧倒的に勝つという話でもないからだ。

廃業の背景には需要の先細りという側面もある。

今までの市場全体のキャパが小さくなり、あるカテゴリーにおいては十分な利益がとれないものや、今後価値を産まなくなるものまで出てくることぐらいは容易に想像できる。

先程粛々と事業を営んでいるだけと記したが、決して既成の事業をただこなしているだけではなく、弊社なりに業界の変化の先に価値を見出し、過当競争に巻き込まれないように努力をしているつもりである。

まわりの倒れていく同業者より、ほんの少しだけ早く危機感をもっただけのことではあるが、明日は我が身という気持ちはいつもどこかでもっている。

このコロナ禍においては月単位で来月はどうなるかわからない、という神経で、今できることを全力でやる、というスタンスでここまでなんとか泳ぎ切った。

ここまで読んでいただくとわかるように、弊社の現状は市場に対して真っ向勝負を挑んで圧倒的勝利をあげるということを掲げるのではなく、同業他社が壮絶な戦いを繰り広げている市場の少し脇で、コバンザメのごとく取りこぼしている市場を拾い、そこだけを丹念に模索しているにすぎない。

セコいやり口に見えるかもしれないが、どうしたら戦わずして勝つ(残る)、不戦勝でどこまでまわりに気づかれずコマを進められるか、偉そうに言えば「孫子の兵法」を体現しているのだよ、と言えなくもないのである。

元々、私自身がメインストリームで主役を張れるような存在であれば真っ向勝負を挑むのだろうが、性根が曲がっているうえに人生においても人の影に隠れてはやいのやいのヤジを飛ばしているだけのスネ夫のような性格だったこともあり、今のやり口で生き残るという術しか思いつかなかったのだろう。

今更主役になる努力などできるわけもなく、日陰でいかに負けないかを考えて踏ん張るのが精一杯なのだ。

今後しばらくはこの他社の廃業による流れは続くだろう。その流れが自社に向かわぬようスネ夫の努力は続くのである。

大きな流れを俯瞰して見ることで、戦いやすい市場をみつけることができる


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