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やるべきことがハッキリすると経営が楽になってくる

何によって誰から利益を得るのか、その基準がハッキリするとその後の仕事は余計なことを考えずに済む、という話

数ヵ月ぶりにある社長から連絡をいただいた。最後にお話した際に、体調が芳しくなく治療に専念するとあってしばらく仕事を休むとうかがっていた。

こちらからの連絡はあえて控えていたのだが、数ヵ月ぶりに鳴った電話口からは相変わらず快活な社長の声が聞こえてホッと胸をなでおろしたのであった。

早速に仕事の依頼を受け、後日現地でお会いした社長は少し痩せた印象こそうけたが、元気そのものの明るいオーラは健在で、病は気からとは言うが治療の効果より社長の気持ちが病気を遠ざけたのではないか、という気さえするくらい以前にも増して活力を感じることができた。

この社長とは5年来のお付き合いになる。初めてお問い合わせをいただいたのは私が経営者として試行錯誤している時期で、それまでの市場から大きく方向転換したこともあり、なかなか集客がうまくいかず、悩んでいる時期でもあった。自分で定めた対象顧客のペルソナや利益の上げ方に自信を失いかけていたタイミングでのご縁であり、しかも理想としていた顧客層にピッタリはまった会社とあって印象が深いのである。

その会社との取引きが始まってからは不思議なもので対象となる顧客が他にも少しずつ増えていき、今では理想的な取引先で売上げの半分以上を占めているというその当時からしたらありがたい状況なのだ。

何によって誰から利益を上げるかという基準を定め、その基準に達することで代価以上に価値のあるものを手にしたように思う。それは平穏で質の高い時間だ。

基準を設ける以前は目的も定めず、とにかくできる仕事なら何でも、もっと平たく言えばお金になることなら何でもという心構えで商売をしていたのもあり、多種多様なジャンルの仕事が雑多に舞い込んで来ては忙しくしていた。当時は売り上げの低下や多額の債務のこともあり、仕事を選んでいる場合じゃないと躍起になっていたのもあるかと思うが、結果は毎日多忙を極めて体は疲弊するが利益はほとんど残らない、という残念なものであった。

ターゲットを決めない場当たり的な仕事の受け方だと、どんな球が投げ込まれるか予想もつかず、常に臨機応変に対応しなくてはならないため、神経は張りっぱなしなうえ、余裕のなさからケアレスミスが頻発し無駄な仕事が増えては自分の首を絞めるというような状態になる。

ゴールがひとつの案件をとにかく形にするという質の低いものとなり、次から次へと舞い込む仕事をさばくことで精一杯で利益のことや将来の展望など考える余裕など一切ない時期があったのだ。

商品のカテゴリーを増やし、手広く構える方法が悪いわけではない。しかし、その方法が効果を発揮するのは強者のケースのみで、弱者の小さな会社は変数の少ない絞られたカテゴリーを濃度高く集中して展開することで強みを発揮するのだ。

仕事が目減りする不安からあれもこれもとジャンルや商品を増やしてしまうのは結果的に体が回らなくなる道を自ら選択しているのと同じで、限られた認知能力は散漫になり、やがて頭から煙が噴き出すのだ。

それよりも、はじめからルールや基準を定めてしまい、商売の構造をシンプルに整えてしまった方が格段に楽なのだ。売上げの目減りが不安になる気持ちはわかるが、基準を決めることによって浮いた時間や労力のコストを全ツッコミすればそれもなんとかなるような気がしないだろうか。

そうして常に理想の顧客のことばかりに意識を向けていればより一層関係は深まるに決まっている。八歩美人に本命の高嶺の花がなびかないように商売も一途な方がうまくいくと思うのだ。

とはいえ私もまだまだ掲げている理想とは程遠い状況だ。先の社長のような理想の恋人の発掘に邁進する所存、理想の顧客でハーレムが構築できる日を夢見て、なんて書いていると一途なのか何なのかわからなくなってきた。

間違った方向に書き進めない為にも今日はここまでで終わりにしておこうと思う。

シンプルに決めた基準が商売を楽にする。余剰のコストは再度基準に乗っ取り投下する

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